カラー版 - スキマの植物図鑑 (中公新書 2259)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121022592

作品紹介・あらすじ

街を歩けば、アスファルトの割れ目、電柱の根元、ブロック塀の穴、石垣など、あちこちのスキマから芽生え、花開いている植物が見つかる。一見、窮屈で居心地の悪い場所に思えるが、こうしたスキマはじつは植物たちの「楽園」なのだ。タンポポやスミレなど春の花から、クロマツやナンテンなど冬の木まで、都会のスキマで見つけられる代表的な植物110種をカラーで紹介。季節の植物図鑑として、通勤通学や散策のお供に。

感想・レビュー・書評

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  • 道路舗装の割れ目とか、溝に溜まった土とか、
    ほんのちょっとしたスキマに植物がよく生えています。
    一時、「ど根性大根」などとブームになったこともあります。
    もう、あと2~3メートルいけばなんぼでも広い土があるのに、
    なんでまたこんな狭いスキマに好きこのんで生えてるんや、
    こいつは生存競争の“負け組”か、とついつい思いたくもなったりして。
    でも、それは大違いのようです。むしろ、その逆。

    植物学者、塚谷裕一東大大学院教授が、そんなスキマに生える植物を記録し、図鑑にして解説してくれています。

    「スキマの植物図鑑」中公新書

    塚谷教授によると、植物は陽光を受け、水と二酸化炭素を原料に糖分を生みだして生きている。
    動けない植物にとって陽光はとくに大切で、隣に自分より背の高い植物が生えると当たらなくなり、生きてゆけない。それゆえ、ひょろひょろと茎だけ細長く伸びる植物がよくあるのだそうです。
    スキマで生きれば、隣にそうした”ライバル”がいない。
    だから、思いっきり太陽を独り占めできる。
    また、道路の割れ目などは、雨が降ると路上の水がそのスキマに流れ込み、乾燥もしにくいので水もたっぷりいただける。
    そんなわけで、まさにスキマは天国のようです。

    写真の2枚目は、トラックの横に溜まった土に生えている植物。
    こんなところも見逃さずに生えるのですね。

    3枚目は、草かなと思うと間違い。なんと、アスファルトの割れ目に、タンスをつくるキリが生えているのです。
    写真にはないけど、スミレ類はアリに種を巣まで運ばせ、そこで芽を出し、成長するらしい。

    植物たちはたくましい。

  • たまたま見つけたこの本。書名にビビッとくるものがあって、何も考えずそのまま購入しました。
    やっぱり買って良かった!いままでに『頻繁に出会うのに名前のわからない雑草』にやっと名前が付いて、すごく気分がいいです。カラーなおかげで、比較して観察も出来る。面白い。楽しい。
    それ以上に、植物の豆知識も著者の独自目線で書かれているので、読み物としても楽しめると思います。
    出版は2014年なので、一緒に写っている車の車種も懐かしい。年代を感じますが、植物は何も考えず代を重て今も変わらず育っていることに感慨を感じました。

  • 「スキマの植物図鑑」塚谷裕一著、中公新書、2014.03.25
    182p ¥1,080 C1245 (2022.07.16読了)(2022.07.15拝借)(2014.06.20/3刷)
    道端の花の写真を撮ってインスタグラムに投稿しているので、植物の本も読んでみようとかみさんの本を拝借しました。
    植物の写真を撮り始めてから知った花もいくつか紹介されています。
    ヒメオドリコソウ、ブタナ、タツナミソウ、ムシトリナデシコ、オオキンケイギク、ユウゲショウ、ツワブキ、等です。

    【目次】
    まえがき
    ◆春
    タネツケバナ
    キュウリグサ
    ホトケノザ
    ヒメオドリコソウ
    カラスノエンドウ
     ほか
    ◆初夏
    ヒメジョオン
    ツタバウンラン
    マツバウンラン
    ヒメオヒウギ
    ヒメコバンソウ
     ほか
    ◆夏
    アメリカヤマゴボウ
    カタバミ
    ハマナデシコ
    エノキグサ
    オオキンケイギク
     ほか
    ◆秋
    ヒガンバナ
    ススキ
    ダンギク
    タマスダレ
    ショウジョウソウ
     ほか
    ◆冬
    ナンテン
    ツルソバ
    アリッサム
    クレソン
    ツワブキ
     ほか
    あとがき
    索引

    ☆関連図書(既読)
    「名前といわれ野の草花図鑑(上)」杉村昇著、偕成社、1985.04.
    「名前といわれ野の草花図鑑(下)」杉村昇著、偕成社、1985.04.
    「名前といわれ野の草花図鑑(続編1)」杉村昇著、偕成社、1987.10.
    「名前といわれ野の草花図鑑4(続編の二)」杉村昇著、偕成社、1990.06.
    「植物知識」牧野富太郎著、講談社学術文庫、1981.02.10
    「春の草木」宇都宮貞子著、新潮文庫、1985.02.25
    「夏の草木」宇都宮貞子著、新潮文庫、1984.06.25
    「秋の草木」宇都宮貞子著、新潮文庫、1984.08.25
    「冬の草木」宇都宮貞子著、新潮文庫、1984.12.20
    (「BOOK」データベースより)amazon
    街を歩けば、アスファルトの割れ目、電柱の根元、ブロック塀の穴、石垣など、あちこちのスキマから芽生え、花開いている植物が見つかる。一見、窮屈で居心地の悪い場所に思えるが、こうしたスキマはじつは植物たちの「楽園」なのだ。タンポポやスミレなど春の花から、クロマツやナンテンなど冬の木まで、都会のスキマで見つけられる代表的な植物110種をカラーで紹介。季節の植物図鑑として、通勤通学や散策のお供に。

  • アスファルトやコンクリートの隙間から生えている植物100種あまりの写真と解説。植物にとっては決して根性がいるようなことではなく、かえって快適環境だそうですよ。

  • 雑草と言われるような植物も、よく見ると綺麗。
    全体の印象として、外来種が異様に多いな…。種子を飛ばしたり、鳥が実を食べたりで、拡がっていくのでしょう。
    アスファルトの隙間は当然として、雨樋や排水溝、さらにはトラックにも根付いてしまう、植物の生命力の強さを感じました。

  • 道端でよく見かける植物の簡単な図鑑。ああ見たことあるコレ,というのがたくさん。魚と同じように,ふと見かけた植物をああ**だな,とぼんやり認識できるくらいにはなりたいので,手近なところに置いておきたい。

  • 「スキマを好んで生える植物って、何だか身近で頑張ってるよなあ」とか思っていたが、実はライバルの殆どいない好適地を選んでいるということだったのか!?
    スキマにしか生えない、という訳ではないが、好んで生えるには訳があったんだな、と意外であり感心しきり。
    図書館から借りて読んだけど、これはあれだな。
    1冊はちゃんと自分の本を持って散歩するのが楽しいな。
    写真が小さくて花の形が確認出来なかったりするのは多少残念な点もあるが、とても楽しめた!

  • アスファルトの割れ目や石垣の隙間、そんな場所に生えるスキマの植物を紹介する図鑑。
    話題になったど根性大根は逆境にめげずにという文脈で語られたが、実はスキマは植物にとって逆境などではなく、日当りを独占できる格好のスペースなのだという。スキマ植物について詳細に語られているのはあとがきなので、まずあとがきを読んでから本編に入るとよい。
    タイトルには図鑑とあり散歩時のポケット図鑑として使えなくはないが図鑑としてはややデータ不足な印象。では植物に関するエッセイとして楽しめるかというと説明的記述の方が多く、エッセイとして読むにも物足りなさは否めない。中公新書という媒体ならもう少しエッセイ寄りにしてもよかったのかも。
    写真は寄りのものが多い。もう少し引きの写真もあると、よりスキマの状況がわかってよかった気がする。

  • 店頭で衝動買い。スキマ植物、ひごろから気になっていたので。

  • スキマ植物って目の付け所ももちろんいいけど、文章が味わい深くて素晴らしい!
    学者にありがちな専門用語をならべて素人にはわからないし面白くもないというのとも、素人に媚びてやたらと柔らかくしたのとも全く違う。
    専門用語はきちんと分かりやすく簡潔に説明し、読むのを妨げない。言葉づかいは上品でユーモアがある。植物への愛が感じられる。しかも読んで面白い。
    塚谷先生、素敵!
    他の本も読んでみたい。

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著者プロフィール

1964年生まれ。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了、博士(理学)。現職は東京大学大学院理学系研究科教授。岡崎統合バイオサイエンスセンターおよび放送大学客員教授も努める。おもな著書に、『漱石の白くない白百合』(文藝春秋)、『変わる植物学、広がる植物学』(東京大学出版会)、『スキマの植物図鑑』(中公新書)など。趣味は、植物に関するさまざまなこと、エッセイ書き、おいしいもの探索など。

「2018年 『多様な花が生まれる瞬間』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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