音楽を愛でるサル - なぜヒトだけが愉しめるのか (中公新書)

著者 :
  • 中央公論新社
3.17
  • (1)
  • (5)
  • (8)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 101
感想 : 14
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121022776

作品紹介・あらすじ

私たちはふだん何気なく音楽を聴いている。しかし、実は音楽に喜びを見出せるのは人類だけで、他の霊長類には音楽への感性が備わっていない。なぜこのような違いが生じたのか。人類出現とともに社会的なコミュニケーションのツールとして誕生した音楽が、言語と分化し、ウォークマンやiPod、「ひとりカラオケ」など個人で愉しむものに変わるまで。音楽の起源と歴史、機能から、人類の進化の謎を解き明かす。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • なかなか分類し難い本だが、日本文化の中で音がどのような役割を演じてきたのかについて極めて多くの示唆を与えられる好著。特に、日本社会のBGM(歌声付き)の氾濫について、表意文字の伝統、あるいは地歌の存在の指摘は興味深かった。

  • 正直なところ、良くわからない話しだった。でも人は不協和音で構成される音楽を、精神を解放するために求めているというのは納得。コーヒーやビールを始めて飲んだ時もそうだったけれど、幼い時にはそういう音楽は受け付けられなかったもんね。あと関係ないけれど、タイの観光地ロッブリーで、カニクイザルが道行く女性の髪の毛を抜き取りデンタルフロスとして使うというのは驚き。是非見てみたいものです。

  • 京大の霊長類研究所の心理学者が、自身の10年くらいの研究を一般向けにわかりやすく書いた本。
    音楽がトピックの中心であるものの、内容はコミュニケーションを通じて「ヒトとは何か」を考える、かなり幅広いもの。
    内容は専門書とは違い、平易で読みやすい。
    研究を一般向けに書いたもの、よりもさらに一段やさしく書いてあり、どちらかというと一般書+研究者エッセイといった感じ。
    サルもできる心理学者というのはあまり多くないため、ヒト以外のサルとの比較を通じてヒトがヒトたる所以を考えることができるのが本書の特徴か。

    おもしろいが、専門書とは違い引用文献や出典がしっかりしていないため、この本を足がかりに原典にたどり着きたい、より専門的な読み物に進みたいという人には不向き。

    —-以下、ツイッタ。アドレスは2023/09/06

    読了本。正高信男「音楽を愛でるサル - なぜヒトだけが愉しめるのか (中公新書)」 https://amzn.to/47NHUZ5 サルにも詳しい心理学者が書いた本。エッセイ調で読みやすいのが特徴。内容はゴリゴリの音楽だけというわけではなく、ヒトとコミュニケーションに関するものを広く扱う。 #hrw #book #2023b

  • ふむ

  • (「BOOK」データベースより)amazon
    私たちはふだん何気なく音楽を聴いている。しかし、実は音楽に喜びを見出せるのは人類だけで、他の霊長類には音楽への感性が備わっていない。なぜこのような違いが生じたのか。人類出現とともに社会的なコミュニケーションのツールとして誕生した音楽が、言語と分化し、ウォークマンやiPod、「ひとりカラオケ」など個人で愉しむものに変わるまで。音楽の起源と歴史、機能から、人類の進化の謎を解き明かす。

  • 図書館がおくる、「クラブ・サークル向けおすすめ図書」

    クラブ・サークル名 軽音楽部

    請求記号:C-2277 中公新書
    所蔵館 2号館図書館

  • 「ケータイを持ったサル」の方が、まだ面白かったかな…。とにかく著者の専門分野以外の記述のほとんどが、らしい、で済まされる…。もうちょっと調べんかい!とツッコミたくなる箇所が満載です。
    不協和音がアルコールと一緒というのは理解できる。

  • なぜヒトだけが音楽を愉しめるのかに焦点を当てながら、様々な実証実験で音楽と人をめぐる問題を探究していく本書。まさに知の探究だなと思った。作者の問いに対して、探究、考察とつながっていって実に興味深い。章立てだけでも興味深い内容でした。

  • 日常的に使う言葉が音楽表現のなれの果て、という表現が印象的だった。音楽のもつ効能や作用についてというよりは、そもそも音楽とはなんであるのかを問い、筆者なりに解説している本。

  • サルは音楽を全く理解していない!しかし、ペア・デュエットの中国のテナガザル、歯磨を真似るタイのカニクイザル、宮崎の芋を洗うニホンザル、ライオンの群れ同士の闘いで数的有利を認識する!などの例から、音楽だけ、何故異なるのか類推する。人間はいつから音楽を?プラトンがすでに音楽について「リズムと調べは何にもまして魂の内奥へと深くしみこみ、力強く魂をつかむ。・・・しかし気力を溶かし去って、柔弱な戦士を仕上げる」と論じているとはこの本の主張を示唆している。また、カントが判断力批判で音楽を論じている!のは興味深いところ。ブッシュマン(ナミビア)とイヌイット(グリーンランド)のヘビへの恐怖心の違いの分析しているところは人間の深層心理の分析で、この霊長類、心理学の学者らしい。「九九は算数ではなく、音楽!」との主張は実に面白い。五七五調もそうだが、なぜそれを人間は快く感じるのか。この分析が楽しいところ。

全14件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1954年大阪生まれ。専門は、ヒトを含めた霊長類のコミュニケーションの研究。
1983年 大阪大学大学院人間科学研究科博士課程修了
現 在 京都大学霊長類研究所教授

[主著]
ケータイを持ったサル 中央公論新社 2003年
音楽を愛でるサル 中央公論新社 2014年
自閉症の世界(共訳) 講談社 2017年

「2019年 『ニューロダイバーシティと発達障害』 で使われていた紹介文から引用しています。」

正高信男の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ヴィクトール・E...
三浦 しをん
又吉 直樹
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×