カラー版 - ゴッホ〈自画像〉紀行 (中公新書)

著者 : 木下長宏
  • 中央公論新社 (2014年11月21日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121022929

作品紹介

三七歳で自ら命を絶ったヴィンセント・ヴァン・ゴッホ。彼の画家人生は、わずか一〇年あまりにすぎない。その短い歳月に、四〇点を超える自画像を遺した。なぜゴッホはこれほど多くの自画像を描き、そしてそこに何を見いだしたのか-。ゴッホ研究の第一人者が、その求道的な生涯とともに、自画像を一点ずつたどっていく。丹念な作品の読解によって浮かび上がる、新しいゴッホの世界。自画像全点カラー収録。

カラー版 - ゴッホ〈自画像〉紀行 (中公新書)の感想・レビュー・書評

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  • 2015年1冊目。これほど多くの自画像があり、かつ技法の変化があったことに驚いた。

  •  画面に描かれた約束事が見えない物語を伝える。見えない世界は信仰にあるはずだった。信仰儀式を繰り返すだけの形式主義に堕してしまった教会は、重い石炭袋を頭に載せ腰を曲げ足取りもつらそうに歩く坑夫の妻たちから遠く隔たっている。いつの日か彼女たちも教会に暖かく迎えられるときがくるだろうか。暗い画面のなかの娘の背姿に、自分の場所を探し出した。

    『ウルトラマリンの空の地平線に、白い入道雲が湧いているが、それは中景ではない。麦畑の上を群をなして飛んでいく烏も、画面の中景の働きをしていない。この絵を観て「風景」を楽しむ人はいないだろう。オーヴェルでのヴィンセントの「風景画」は、どんどん、風景画の基本条件を備えなくなっていく。』188頁

  • 40数点の自画像は35歳からの4年間に集中的に描かれていることに注目して、ゴッホの真髄を再評価した好著だ.1888.12.23に自分の耳を切断するという異常な行動からか、狂気の天才を称されているが、実際にはそうではないことを証明している.P142のフランス語の手紙の語句の解釈が面白い.肖像画が登場した歴史を踏まえて「ゴッホは短い生涯のなかで、人類の長い美術史の諸時代を駆け抜けた」と述べているのに共感した.また、画家を評価する上での注意点を「絵以外の"事実"で作品を解釈理解すると、"事実"が誘い出した"虚像"のゴッホを見てしまうことになりかねない」と言っている.その通りだと思う.

  • 勉強になりました。

  • ゴッホは37歳で自殺をしてしまった。彼が長生きしていたら、もっとたくさんの絵画が出ていただろう。残念なことだ。それにしてもオランダにいると自殺したくなるのだろうか。

  • 37年の生涯で画家人生はわずか10年。その間に40点を超える自画像を残した。自画像以前の時代、自画像の時代、自画像以降の時代からゴッホ作品の変遷を解説している。カラー図版が多くゴッホの魅力を再認識した。

  • 極めて刺激的。ゴッホへの見方、絵画の見方、最後のエピローグでは歴史の見方すら変わる。炎の人ではなく、試行錯誤をする人がゴッホ。絵画を通して絵画にならないものを求めた部分も感じた。著者のように筆力がある学者さんっているんだな。

  • 「ゴッホいい加減にしろよ(-_-)」
    って思っているのは、私だけじゃないはず。

    弟の稼ぎで絵を描き、
    女に溺れ、
    ストーカーまがいで騒ぎを起こし、
    やっとできた芸術家仲間とは意見相違で仲たがい、
    しまいには耳たぶを自ら切り落とし、
    そんな痛ましい自分の姿すらも作品にし、
    精神病院送り、
    それでも筆は持ちつづけ、
    ある日自分の腹を撃って急逝。

    「芸術家らしい」ことを一手にやってのけた
    このヴィンセント・ファン・ゴッホという画家のせいで、
    現代の芸術家はびくびくしてるんじゃないだろうか。
    「自分は何を切り落とせばいいんだ?」って。

    そもそも、
    ゴッホの絵は、上手いんだかどうなんだか分からない。
    ゴッホの画業は10年程度のものでしかない。
    きっと、「ゴッホより上手く描く」人なんて、この世にザラといる。
    だから思う。
    ファン・ゴッホは、画家と言うよりパフォーマー。

    けれど、この前の ゴッホ展(@東京都美術館) で観た絵は、やっぱり圧倒的だった。

    展示会場でいちばん始めに人々を出迎えたのが、
    「画家としての自画像」(1887-88年)だった。
    焦点の定まらない目。ざらざらとした筆致。
    唇はぬらぬらと濡れたように紅かった。
    色調はわりあい明るいのに、ざわざわと心を揺すぶる情念みたいなのがちゃんとあった。


    この本は、そんなファン・ゴッホの自画像に焦点を当てて年代ごとに追ったもの。
    「自画像では、「自分」を描くというより、自分自身を絵画的な「物質」として扱おうとするヴィンセントである。」(p.154)というのは面白い意見。

    でも、絵を観た時、物質というよりも感情が描きこまれてると思った。笑顔や涙というんじゃなくて、色やタッチに変えることで表現したんだって。

    だから、
    冷静さと感情の入り混じった交差点で
    やじろべえみたいに不安定なバランスを取り続けているのが、
    ファン・ゴッホの絵だと思った。

  • 2015年2月新着

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