天災から日本史を読みなおす - 先人に学ぶ防災 (中公新書 2295)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121022950

感想・レビュー・書評

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  • 第1章 秀吉と二つの地震。 
    第2章 宝永地震が招いた津波と富士山噴火。 
    第3章 土砂崩れ・高潮と日本人。 
    第4章 災害が変えた幕末史。 
    第5章 津波から生きのびる知恵。 
    第6章 東日本大震災の教訓。

  • 九月一日を前に読了。
    防災については、いくら学んでももういいということはない。
    本書では、噴火、台風、土砂災害、高潮、津波など、過去の大災害の記録から、現代に生かせる教訓を導いている。

    自分の命は、自分で守ること。
    避難しはじめたら、何があってもものを取りに戻らないこと。
    事前に家族で避難のしかたや場所について確認しておくこと。
    よく言われることだけれど、これが大事だと再確認できた。

    松は10メートルを超える津波では根元から抜け、流木となって被害を及ぼすことは知らなかった。
    溜池は大地震で決壊して被害を与えることがあるということも。

    土地で災害を語り継いでいるところもあり、磯田さんはその記録を精力的に集めたようだ。
    ここに家を建ててはいけないという形で伝わっていたり、神社の鳥居の高さで水についた高さを示したり。
    翻ってわが身を見れば、今住む土地のことを知らない。
    恐ろしいことだと思う。

  • 『武士の家計簿』で有名な著者であるが、歴史学者のライフワークとして防災史を研究していることに驚いた。しかし、本書を読むと得心できるが、著者の母という身近な人の出身が徳島県牟岐で、そこは津波常襲地かつ母が津波から難を逃れた被災者だったのだ。地震、津波、富士山噴火、土砂崩れなど古文書に残る災害の記録を集積し防災に役立てる著者の研究は、災害のメカニズムを解く理系分野の研究と並行に行なわれることで、より良い防災につながるものと思う。

  • 歴史への理解が浅く、こういう天災史という切り口があるのかと衝撃を受けた一冊でした。1章の伏見の地震についてはそれだけで1つの小説になりそうな位の内容でした。歴史に影響をを与えた地震などの天災はまだまだあると思うので、是非掘り起こして第二、第三のストーリー語ってほしいです。

  • 特に印象に残ったのは5章昭和南海地震(徳島)と6章東日本大震災の教訓の部分。
    災害の経験は、その地に住む人々の口伝・大昔からの記録によりはるか昔から伝えらえてきている。それを軽んじてはいけない。
    災害の記録を伝えていくこと、風化させないことの大切さを改めて実感する内容だった。

  • 2017年3月14日 夫からのプレゼント。

  • 古来から日本人は天災による被害にあい、その記憶と記録を残してきた。残念ながら、のど元過ぎれば熱さ忘れるのが人の性だけれども、本書のように後世に記憶と記録を伝えたい。

  • 日本で生活する以上、地震、津波、高潮、土砂崩れ等の災害リスクに備える必要があることを歴史が証明している。

  • 朝日新聞「be」連載時に読んでいたはずだが、まとめて読むと改めて考えさせられる。
    思い入れが強いこともあり、磯田節全開。
    だが、防災のためには、歴史に学ぶことが重要との主張は、その通りだと思う。先人が残しておいてくれた貴重な記録をきちんと学んでおきたいものだ。

  • 正直、期待していたものと違った。災害が日本史に与えた影響ということだったので、もっと大きな視点から、歴史的事件や歴史の転換点に与えた影響を分析しているのかと思ったら、筆者のそれまでの研究・調査やそれを通じて集めた資料を五月雨式に紹介しているだけの感を、終始ぬぐうことが出来なかった。巻末で、朝日新聞に連載されていたものを加筆修正したということがわかって、まあ納得はしたけれど。
    郷土の天災記録から学ぶというスタンスはとても良いことだと思う。ただ、紹介されているものがいかんせんローカルなので、地図や地形図がなく、文章だけで説明されてもこれまた期待はずれ。
    そして、確かに古文書や歴史的史料から学べることは多いのだけども、筆者は歴史学者にすぎず、地震学者や火山学者ではないのであって、それらの専門家が科学的に慎重な姿勢を崩さずにいることを、古文書から断定的に判断するのもいかがなものかと思った。とにかくいろいろ残念だった。
    私個人的に一番ショックだったのは、先祖の跡を絶やさず、孝を重んじるために、自分が生き延び、あるいは老親を助けようとして幼児を犠牲にする例が2件も紹介されていたこと。今の価値観とは全然違う…。このような、私たちが今の価値観で昔の災害記録や災害の歴史を学んでしまった時の齟齬について、もっと厚く詳しく解説してくれた方がよかったのではないのかな。確かにそこにつながる一文は書かれていたから…「家族の生活や生い立ち、価値観は避難に影響する」(P155)

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著者プロフィール

磯田道史
1970年、岡山県生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(史学)。茨城大学准教授、静岡文化芸術大学教授などを経て、2016年4月より国際日本文化研究センター准教授。『武士の家計簿』(新潮新書、新潮ドキュメント賞受賞)、『無私の日本人』(文春文庫)、『天災から日本史を読みなおす』(中公新書、日本エッセイストクラブ賞受賞)など著書多数。

「2022年 『日本史を暴く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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