道路の日本史 - 古代駅路から高速道路へ (中公新書 2321)
- 中央公論新社 (2015年5月22日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121023216
作品紹介・あらすじ
邪馬台国の頃には獣道しかなかった日本列島も、奈良時代になると幅12mの真っ直ぐな道が全国に張りめぐらされ、駅馬の制度が設けられた。中世には道路インフラは衰退したが、徳川家康は軍事優先から利便性重視に転換して整備を進める。明治以降は奥羽山脈を貫くトンネルを掘った三島通庸、名神高速道路建設を指揮したドルシュなど個性溢れる人物の手によって道路建設が成し遂げられる。エピソード満載でつづる道路の通史。
感想・レビュー・書評
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2015年5月刊。
大昔の道路から、高速道路まで。著者は高速道路の計画に携わってきた人。
【引用メモ】
われわれのやり方は地図上に定規で線を引き、折れ曲がる地点に円弧定規でカーブを挿入する方法だった。(中略)ところがドルシュ(ドイツから来た道路計画の専門家)は(中略)フリーハンドで線形を描けという。そして、その自由に描かれた線を基礎に、円定規とクロソイド定規を使って、工学的に計算できる線に置き換えるのである。(中略)結果として、高速道路の線形は流れるように美しく、周囲の地形に調和したものになる。(p.193)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
国家の性格と道路網が構築されていく過程の関連が、
古代ローマの時代まで遡り考察されている。
古代の道のあり方と現代の道のあり方が類似しているということも大変興味深い。
なんといっても、鉄道が整備される近代までは「駅」という言葉が指すのは道路の要所である、というのが印象的だった。
「道の駅」のほうが「駅」としては元祖なのかもしれない。 -
勉強になりました。
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歴史の学び方って、いろいろあるんだと思いますが、道路に着目して学ぶのはかなり面白そうですね。
とくに理系の人は、こういう切り口が好きなんじゃないでしょうか。
「すべての道はローマに続く」という言葉がありますが、この言葉は、ローマ帝国が道を大切にした証でもあったんですね。
道路は、実は単調増加で発展してきたわけではなく、古代に一度、ものすごく整備され、荒れ放題の中世を経て、近代に再整備されたんですね。
いろいろと学ぶことができた、良書でした。 -
なかなかの秀作。古代から現代に至る道路事情を諸外国の目も通してかいてある。筆者は道路技師。技師の技術的な視点もよい。
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邪馬台国の頃には獣道しかなかった日本列島も、奈良時代になると幅12mの真っ直ぐな道が全国に張りめぐらされ、駅馬の制度が設けられた。中世には道路インフラは衰退したが、徳川家康は軍事優先から利便性重視に転換して整備を進める。明治以降は奥羽山脈を貫くトンネルを掘った三島通庸、名神高速道路建設を指揮したドルシュなど個性溢れる人物の手によって道路建設が成し遂げられる。エピソード満載でつづる道路の通史。
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タイトルに『日本史』とあるので、いわゆる日本史に関わる道路の編選的なものを想像していたのだけれど、本書は『日本史』よりは『道路』の方に重きがあり、『道路の成り立ち』よりは『在り方』を中心にしているため、導入部はかなり読みにくかった。しかし、あくまで『道路の在り方』が中心にあると分かれば、著者の語り口はリアルでとても面白い。この日本という国の行き先を考えるに、良い参考図書だと思う。
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