トウガラシの世界史 - 辛くて熱い「食卓革命」 (中公新書 2361)

著者 :
  • 中央公論新社
3.43
  • (6)
  • (21)
  • (28)
  • (5)
  • (1)
本棚登録 : 319
感想 : 33
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121023612

作品紹介・あらすじ

比類ない辛さが魅力のトウガラシ。原産地の中南米からヨーロッパに伝わった当初は「食べると死ぬ」とまで言われた。だが、わずか五百年のうちに全世界の人々を魅了するに至った。ピーマンやパプリカもトウガラシから生まれた。アンデスの多様な野生トウガラシ、インドのカレー、四川の豆板醤、朝鮮半島のキムチ、日本の京野菜…。各地を訪ね、世界中に「食卓革命」を起こした香辛料の伝播の歴史と食文化を紹介する。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 案の定辛いものが食べたくなりました(笑
    民族学者さんが、以前専攻していた植物学の知識を使いながら、トウガラシの性質や、それが世界各地でどう使われているかを纏めた本。
    タイトルは「トウガラシの世界史」となっていますが、読後感としては「世界のトウガラシ」かなぁ。。(「○○の世界史」と題した本が中公新書から何冊か出ているので、それに合わせたせいか)

    もともとトウガラシ自体は鳥向け(鳥は辛さを感じないとか!)に果実をつけていたという話や、大航海時代をきっかけに中南米から世界各地に広まった(トウガラシを使ったキムチも1700年代からのもの)という話など、興味深い話がちょこちょこ出てきます。口絵や本文中の写真・地図等が多いのも好感。

    学者さんらしく誠実な物言いで書かれているのですが、トウガラシの伝来ルートの推測などはノンフィクション・ライターであればもうちょっと突っ込んで調べたり、ストーリー感を盛ってドラマチックに書けたりするだろうなぁと思ったので、ちょっと勿体ないなぁという感覚は持ちました。
    とは言え、辛いものと本が好きなら読んで満足するのは間違いないのでは。終章のトウガラシから得られる栄養のくだりも良い読後感をもたらしてくれます。

  •  書名に「世界史」とあるが、歴史の部分は筆者の推測が多く、新大陸から世界への伝播の過程の解明を大いに期待していたのでやや期待外れ。世界の各地域を取り上げているので仕方がないのだろうが、まとまった内容とも言えず、筆者の個人的体験も入っている。「私が見たトウガラシと世界各地の生活」という書名ならよかったかもしれない。
     ただ、それだけに軽く読み流すには悪くない。ハンガリーのグヤーシュ(パプリカ使用)や辛い四川料理はせいぜい100年ほどの歴史に過ぎないこと。インドや朝鮮半島へのトウガラシの伝播は16~17世紀頃、それ以前はインドのカレーは胡椒味の辛さで、キムチもトウガラシ抜きであったこと。

  • 原産地中南米からヨーロッパ、アフリカ、アジアへの伝播、変遷。野生種は小さく、下向き、辛いー身を守る為。栽培種は上向き,色もいろいろ。鳥は辛さを感じない野生種は繁殖ができるのだ。

  • 表紙をめくると、目にも鮮やか、口が熱くなりそうな写真が飛び込んでくる。
    真っ赤で辛くて美味しいトウガラシ。
    これは一体どこでう前、どのように広がり、どう使われてきたのか。
    小さいけれどすこびる(すこぶる)衝撃的なトウガラシの旅へ!

    トウガラシの生まれは中南米。
    どうもそこらへんに生えていたものらしく、今でも野生種が残っているという。
    大航海時代を経てヨーロッパに伝わったばかりの頃、彼らはこう言われていた。
    「食べると死ぬ」と。
    しかしそんな「死」を連想させる彼らは今ではカレーになくてはならないもの、ブータンではこれ抜きなんて考えられない、韓国では生活の一部となって私たちの舌をヒリヒリさせている。

    辛い辛い、でもつい食べてしまう。
    動物たちの中でもこんなへんてこな好みを持つのは我ら人間だけ.....ではないのだ。
    なんと鳥はパクパクとついばむのだそう。
    なぜなら、鳥たちは辛さを感じないからなのだそう。
    食べられて遠くまで運ばれ種を増やすことができる上に発芽率も上がるということだ。
    生命の不思議!

    この唐辛子の辛さを測定したいと思った人がいた。
    名をウィルバー・スコヴィルと言う。
    舌で感知できなくなるまで薄めて味わうという極めて単純な方法ながら、スコヴィルという単位を生み出し、機械測定できるようになった今でもこの単位を使う人は少なくない。
    日本の鷹の爪は50000スコヴィル程度らしいのだが、最初の方は辛くてヒーヒー言わなかったのだろうか.....。

    私の大好きなパプリカ。
    肉厚で美味しく、生でも火を通しても食べられ、彩り豊かな食卓になるので重宝している。
    スーパーで見るそれは大抵韓国産。
    しかし!パプリカの原産地はなんとハンガリー。
    これは知らなかった。
    しかも、壊れやすいビタミンCを効率的に抽出するにはこのパプリカが大活躍!
    ビタミン研究の立役者というのだから侮れない。
    ハンガリーに行った際には是非ともパプリカ料理を堪能したいものだ。

    トウガラシ、小さな体の偉大な冒険。
    敬意を示して今夜のおかずにはトウガラシ料理はいかが?
    とはいえ.....辛すぎない程度でお願いしますね。

  • この手の本ではひさびさのツボ本。ともかく面白い。

  • 2024年1月

    国立民族学博物館のミュージアムショップで発見し面白そうだと思ったので購入!

    1章、2章は生物学寄りの内容で、3章以降は食文化に焦点を当てた民族学寄りの内容でした。
    トウガラシという存在が食文化を大きく変えたというのはすごい 辛い料理、好きだから、日本がトウガラシを食文化として受け入れてくれたことに感謝^⁠_⁠^

  • 新大陸から伝わった当初は「食べると死ぬ」とまで言われたトウガラシ。だが、わずか500年のうちに世界を虜にした。原産地の中南米から日本まで、世界中に「食卓革命」を起こした香辛料の伝播の歴史と食文化を紹介する。【「TRC MARC」の商品解説】

    関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40236784

  • ■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
    【書籍】
    https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1001081968

  • 2021年4月期展示本です。
    最新の所在はOPACを確認してください。

    TEA-OPACへのリンクはこちら↓
    https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00523477

全33件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1943年生まれ。京都大学大学院博士課程修了、農学博士。現在、国立民族学博物館教授、総合研究大学院大学併任教授。専門は民族学、民族植物学、山岳人類学。1968年よりアンデス、アマゾン、ヒマラヤ、チベット、アフリカ高地などで主として先住民による環境利用の調査研究に従事。1984〜87年にはペルー、リマ市に本部をもつ国際ポテトセンター社会科学部門客員研究員。主な著書に『インカの末裔たち』(日本放送出版協会、1992年)、『ジャガイモとインカ帝国』(東京大学出版会、2004年)、『ラテンアメリカ楽器紀行』(山川出版社、2005年)、『雲の上で暮らす——アンデス・ヒマラヤ高地民族の世界』(ナカニシヤ出版、2006年)、編著に『世界の食文化——中南米』(農産漁村文化協会、2007年)。アンデス・ヒマラヤにおける高地民族の山岳人類学的研究により今年(平成18年)度の秩父宮記念山岳賞などを受賞。

「2007年 『アンデス高地』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山本紀夫の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
エラ・フランシス...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×