食の人類史 - ユーラシアの狩猟・採集、農耕、遊牧 (中公新書)

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著者 : 佐藤洋一郎
  • 中央公論新社 (2016年3月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121023674

作品紹介

人は食べなければ生きていくことはできない。人類の歴史は、糖質とタンパク質のセットをどうやって確保するかという闘いだった。現在、西洋では「麦とミルク」、東洋では「コメと魚」の組み合わせが一般的だ。だが、日本を例にとっても山菜を多食する採集文化が色濃く残っているように、食の営みは多様である。本書は、ユーラシア全土で繰り広げられてきた、さまざまな「生業」の変遷と集団間の駆け引きを巨細に解読する。

食の人類史 - ユーラシアの狩猟・採集、農耕、遊牧 (中公新書)の感想・レビュー・書評

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  • 『食の人類史――ユーラシアの狩猟・採集、農耕、遊牧』
    著者:佐藤洋一郎(1952-)

    【書誌情報】
    初版刊行日 2016/3/25
    判型 新書判
    ページ数 308ページ
    定価 本体920円(税別)
    ISBN 978-4-12-102367-4

    人は食べなければ生きていくことはできない。人類の歴史は、糖質とタンパク質のセットをどうやって確保するかという闘いだった。現在、西洋では「麦とミルク」、東洋では「コメと魚」の組み合わせが一般的だ。だが、日本を例にとっても山菜を多食する採集文化が色濃く残っているように、食の営みは多様である。本書は、ユーラシア全土で繰り広げられてきた、さまざまな「生業」の変遷と集団間の駆け引きを巨細に解読する。
    http://www.chuko.co.jp/shinsho/2016/03/102367.html


    【目次】
    口絵写真
      口絵1 遊牧 
      口絵2 オオムギ畑 
      口絵3 ユーラシアの植生 
      口絵4 棚田 
      口絵5 アワ畑 
    はじめに [i-vii]
    目次 [viii-xiii]

    第一章 人が生きるということ 001
    生きるとはどういうことか 001
    ユーラシアに展開した人類の集団 011
    生業の原点――暮らしの作法 022

    第二章 農耕という生業 033
    農耕とは何か 033
    作物や家畜からみた農耕のおこり 038
    農耕の四つの起源 054
    人類はなぜ農耕を始めたのか 076
    農耕に支えられた衣と住 082

    第三章 アジア夏穀類ゾーンの生業 089
    アジア夏穀類ゾーンの区分け 089
    落葉広葉樹の森で 094
    照葉樹林に生きた人びと 114
    熱帯の森の生業 134
    インド世界の生業 144

    第四章 麦農耕ゾーンの生業 153
    麦農耕とは何か 153
    遊牧という生業 160
    麦――もうひとつの主人公 175
    麦農耕ゾーンの生業体系 192
    欧州における生業 207

    第五章 三つの生業のまじわり 225
    農耕文化と遊牧文化の対立 222
    交易の担い手としての狩猟・採集民と遊牧民 234
    融合した二つの文化 241
    定住文化と移動文化のかかわり 251
    海の生業をどう考えるか 255

    終章 未来に向けて 267

    おわりに(京・小倉山を望む寓居にて 佐藤洋一郎) [275-279]

  • 20171121

  • 農耕、狩猟採集、遊牧の三大生業を軸に人類の食と食糧生産獲得の変遷を、糖質とタンパク質の確保という軸から解説。
    人類学に興味があるならどうぞ。

  • 食の確保が人類史を考える上での大きな視点であることは間違いない。「たかが食、されど食」なんと私たちは食の問題を卑小な問題と考えてしまっている事か!しかし人類の文化史そのものでもある。そして食べる行為を通して人間は社会性を高めていったということは否定できない!東西の交流において遊牧民の果たした役割について著者が極めて評価していることは、そういう意味で説得力がある。旧約聖書に出てくるいろいろな食べ物の名称もこのような観点では新鮮だ。ネアンデルタール人とクロマニオン人の接触の可能性などにまで及び、実に雄大な着想。和食文化がユネスコの無形文化遺産に登録されたこともこの延長線上で理解しやすい。しかし、今の日本では、食材の生産はおろか、加工や調理さえもしない、「食の外部化」の極致!との指摘は全くそのとおりだと思う。

  • テーマは「狩猟・採集、農耕、遊牧」
    着眼点は「糖質とタンパク質」

    東洋では「米と魚」、西洋では「麦とミルク」の組み合わせが一般的だが、動物資源に関して、前者は天然資源に寄るところが大きいのに対して、後者は天然ものへの忌避がある。
    キリスト教には「神が作った家畜を食べるべし」という考えが根底にある。

    これは初めて知った。
    農耕民族である日本人に対して西洋は狩猟民族で、という漠然としたイメージがあった気がしたけど、これはキリスト教以前のゲルマン民族のイメージってことかなあ。

  • 2016年4月新着

  • 著者の佐藤洋一郎氏は、元総合地球環境学研究所教授・副所長の農学者。
    本書は、ユーラシアの人類が進化し、文明化を遂げる中で、“食”に関してどのような歴史をたどり、現在に至ったのかを概観したものである。
    その際、著者は2つの観点から、全体を整理している。一つは、生物としての人間の生存に欠かせない栄養素である「糖質」と「タンパク質」を何から摂取したのか、もう一つは、「狩猟・採集」、「農耕」、「遊牧」という大きく3つに分かれる生業のいずれから食料を得たのかという観点である。
    そして、ユーラシアを、東の夏穀類ゾーンと西の麦農耕ゾーンに分けて以下のように分析している。
    ◆中央アジアの乾燥地帯の東側の地域は、大半が夏雨地帯で降水量も相対的に多く、豊かな水に支えられた森が、温度条件の差異により、北から針葉樹林、落葉樹林、常緑広葉樹林、熱帯雨林と、緯度帯に沿って広がっている。そして、食料については、それぞれの森の性格に応じた地域分けができるが、概ね、夏穀類(糖質)と魚(タンパク質)の組み合わせ、即ち、「米と魚」または「雑穀と魚」というパッケージであった。また、これを生業という観点から見ると、「農耕」と「狩猟・採集」によるものである。
    ◆一方、西側の地域は冬雨地帯で降水量も概して少ないが、地域のバリエーションは温度条件よりも水分条件に依存し、南北よりも東西方向に大きい。そして、食料については、冬穀類(糖質)と家畜(タンパク質)の組み合わせ、典型的なものとしては「麦とミルク」というパッケージであった。また、生業の観点から見ると、「農耕」と「遊牧」によるものである。この地域で、タンパク質を得るための動物質の食材が、天然資源ではなく家畜(人が作った動物)であるというのは、「家畜は神が人に与えたもの」というキリスト教の思想を反映したものとも言える。
    更に著者は、3つの生業のかかわりについて、相互補完的でありながら相互対立的でもあったといい、「農耕文化」と「狩猟・採集文化」、或いは時代が下ってからは「農耕文化」と「遊牧文化」が、土地の利用形態を巡って対立を続けてきたこと、西ユーラシアが原産と考えられるコムギの東への伝播は交易の担い手であった遊牧民によってであった可能性が高いこと、などを挙げている。
    『食の人類史』という壮大なテーマには答え得ていないが、現在のユーラシア各地の食文化の歴史・背景を知る上では有用な書であろう。
    (2016年4月了)

  • これは本当に新書ならでは。つくづく感心。

  • 食のグローバル化は地域という存在自体を死に追いやりつつある。
    p.34

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