第一次世界大戦史 - 諷刺画とともに見る指導者たち (中公新書 2368)
- 中央公論新社 (2016年3月24日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121023681
作品紹介・あらすじ
一九一四年に勃発した戦争は、当初の予測を裏切り、四年以上に及ぶ最初の世界大戦となった。その渦中で、皇帝や政治家、軍人などの指導者は、どのような選択と行動をし、それは戦況にいかなる影響をもたらしたのか。本書は重要人物や戦場を描いた一〇〇点近くの諷刺画を織り交ぜ、当時を再現しながら、戦いの軌跡をたどる。複雑な背景を持ち、八五〇万人以上の戦死者が出た大戦を多面的に読み解き、実態を示す。
感想・レビュー・書評
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各政府の指導者層を中心によくまとめられた概説書だと思う。風刺画は豊富だが、著述の核になっているわけではなく、ユーモアを添える役割を果たしている。
以下、記憶の限り。
ヒンデンブルクとルーデンドルフの英雄コンビのその後やカイザーの最後。ニコライ公皇帝の最後。ラッセルとヴィトゲンシュタイン。イタリアの扱い。無限潜水艦作戦について。オーストリア皇太子夫妻かわいそう。
ヴィルヘルムの世界政策とチンタオ。ロイドジョージとクレマンソーの共通点。民主主義のための戦いアメリカ。ロシア革命がアメリカ参戦を後押し。 -
1914年
6/28 サラエボ事件
7/28 オーストリアがセルビアに宣戦布告
7/30 露 総動員令
8/1 仏独 総動員令
8/4 独がベルギー侵攻、英参戦
8/7 日英同盟のよしみで日参戦
日本は7番目の参戦国(墺セ露仏独英日)
10/29 オスマン帝国参戦
1915年
4/22 ドイツ軍が史上初めて、本格的に毒ガス(塩素ガス)を戦上で使用
4/25 アンザック軍(オーストラリア・ニュージーランド)トルコのガリポリ半島上陸。ムスタファ・ケマル率いるトルコの勝利。 -
第一次世界大戦に関する本が少ない中、本書は戦争の原因から経過まで一通り記述されており全体像をつかみやすい。新書とコンパクトでありオススメ。
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実は教科書の記述以上のことって知らなかった。
どの国もこんな戦いになるなんて思ってもいなかったし、やってみたら技術革新とあいまって犠牲者の数も信じられないことに。こんなマヌケな話が事実だってことに驚く。オーストリア皇太子夫妻が認められない結婚だったから、サラエボ旅行が可能だったというのは悲しすぎる逸話だにゃあ。 -
第二次に比べて学ぶ機会の救えない第一次世界対戦。「人物」に主眼を置き、堅苦しくない文章はドラマ的で読みやすかった。
センスと毒気がある風刺画が戦況や国民感情を上手く表現していて各国の複雑な背景や駆け引きもイメージしやすい。
君主制の終結、戦時中に起きたロシア革命など歴史の転換点でもあり、第二次世界対戦や現在まで続く国際問題の始まりにもなった戦争なので教養としても役立つ。 -
長大な西部戦線、東部戦線。塹壕戦、毒ガス兵器、兵士の大量殺戮が行われた長期消耗戦。第一次世界大戦のイメージがざっくりと掴めた。途中までドイツがかなり優勢だったこと、精強なドイツ軍に対して、他のヨーロッパ諸国の軍隊がかなり弱かったこと、ドイツは完敗したわけではなく余力を残していたこと、敗戦国への不当ともいえる厳しい要求が第二次世界大戦の原因となったこと、君主が実権をもつ国はいずれの国も君主に大なり小なり振り回されたこと、などは興味深かった。
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書籍についてこういった公開の場に書くと、身近なところからクレームが入るので、読後記はこちらに書きました。
http://www.rockfield.net/wordpress/?p=7769