天使とは何か キューピッド、キリスト、悪魔 (中公新書)

  • 中央公論新社 (2016年3月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784121023698

感想・レビュー・書評

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  • #2025年に読んだ本 3冊目
    #1月に読んだ本 3冊目

    キリスト教のなかからの本
    ギリシャ神話のこととか「異教」と
    表現されてた

    そして美術史的な本だった

  • 借りたもの。
    西洋の美術や文学に現れる「天使」とは一体何なのか?
    この本は、巷によくあるオカルト一辺倒なものではなく、美術からその図像を解釈するだけのものではない。
    「天使」というイメージの中にある奥深さを紐解いていく一冊。

    そもそも聖書の正典だけでなく、外典にも表れる天使。彼らはキリスト教と異教、正統と異端の境界を揺るがす存在だった。
    神学者たちが真面目に?天使について論じていた内容に触れ、古代自然哲学の一環(要素)として現れたり、占星術のつながり(確かにイエスの出生を予言したのも占星術に基づいていた)もあったし、異教の神々の性質を引き継いでいたり。
    古代から人々の信仰の対象にもなっていた。それは宗教の枠を離れ今日でも映画やアニメで人々を魅了する。

    今のキリスト教では「神の子」とするイエスを、かつては「天使」と解釈する論説があったこと(異端となった)。「神の子」と人間を繋ぐ橋渡しとしての天使たち。
    それは幻視という形を取り、そのイメージ、ヴィジョンが美術で表現されるようになる。
    ボエティウスの「宇宙の音楽」が「天使の合唱・合奏」となり、美術表現に落とし込まれてゆく。

    悪魔(堕天使)についても言及。
    『創世記』では「神の子」である天使が人間と交わって「英雄たち」を生んだという。それが人間に「悪」をはびこらせたというが、それはこの際どうでもいい(古代の人の後付け、責任転嫁っぽいから。単に悪魔のルーツが天使であるという話をしたいだけだろうし)、ギリシア神話のティタン神族の神話との類似性を指摘。
    ここではキリスト教とギリシア神話の境界が曖昧になっている。
    また、堕天使たちの行動から人間の「自由意志」問題を垣間見る。

    最後は近代以降の宗教教義や古代自然哲学の解釈を離れた天使たちを紹介。それはもはやミューズだ。

  • ギリシア語 アンゲロス=伝令、使者

    angel ユダヤ・キリスト教
    キューピッド 異教
    (古代ギリシアでエロス、ローマでクピドやアモル)

    神の愛アガペー>地上の愛エロス

    34 新プラトン主義と天使論
    マクロコスモス宇宙とミクロコスモス人間
    ダンテ

    44 ユダヤにおいてイエスと天使が混同
    →天使崇拝、終末思想@第二神殿時代

    天使キリスト論と天使型キリスト論

    81

    91 天使と音楽

    144 自由意志

    202
    アール・ブリュット
    アウトサイダー・アート

  • キューピッドと天使が習合するのは容易に想像できるが、
    キリストと天使の境界も曖昧だったとは驚き。
    そういえばロビンソン・クルーソーにも
    キリストは天使か否かの話がチラッと出てきた。

    俗なものと見なされていたものが
    聖なることとみなされるようになっていく様子が
    天使の描かれ方・解釈のされ方で見えてくるのは興味深い。

    時代が下るにつれ、絵画・写真・文学に神やキリストが不在であっても
    天使が必要とされ続けてきたというくだりが印象的。

    また、快楽として遠ざけられていた地上の音楽が
    14世紀の発展を経て、
    まず天使に託されたことで蔑視から免れていく過程(第3章)は自分にとって身近なテーマでもあり興味を持った。

    他は堕天使を必ずしも絶対悪と見做していないような図像に興味が湧いた。
    時代と地域は改めてチェックしたいところ。

  • 天使がどのように伝えられて来たかよくわかった

  • " さらに、「天使は、あたかも全身これ心臓であり、/頭脳であり、眼であり、耳であり、知性であり、感覚である/かの如くに生きており、自由自在、その思うとおりの体軀を/自ら具え、また好むがままに、密であれ疎であれ、いかなる色であれ、いかなる形、大きさあであれ、具えることができるのだ」(VI:349-353)" p..157 ミルトン『失楽園』からの引用

    "近未来や近過去のことは人間の占い師の水晶球のなかにも映るかもしれないが、蒼穹の過去の時間の記憶をまざまざとよみがえらせることができるのは、ただ天使の水晶球だけなのだ。" p.185


    ギュスターヴ・モロー『パルカと死の天使』の図像を見るに、縁遠いと感じていたキリスト教の宗教美術は形を変えて意外にも身近にあったのだと感じた。本書には時代による天使のイメージの受容の変化も取り扱っているから、AD&D系ファインアートやきたのじゅんこにそれを見出したと告白しても怒られはしまい。『パルカと死の天使』から想起されるのはもちろんデスナイトだ。

    トールキン教授が創造した世界には元ネタがあるのだろうかと、探しもせずに長く問うてきた。カレワラという意見を見かけて読んでみたけれども、登場するパワフルな爺にイスタリを見たくらいで、神話世界的に似た雰囲気は感じなかった。これまで漠然とそうではないかと感じていたが、本書を読んで、キリスト教の神学が大きな幹と考えて間違いなさそうだと思えた。
    二本の木は生命の樹と知恵の樹であろう。創生の音楽は、古代ギリシャで論じられた音楽論であろう。本書に曰く"古代ギリシアのピュタゴラスやプラトン以来、音楽とは、まず何よりも宇宙の数学的な構造にかかわるものであり、天体がその回転とともに奏でているものであった。「調和(ハルモニア)」はここから生まれてくる。" (p.87)。
    モルゴスは直球で堕天使であろう。

    TRPGをやらなくなって久しくコレ系から離れていたが、故郷に帰ってきた感がある。インスピレーションを刺激される。よい読書だった。

    ところで、本書に「サルクス」なる語が紹介されている(p.50)。
    Wikipediaに曰く――
    ”聖書におけるサルクス(肉)の独特な用法は、神学的なもので、サルクスとは、創造主である神から背き去り、いのちの源である真の神を見失って、生まれつき罪に傾く性質を帯びた人間、また、その性質を意味する。人は罪を犯したがゆえに罪人と宣告されるだけでなく、この罪に傾く性質を生まれながらにして有しているゆえに罪人とされる。”
    アークナイツのサルカズの語源でよさそうなカンジ?

  • 配架場所・貸出状況はこちらからご確認ください。
    https://opac.shigakukan.ac.jp/opac/volume/331184

  • 天使という概念がどのように受容されてきたかを,さまざまな絵画から読み解く。

  • 芸術作品としての天使、大天使ミカエル、大好きなモローの作品について、個人的な好みの部分を重点的に読んでみた。うーん、難しい。かなり時間をかけないと理解できない。とりあえず「エフェメラル」という言葉を覚えた。

  •  岡田先生の著書をひもとくのも3冊目。宗教学・図像学、二本の軸足を学際的に広げてゆく筆勢が心地よい。
     14世紀、音楽がモノフォニーからポリフォニーへ発展するにつれ、絵の中の天使たちが楽器を手にするようになったという指摘に感心する。また、初期の音楽は器楽より声楽が高く位置づけられていたのも知らなかった。それで「天使の歌声」なのか。
     160ページの引用図版、ブレイクによるサタンの絵が素晴らしい。私が悪魔なら「どこまでもついてゆきます!」と言いたくなるところ。

  • b198-20180128
    吹田市立中央図書館山田分室

  • 20190623
    抽象的な音楽にたいして、具体的な声楽や器楽は感覚的なものとして、一段と低く見られる傾向にあったのだ。とはいえ、宇宙(コスモス)がその数学的秩序によって音楽的な調和を保っているとする発想は、近代的な天文学の発展の原点となるものである。また、可聴域の外にあるような宇宙の「音」を探ろうという最新の研究もあるようだ(神話はつねに回帰してくる)。
    (p.87)

  • おもに絵画に描かれた天使像を中心に、その描かれ方から天使に対する歴史上の扱われ方を見ていく。多神教の影響が大きく異教の神・霊的存在という要素と習合し、キリストと同一視されてきた天使の設定がキリスト教の厳格化とともに教義上のシンボルとなりかけたが、芸術家をはじめとする人々の欲求が天使の描写を通して異端的だが魅力あるものに仮託されるようになっていく。堕天使・悪がいるからこそキリスト・善なるものも輝く。

  • ●天使と一言に言っても、その時代その場所によってさまざまな描かれ方がしていることがわかり、興味深かった。

  • 天使の側面が見えて面白い。翼をもって様々な境界をものともせず飛び交うものなのだな。

  • 神、天使、堕天使、悪魔・・・
    目からウロコなことがたくさん。おもしろかったです。

  • 2016年4月新着

  • 書籍についてこういった公開の場に書くと、身近なところからクレームが入るので、読後記はこちらに書きました。

    http://www.rockfield.net/wordpress/?p=7455

  • H田さんも推してたのでゲットしてみた。初出の記載はなかったが、ちょっと新書書き下ろしとは思えないような充実した内容であった。

    日本の神仏に限らず、信仰の対象というのはたやすく習合してしまうようで、ユダヤ教や異教とキリスト教、さらに人間と神の中間存在である天使はその境界もはっきりしない。ニカイア公会議以来、キリスト教正統教義の懸命の定義づけにもかかわらず、現在に至るまで、過去のコンテクストを引きずりながらも自由に飛び回る天使たち。
    「神は死んだ」以後、よりいっそう自由に表現されるようになった近現在の天使像を解説した5章が個人的には一番面白かった。

  • エンジェルとキューピッドは何が違うのか。キリストがかつて天使とみなされていたのはなぜか。堕天使はいかにして悪魔となったか。「天使」と聞いて、イメージが浮かばない日本人はいないだろう。しかし、天使をめぐる数々の謎に直面したとき、私たちは想像以上に複雑な陰影を彼らがもっていることに気づくはずだ。天使とは一体、何者なのか――。キリスト教美術をゆたかに彩る彼らの物語を追いかけてみよう。

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著者プロフィール

【著者】岡田 温司(おかだ・あつし)
1954年広島県生まれ。京都大学名誉教授。
西洋美術史、思想史。著書に『モランディとその時代』(人文書院、2003年、吉田秀和賞)、『フロイトのイタリア』(平凡社、2008年、讀賣文学賞)、『映画とキリスト』(みすず書房、2017)、『映画と黙示録』(みすず書房、2019)、『イタリア芸術のプリズム』(平凡社、2020)。訳書にロベルト・ロンギ『芸術論叢』(中央公論美術出版、1999年、ピーコ・デッラ・ミランドラ賞)など多数。

「2025年 『映画が恋したフロイト』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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