江戸の災害史 - 徳川日本の経験に学ぶ (中公新書)

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  • 中央公論新社
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レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121023766

感想・レビュー・書評

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  • 『江戸の災害史』となっているが、ただ単に江戸時代に起こった災害について述べるのではなく、その災害に応じて、幕府や藩、町・村といったシステムがどのように機能したのか、つまり災害対応していったのかを丁寧に述べている。

    本書を読んで、やはり日本は自然災害が多い国だということを思い知る。
    地震はもちろん、火山噴火、大雨・洪水といった自然災害に見舞われる。

    忘れてはいけないのは、「飢饉」という災害である。

    現代では、正確な天気予報、容易にその情報を入手・活用でき、また、自然環境に強くなるように品種改良されてきたおかげで、飢饉といった自然災害はほとんどなくなったが、いつ何時、そのような災害が起こるかわからない。


    繰り返しになるが、「日本」という国土は、ほんとうに自然災害が多い国で、それが、時を経ずして、あちこちで起こっているということ。
    そういう脆い環境の中で成り立っているということを痛感した。

    「あとがき」にもあるが。「『歴史から学ぶ』とはどういうことか」を考えるよい本だった。

  • カテゴリ:図書館企画展示
    2016年度第9回図書館企画展示
    「災害を識る」

    展示中の図書は借りることができますので、どうぞお早めにご来館ください。

    開催期間:2017年3月1日(水) ~ 2017年4月15日(金)
    開催場所:図書館第1ゲート入口すぐ、雑誌閲覧室前の展示スペース

  •  今日は、東大大学院教授のロバート・キャンベルさんを取材。都内某所のご自宅にて。

     キャンベルさんとは初対面である。
     日本語がご堪能、などというレベルを飛び越えて、我々日本人よりもはるかに深く、日本語と日本文学を理解されている方である。「いやはや、すごいものだ」と、お話を伺いながら感嘆。

     倉地克直著『江戸の災害史――徳川日本の経験に学ぶ』(中公新書/929円)を読んで取材に臨む。
     この本自体はキャンベルさんと直接関係ないのだが、今回の取材テーマの関連資料として。

     前に当ブログで『地震の日本史』(寒川旭)という本を取り上げたが、本書は地震だけではなく、火山の噴火・大火・津波・飢饉などさまざまな災害を広く扱っている。逆に時代レンジは狭まり、日本史全体ではなく、江戸時代300年に的を絞っている。
     2冊を併読すると、いっそう勉強になると思う。

     江戸時代は、大きな戦乱がなかったという意味では平和な時代だったが、一方では大災害が矢継ぎ早に起きた時代であった。
     その災害に人々がどのように立ち向かったのかを、幕府・各藩・地域社会・各家庭という4つのレイヤーから描き出して、読み応えがある。いまでいう「自助・共助・公助」が、江戸時代にもあったのだ。

     飢饉こそないものの、それ以外は江戸時代同様に災害が頻発する現在の日本――。そこに生きる我々にとって、江戸時代の災害対策の智慧から学ぶべきことは多い。

  • 2-3月 *移動図書
    請求記号:C-2376 図書ID:20005120

  • 本著では、江戸時代から、中央機関である幕府は地方の災害復興や治水等の公共事業費用を負担していた一方、財政難から、地域の民間人の財や労働を活用してこれらの事業に当たらせていたことを記している。
    彼らのような存在を本著では「地域の治者」と呼んでいる。
    江戸時代の昔から、地域の問題に対して行政は地域の民間活力を利用していたのだ。
    「公共性」概念は、中央政府(ないし地方政府)と、地域の民間活力による地域の問題解決と言っても良いのかもしれない。と思った。

  • 江戸時代は大災害が集中した、日本史上でも稀な時期である。江戸を焼き尽くした明暦の大火、富士山の大噴火、日本史上最大級の宝永地震、度重なる飢饉などの記憶は今も語り継がれている。一方、幕府や藩、地域社会、家の各レベルで人々が防災に取り組んだのも江戸時代に入ってからだった。いのちを守るシステムはいかに形成され、いかに機能しなくなったのか。災害と防災から見えてくる新たな江戸三百年史の試み。

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著者プロフィール

1949年、愛知県生まれ。1977年、京都大学大学院文学研究科国史学専攻博士課程単位取得退学。現在、岡山大学名誉教授 ※2018年7月現在
【主要編著書】『徳川社会のゆらぎ』(小学館、2008年)、『池田光政』(ミネルヴァ書房、2012年)、『「生きること」の歴史学』(敬文舎、2015年)、『江戸の災害史』(中央公論新社、2016年)

「2019年 『池田綱政 元禄時代を生きた岡山藩主』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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