ショパン・コンクール - 最高峰の舞台を読み解く (中公新書)

  • 中央公論新社
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レビュー : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121023957

作品紹介・あらすじ

ポーランドのワルシャワで五年に一度開催されるショパン・コンクール。一九二七年の創設以来、紆余曲折を経ながらも多くのスターを生み出してきた。ピアニストをめざす若者の憧れの舞台であり、その結果は人生を大きく左右する。本書では、その歴史を俯瞰しつつ、二〇一五年大会の模様を現地からレポート。客観的な審査基準がない芸術をどう評価するか、日本人優勝者は現れるのか。コンクールを通して音楽界の未来を占う。

感想・レビュー・書評

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  • 来年は5年に1回のショパン・コンクールの年。
    18回目になるらしい。

    演奏家でもあり、ドビュッシーの研究者でもある筆者が、コンクール「公式ジャーナリスト」として記録した前回のコンクールの記録である。

    ショパンらしさとは何かを巡って、揺れ続ける審査基準。
    楽譜に忠実派と、ロマンティックな弾き方か。
    ルバートは左手は一定のリズムを刻み続けるのか、それとも「右と左を交互に」ずらすのか。
    さまざまな対立軸があるようだ。
    応募者の増加で、審査方法もルールも変更の連続。
    審査員やコンテスタントをはじめ、多くの関係者のインタビューなど、多彩な情報源からそういった矛盾があぶりだされていく。

    本来言語とは異質の音楽を言葉にするのは大変だ。
    予選、本選の鑑賞記録は、演奏家ならではの細やかさ。
    プロはこういうところを聞いているんだ~、と興味深く読んだ。

    審査基準については、青柳さんは演奏家審査員寄りの立場をとるのかと思いきや、音楽学者寄りの立場だったのが意外。

    ヤマハやスタインウェイ、カワイ(シゲル・カワイという最高級モデルがあるそうな)、ファツィオリの特性の違いなども、面白かった。

  • ショパンコンクールについて、2015年のDVD審査から本選までを中心に、ピアニストである著者が主観を交えてレポート。審査員やコンテスタントに多数インタビューしており、様々な考え方が見えてきて面白い。
    森のピアノや蜜蜂と遠雷のようなファンタジーの有無ではなく、譜面に忠実か自由な発想も認めるか、というふたつの潮流のぶつかりがあることが分かった。

  • YouTubeで ショパンコンクールの予選から公開してるので 照らし合わせて愉しむのも一興。
    とにかく この本は音楽初心者には難しいけどそれ以上に面白く刺激的だった。

    論文ではない

  • 専門家は聞き方がぜんぜんちがうね。でもまあコンクールには特に興味がない。

  • <閲覧スタッフより>
    芸術における評価は人それぞれです。著者が長い歴史をもつショパン国際ピアノ・コンクールを紐解き、審査方法など気になる舞台裏にメスを入れながら伝えてくれます。審査員の判断基準によって僅差で落選することもあるシビアなものかと思いきや…そうでないことも事実としてあるようです。また何度も修正可能な書類・DVD審査から始まり何が起こるか分からない本大会までの長期にわたるレポートや、コンテスタントの取材は臨場感が漂う内容ばかりです。
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    所在番号:新書||763.2||アオ
    資料番号:10235043
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  • 170213図

  • 2015年にBS1で放映された「もうひつとつのショパンコンクール・ピアノ調律師たちの闘い」という番組を見ました。ピアニストが競うコンクールですが、その舞台裏ではエントリーした演奏家がどのメーカーのピアノを選択するのかというピアノメーカーの闘いが繰り広げられており、それを現地でサポートする調律師達の仕事ぶりを紹介する秀逸のドキュメンタリーでした。そんな感じの内容を期待したんですが、本書は出場した各演奏家のパフォーマンスへのコメント、コンクールが求める理想の音楽像、コンクールが抱える問題点など音楽そのものに焦点を合わせた内容でした。テレビ番組なら出場者の演奏の一部でも聴きくことができますが、何せその演奏自体を全く聴いてない状態でその演奏のコメントを読んでも想像力が及ばずに理解しにくい部分が多かったです。ただ、著者の繰り広げる音楽を表現する文章、文言の豊かさには驚かされました。ピアノを演奏する方ならもっと共感できだんじゃないかなと思います。
    コンクールの抱える問題点や、日本のピアノ演奏家がこれから取り組むべき方向性などの部分はよくわかりました。

  • 5年に一度の権威あるショパン・コンクールの裏幕。2015年の予選、本選から登場したピアニストたちを詳細に語る。同じショパンの曲がこのように演奏家により表現の違いを語ってくれるのは実に痛快なひと時だった。2010年の予備審査でDVD撮影により一旦落選したアヴデーエワが審査員のクレームで復活者に加えられ、本選で優勝!という事件までがあったとは物凄い話。東アジア勢(日中韓3国)が予備予選合格者158名の約半数を占めたというのは、やはり経済の勢いも背景にあるのだろう。ポーランドのピアニストが有利に働くというのも興味深いところ。審査基準があいまいで、混乱を極める裏幕が実に興味深い。100点満点で、75点以上の場合に次のラウンドへ進ませたいかどうかをYes/Noで回答し、そのYesの数、最終は10名のファイナリストへの順位点合計で決まるなどの考えが一昔前のフィギュアスケートを思い出させる。当たり前のことながら、優勝者チョ・ソンジンだけではなく、チェ・チャン(2010年)、アムラン、ケイト・リウ、エリック・ルーなど優勝者ではない人たちの音楽性の高さもよく分り、優勝者だけではない層の厚さを改めて感じる。
    個性的なピアニストのページで女装したMrジー・チャオ・ユリアン・ジアが登場した際の会衆が思わずプログラムを確認する場面の逸話は思わず笑える。

  • 2015年に開催された第17回ショパン・コンクールの模様をレポートした作品。コンクールは書類とDVDによる事前審査から始まり、予備予選、一次予選、二次予選、三次予選を経てグランドファイナルへと進む。

    ちなみに予備予選出場158名のうち、グランドファイナルに残るのは10名である。著者の青柳氏は予備予選からワルシャワ入りし、注目する参加者一人一人について、臨場感あふれる詳細なレポートを行っている、他の国際コンクール同様に今大会もアジア勢の活躍が目立つ印象を受けた。

    青柳氏が指摘するコンクールの難しさの中に、審査の基準が挙げられている。「楽譜に忠実に」「ショパンらしい演奏」「演奏者の個性」という、一見すると矛盾するような複数の課題を、出場者はバランスよく成立させなければならない。
    唯一絶対的と思える楽譜に忠実というポイントも、実はショパン本人が書いた譜面は版によって違うらしく、審査の基準となる譜面が複数存在しているのだ。

    今大会の優勝者は楽譜に忠実派で、王道を行ったチョ・ソンジンだった、しかし個性的な演奏スタイルの、リシャール・アムランが2位に入賞したのも興味深かった。やはり数ある基準の中でも楽譜に忠実である事が、優勝への第一条件であるのだろう。

    もしショパン本人がショパン・コンクールに出場したら絶対に一次予選で落ちる、という青柳氏のコメントが非常に印象的だった。

  • ショパン・コンクールの歴史,審査方法,若手ピアニストの人名事典等についてのレファレンス用に使える,

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著者プロフィール

ピアニスト、文筆家。ドビュッシーの権威。大阪音楽大学教授。著書に『翼のはえた指 評伝安川加壽子』など。吉田秀和賞、日本エッセイスト・クラブ賞、講談社エッセイ賞など受賞。

「2018年 『高橋悠治という怪物』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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