ウニはすごい バッタもすごい - デザインの生物学 (中公新書)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (321ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121024190

感想・レビュー・書評

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  • ものすごく勉強になりました。
    勉強というほど硬くなく、楽しく一気に読めちゃう感じで、親しみながら学べた本でした。
    初めて知る事がほとんどで、私のような基礎のキも身に付けていない身からすると、新発見の連続で驚き続け読み終わりました。

  • 「昆虫はすごい」「植物はすごい」
    「すごい」シリーズ?
    でも今回のは難しい内容だった。あとがきを見ると東工大の講義内容とある。道理で…

  • 生物(どちらかというとマイナーな種類)の仕組みの巧妙さを解き明かした本。
    昆虫は軽くて硬いクチクラの発生が肝で、これで飛べるようになったし、水分を保持できるようになった。また変態は幼生時はふんだんにある葉を長期間にわたり食すことであまり動かず大きくなり、より効率的な蜜や花粉は、その短いピークに合わせて成虫となって翅を持って飛び回り摂取し、交尾を行い次の世代を生む。翅もその起源は不明だが、トンボのような筋肉を使って飛ぶものと蜂のようなクチクラの外骨格を振動させて細かく翅を動かすものがあり、後者は筋肉は振動に比べはるかに動かす回数が少ない省エネである。また虫は小さいので揚力が少なくその分羽ばたかなければならないのでこういう進化を遂げる必要があった。翅も含め小さければ風の影響は少ないし、的にも見つかりにくい。

    人手が五角形なのは、食物が流れてくるのを待つには奇数の職種が効率的であるということらしい。花びらも虫をあらゆる方向からおびき寄せるには5角形が効率的ではないかという仮説。
    貝が対数螺旋の形をしているのは、脱皮をしないで大きくなるにはどこを切っても相似形になる対数螺旋が効率的である。

  • サンゴ礁
     全海洋面積の0.2%に海水魚類の1/3、全海洋生物の1/4がいる 生物生産性100倍
     熱帯、浅い、岩場 =安定した環境 
     石灰岩のサンゴの中で褐虫藻が光合成し、CO2や排泄物の窒素、リン酸を受取る
     粘液が体を覆う バクテリアが食べ、食物連鎖
     温暖化により褐虫藻の活性酸素が増え、藻が減り、サンゴが白化=死滅

    昆虫
     動物の7割、生物の5割、個体数も一番多い
    クチクラ(=キューティクル)
     表皮細胞から生成された三層構造の薄くて硬い死んだ膜
     べニヤ板構造+キノン硬貨(キノンによる架橋)=タンニング 黒いほど硬い
     関節部はキノン硬化が少なくなっていて曲がりやすいが一体

     トンボなど 古い昆虫は 直接筋肉で羽ばたくので30Hzほど
     ハチ、蚊などは 筋肉バネで張られたクチクラ共鳴箱が最大1000Hzで振動する
    気管
     拡散で 酸素を(哺乳類の血液より)早く筋肉に送り込むシステム
     毛細器官の直径0.2μ 酸素分子の平均自由工程の2倍、酸素は通るが水は通らない
     乾燥した陸上で活発に活動できる小さな生物は昆虫のみ
     小さいと多くなれる 被子植物と共生
    レジリン ノミのバネ力
     強弾性タンパク質 弾性エネルギーの97%が位置エネルギーに変換
     ためたバネ力を一気に解除して身長の200倍飛びあがる

    完全変態  昆虫の83%  生物で最も多い種
     幼虫はたくさんある葉を長い時間をかけて食べる
     花と蝶の命は短い

    棘皮動物 ヒトデ
     良く動く動物は 一方向にに配慮した細長く左右対称形状
     動かない生物は 環境に均等に向き合う放射形状
     5角形は水流の陰になる腕が少ない、3は陰にならないが腕の数が少ない

     花びらは5枚が多い 
      滑走路としての花びらは1本あたり2方向に使えるが、偶数では半分無駄になる
      3では少なすぎるから5になる 多すぎると線が見えにくくなる
      ユリは6に見えるが実は3枚は萼

    骨片が筋肉でつながった骨格
     穴だらけ ステレオム構造 内骨格 割れにくい 壊れにくい 直す機構を含む
     キャッチ結合組織(皮膚や靱帯相当)が硬さ調整 筋肉の1/10のエネルギーで維持 
     柔らかくなるには10倍のエネルギー

  • 本川達雄先生、「ゾウの時間 ネズミの時間」は面白くて、かつとても啓蒙された本でした。「ウニはすごい バッタもすごい」(2017.2)もすごい本です。専門的でありながら、ぐいぐい引き付けられます。動物の種は約130万種、脊椎動物は6万種で、大半の動物は無脊椎動物。動物はその体の構造(デザイン)によって34の門に分類されるそうです。この本は、その34の門のうち、刺胞動物(サンゴなど)、節足動物(昆虫、甲殻類など)、軟体動物(貝など)、棘皮動物(ヒトデ、ナマコなど)、脊索動物(ホヤなど)の5つの門について、書かれています。なお、脊索動物門の中の一群が脊椎動物だそうです。節足動物門ひとつをとってみてもすごいですね。三葉虫、エビ・カニ、昆虫、ムカデ・ヤスデ、カブトガニ・クモ・サソリなど。昆虫の体、すごいです。その骨格・関節、飛翔力と跳躍力、気管、体のサイズ、花を咲かせる植物との共生、脱皮・変態(幼虫、成虫、二つの時代の使い分け)などなど。

  • 知的好奇心をくすぐる、また著者の生物学に関する喜び・興奮を間近に感じるように読める良書。

    サンゴやウニなど、人間から遠く思われる生き物の仕組みがわかりやすく解説されており、生き残るための戦略としての体のデザインを知るのはとても興味深かった。

    単に雑学のような内容をなぞるだけの本にあらず、生き物の体の機能の画期性について著者の熱量がよく伝わってくる。

  • <目次>
    はじめに
    第1章  サンゴ礁と共生の世界~刺胞動物門
    第2章  昆虫大成功の秘密~節足動物門
    第3章  貝はなぜ螺旋なのか~軟体動物門
    第4章  ヒトデはなぜ星形か~棘皮動物門Ⅰ
    第5章  ナマコ天国~棘皮動物門Ⅱ
    第6章  ホヤと群体生活~脊索動物門
    第7章  四肢動物と陸上の生活~脊椎動物亜門
    おわりに

    <内容>
    生物はなぜそんな形をしているのか?そこに視点を置いた記述による生物の本。よくわかる。基本は食べるためと外敵から身を守るため。各生物がそこに特化して、生き残るためにデザイン化されてきたのだ。「神が作った」と言っていいような素晴らしさ。そして、そこに関わるメカニズム(まさにメカニズム)は、我々がさらに科学技術を深化させるために必要な気がする。虫の翅の動かし方、虫のカラダ(キチン質のすばらしさと脱皮のつらさ)、ヒトデの五角形の秘密などなど。

  • さまざまな動物の世界を紹介するという本書。じゃあ、どんな動物が紹介されるのかというと、軟体動物とか棘皮動物などの海にいるグニャグニャした感じのものが多い。著者の専門領域がそっちの方だからのようで、あまり馴染みはないが、キャッチ結合組織という筋肉ではないが筋肉よりも効率的に強い力を発揮する組織の仕組みや役割など、興味深いものはある。ただ、いかに工夫された説明であっても、形状などでイメージが掴めないものや、細部にこだわらず流して読みたい部分もあった。
    身近なもので興味深かったのは、昆虫の脱皮。特に、気門という呼吸器官の絶妙な仕組みと、それゆえに、脱皮のときに失敗するリスクということは初めて知った。今度、セミの抜け殻の内部をじっくり観察してみたい。

  • 知らないことばかりだった。
    面白かった。

  • 期待していたほどは面白くなかったかな。「へぇ~」っていう内容に終始している割に話が長いというのが当方の個人的見解。
    思い立ったらどのページでも良いからパラパラと10ページ程度読んで一休み、っていう読み方が正解かもしれません。

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著者プロフィール

生物学者、東京工業大学名誉教授。

「2019年 『生きものとは何か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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