すごい進化 - 「一見すると不合理」の謎を解く (中公新書 2433)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121024336

作品紹介・あらすじ

スズメバチにうまく擬態しきれないアブ、他種のメスに求愛してしまうテントウムシのオス。一見不合理に見える生き物たちのふるまいは、進化の限界を意味しているのか。それとも、意外な合理性が隠されているのだろうか。1970年代に生物学に革新をもたらした「ハンディキャップ理論」「赤の女王仮説」から、教科書には載っていない最新仮説までたっぷり紹介。わたしたちの直感を裏切る進化の秘密に迫る!

感想・レビュー・書評

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  • 『ざんねんないきもの事典』の大人バージョン的な本。
    一見不合理に見える生き物たちの振る舞いにも訳があることを教えてくれる。
    「初期の生物は無性生殖をしたはずなのに、なぜ有性生殖は無性生殖に卓越したのか。」という、進化生物学の未解決の大問題を主テーマとして新しい説を解説しているのが特徴的かな。

  • 非常に面白かったです。絶対的な正解はなく常に新しい仮説が生まれてくる分野なのが理解できました。

  • 進化論の本として、基本から今の進化論・生態学の最前線の考え方がわかる本。
    ポッドキャストにて筆者が配信している「すごい進化ラジオ」を聞いたので、本も再読。両方ともとても面白いので、進化論を学びたい人は両方とも見てみるべき。

  • 全ての章が面白いが、とりわけ生殖の章が面白い。
    なぜ、性があるのか。オスがいるから仕方なく維持される。この目的よりも結果的にそうなった。いかにも生物が選択しそうな生き方です。しかし、オスは不便な存在です。

  • 自分は分子生物学の研究してるので、ちょっと専門外の進化とか生態とかに興味を持って手に取った一冊。

    「一見不合理な形質や行動をする生物も、別の見方をすればとても合理的に進化している」という仮定のもと、色々な昆虫の進化について紹介されていて、非常に面白かった。

  • 昆虫と植物の共進化はある特定の遺伝子が働くなくなるだけでいい。

  • 【目次】序章にかえて――進化はどれほどすごいのか

    第一章 進化の捉え方
    1 適応と制約のせめぎ合い
    2 適応をめぐる歴史と哲学

    第二章 見せかけの制約
    1 産みの苦しみをいかに和らげるか
    2 昆虫と植物の共進化

    第三章 合理的な不合理――あるテントウムシの不思議
    1 蓼食う虫も適応か
    2 禁断の恋―異種のメスを選ぶオス
    3 不治の病―あえて抵抗しない戦略

    第四章 適応の真価――非効率で不完全な進化
    1 無駄こそ信頼の証―ハンディキャップ理論
    2 役立たずなオス―性が存在する理由
    3 ハチに似ていないアブ―不完全な擬態

    終 章 不合理だから、おもしろい

  • 本書を読んで、ぼくも「適応主義者」だったんだなと気づいた。生き物の形質や行動は環境にぴったり適応するために進化したもので、そうは見えないのは単にまだ研究が進んでいないから、とする見方だ。実際にはそうは見えない例がいくつも見つかっている。
    本書では捕まえにくく、うまくもない種類のアブラムシを選んで食べるクリサキテントウの例が出てくる。普通の捕まえやすい、おいしいアブラムシを食べても問題なく成長できるのにどうしてだ? という疑問を著者は実験を通して解明していく。その過程はスリリングで、まるでよくできたミステリーを読んでいるみたい。その結論もびっくりで、これは本書にて。
    それにしても、これは不適応に見えて、一回りして大適応と言えるんじゃないだろうか? 進化ってすごいなあ。
    生物好き、自然好きにはこたえられない一冊。

  • クリサキテントウが栄養が多い普通のアブラムシを食べないで、栄養の少ないアブラムシを食べるのか。その理由が分かっていく過程が楽しい。

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著者プロフィール

高知大学農林海洋科学部准教授。著書に『すごい進化』(中公新書、2017年)ほか。

「2018年 『繁殖干渉 理論と実態』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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