入門 公共政策学 - 社会問題を解決する「新しい知」 (中公新書 2439)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121024398

作品紹介・あらすじ

社会問題はますます複雑になり、既存の学問では十分な解決策を提示できない-そうした意識から生まれた「公共政策学」。政治学や行政学、経済学など多分野の知識を総合化した新しい学問だ。専門家のみならず、市民の「知」も取り入れるなど、問題解決に役立つ学問へと進化している。本書は、少子高齢化、シャッター商店街、生活保護、学力低下など、日本の課題を例に取り、公共政策学のエッセンスを伝える入門書である。

感想・レビュー・書評

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  •  政策問題とは「社会で解決すべきと認識された問題」である。ここで気をつけなければならないのが、社会での「望ましくない状態」が自動的に「問題」とはならないということである。「望ましくない状態」=「問題」ではないかと違和感を覚えられるかもしれない。しかし、「望ましくない状態」があったとしても、誰かが気づかなければ、もしくは、それを「望ましくない」と認識しなければ問題とはならないのである。(p.36)

     ポリシーミックスにおいて重要なのは、複数の手段による「相乗効果」を発揮させることである。例えば課徴金という単独の手段のみで個人や企業に負荷をかける行為を制限したとする。基準や金額を厳しく設定すればある程度制限できるが、抜け道を探すような個人や企業が出てくるかもしれない。しかし、地道な努力であるが、環境保護の意識啓発を同時に行うことでそのような個人や企業が行動を変えるかもしれない。すなわち、複数の手段をうまく組み合わせることで、政策目的を達成できる可能性が高まるのである。(pp.81-82)

     政策を適切に実施するためには、実施の仕組みのデザインとマネジメントが不可欠である。まず、政策が「実施可能性」の観点からデザインされていなければならない。また、マニュアルや主体間の調整といった実施の仕組みを現場からの視点でデザインする必要がある。そして、実際に実施していくうえでは組織間のコミュニケーションが必要であり、さらに、評価と連動したマネジメントによる改善が求められる。(p.211)

  • すごく良い。
    入門編。
    政策が出来るまでの過程がふんわりとわかる。よく知られたand現在進行形の政策がいくつも使われており、馴染みのある内容なのでイメージしやすく、頭に入りやすいと思った。
    私はディベートの情報集めのために読み始めたが、公共政策の考え方や概要を大きく捉えることができ、今後の仕事や生活費など様さまざまな場面で役に立つと感じた。

  • ところどころ難解な部分があり現時点では理解できなかったので、また卒業論文を書く頃に読み返してみたい。今注目されつつある公共政策学がもつ可能性の豊かさに気づける本。

  • 公共政策学ってなんだろうと思って呼んだらとても面白い本だった。理論と実践のバランスの良い学問だなと思ったし、自分の仕事にもヒントとなることが書いて会ってとても勉強になった。

  • 【本学OPACへのリンク☟】
    https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/594588

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/689602

  • 教科書的でわかりやすい
    どこで何が行われるかの基本的な流れは理解できた
    一市民である自分が何をどうしたらいいか、について別の本を探して読んでみたい

  • 大学のテキストぽい

  • 学生向けの入門書。

  • 「公共政策」とはなんぞや?と思いながら読み始めましたが、政策科学・公共政策学は決まった学問体系がなく、他の社会科学の学問より、実生活で応用できる学問であると理解しました。

    市民から寄せられる意見をまとめ、解決するべき課題を設定し、解決のアプローチを検討し、それをどのように決定し、実行するのか。そして、その結果を踏まえた評価、次の課題の設定、という公共政策学の一連の流れを概説しています。これは他のこと(日々の小さな自己課題の解決など)にも応用できると思います。
    このような思考法で物事を整理すれば効率は上がるのかなと思いますが、自分には中々難しいです。

    また、各章の中で実例とその章(節)末に内容のまとめがあり、飽きることなく読めます。
    特に、第4章で、色々メディアで批判されがちな厚労省の話がケーススタディとしてありますが、政治家と圧力団体のバランスをとりながら、丁度いい塩梅のところを模索して法案化する官僚たちを考えると、可哀想とも思えます。

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著者プロフィール

秋吉 貴雄(アキヨシ タカオ)中央大学法学部教授

「2016年 『大震災に学ぶ社会科学 第1巻 政治過程と政策』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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