観応の擾乱 - 室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い (中公新書)

著者 :
  • 中央公論新社
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レビュー : 60
  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121024435

作品紹介・あらすじ

観応の擾乱は、征夷大将軍・足利尊氏と、幕政を主導していた弟の直義との対立から起きた全国規模の内乱である。本書は、戦乱前夜の動きも踏まえて一三五〇年から五二年にかけての内乱を読み解く。一族、執事をも巻き込んだ争いは、日本の中世に何をもたらしたのか。その全貌を描き出す。

感想・レビュー・書評

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  • 南北朝時代から室町時代初期までは、大半の人達に敬遠される時代なのだが、一番の理由はやはり、足利尊氏、直義兄弟という、それまで極めて仲が良かった二人が文字通りの「骨肉の争い」を起こしていまった観応の擾乱にある。

    南北朝時代というが、実質的に南朝は観応の擾乱が起きるまでは楠木正成は無論のこと、新田義貞、北畠顕家ら名将達が次々と戦死して弱体化していた。

    ところが、観応の擾乱という大乱のおかげで存続し、日本史屈指の混沌の時代が始まるわけだが、詳しくは本著を。

    何故こうなってしまったのかが分かります。

  • 大河ドラマ「太平記」を思い出しながら,読みました。
    あまり知識のないところでしたが,非常にドラマティックな内容で,面白く読めました。

    本当によく分からないのが,尊氏が実子の直冬を疎んじた理由です。
    尊氏の直冬の扱いが酷いからといって,それを周囲の者が不満に思ったことが観応の擾乱の原因の一つというのも,いまいちピンときませんでした。

    この点については,今後,研究が進んで,新たな知見が発表されることを期待したいです。

  •  「室町時代」というのはどうにも派手な戦国時代に飲み込まれてしまって日本史でも影が薄いが、著者も指摘するとおり200年も続いた長期政権であり、その成立背景は大変興味深い。
     征夷大将軍足利尊氏という名前だけは有名で、「とにかく何かした」みたいに扱われがちなところ、しかしその時代を拡大していけば生き生きと立ち回る武士や天皇がそこにいるのである。
     大枠だけは有名で細部がよくわからないというのは歴史研究ではよくあることで、しかも有名な小説になっているとあるエピソードが史実なのか創作なのか、史実として伝わっている創作なのか、そこを一つ一つ明らかにしていかなければならないわけで、いうなれば出来上がっている模型をいったん全部ばらして、一つ一つのパーツを確かめて、偽物を除外し、時には新しいパーツを採用して組み上げる途方もない作業である。

     本書で取り上げられた感応の擾乱は1350年から52年というわずか2年程度の出来事であるが、勢力も趨勢も目まぐるしく入れ替わる。今でこそ居ながらにして全国どころか世界のニュースも調べられるご時勢だが、当時の人々はどうやって情勢を知っていたのだろうか。敵だと思って戦っていたら、実は味方の味方になっていた相手だったなんてことはなかったのだろうか。
     情報だけでなく、実際に登場人物たちも京から九州、そして北陸を経由し関東なんて風に全国を移動する。敵を大群で囲んでいたかと思えばいつの間にか瓦解し逆に追い込まれていたりする。そういった目まぐるしい情勢の変化が、押さえつつも生き生きとした筆致で描かれる。著者も楽しんで書いていることが伝わってきて非常に好ましい。

     以前に読んだ「奪われた『三種の神器』」(渡邊大門著)においては南北朝期の皇室の混乱が描かれていたが、本書はそれを幕府側から見ているということになろうか。本書だけでもとても面白いものだが、歴史というのは(あるいは知識全般に言えることとして)多面的に見ることでより面白くなるように思う。

  • 日本の中世で(ひょっとしたら通史でも)2大訳の分からん争い(もうひとつは当然、応仁の乱)とも言うべき、「観応の擾乱(“じょうらん”と読みます)」の解説書。
    あ、でも、とりあえず足利尊氏、直義、義詮、直冬、高師直あたりを押さえとけばいいので、応仁の乱よりシンプルかも?

    ようするに上記武将が同盟したり敵対したりを繰り返しながらふたつの朝廷とくっついたり離れたりに終始した一連の戦いのこと(文字にすると余計に分からんなw)。

    その他の武将は自己都合全開で、どれかに味方していたので、マニアでなければスルーしとけばOKです。

    今も派閥争いに明け暮れている人たちがあちこちにいるけど、人類は600年前から進歩してないっすね(諦観)。

  • 「応仁の乱」がベストセラーになるなかで、さらに地味なテーマを投入してきた。さすがは中公。日本史好きは泣いて喜ぶね。
    人気や知名度はいまいちだけど、将軍と弟の対決、父と子の確執、裏切りを次々と繰り返す家臣団、第三勢力としての南朝、奥州から九州まで広範な舞台……と話題には事欠かない。ここまで要素を詰め込んでおいて、どうして人気がないのか。
    読んでて思うのが、兵を動かすこと戦闘を行うことの感覚が、現代とは全く違うんだな、ということ。簡単に挙兵して、簡単に寝返る。寝返っても再び帰順すればすぐ許される。交渉のちょっとした駆け引きくらいの感覚っぽい。幕府といえども絶対的権力・軍事力を持っているわけでなく諸勢力との関係で成り立っていることの表れだろうし、すぐに沸騰して喧嘩っ早いという中世日本人のメンタリティもあるだろう。

  • 目まぐるしく変化する情勢、登場人物の感情の揺れ……、ダイナミックな歴史の動きを感じながら読みました。院の先輩だからというわけではないですが、本当に面白かったです。

  • この時代のことはさほど知らなかった。朝廷だけでなく幕府も分裂していたのか。この時代の政治を知ることができたのは良かった。

  • #兄弟喧嘩 に違いないが意味不明な戦いが #観応の擾乱
    読書感想というか忘れないための備忘録
    1.尊氏引籠りで直義が実権掌握
    2.直義、師直を憎み暗殺試みる
    3.逆襲を受け直義出家、南朝へ
    4.直冬追討の合間に直義が逆襲
    5.惨敗尊氏、謎の将軍大権保持
    6.直義求心力失い、義詮の復讐
    7.俺はまだ本気じゃない(尊氏)
    8.スゲエよ将軍(南朝を味方に)
    直義は本領安堵・恩賞を軽く見たのか、初期の武将たちは常に不満あるようで、初期のほゞ将軍Ⅱ直義は吝く、武将たちに利益をもたらさなかった。
    直義監修の太平記だけ師直の微笑ましい悪行があるらしい=つまりほゞ善人執事だが、直義は攻撃し、反撃の師直は御所巻(尊氏邸取り巻き)で要求を通す。
    落ち目の直義・直冬の義親子だったが、禁断の南朝勢力を使い尊氏に師直(滅亡)は敗北する。
    尊氏「師直が負けた、俺は将軍、だから恩賞は俺が決める、師直殺した上杉死ね、政治は義詮がやる、直義補佐ね」認める直義
    ※なぜだろう、読解力が無いのかな、キ〇ガイの言い分
    子を亡くしやる気なし直義は、南朝に寝返った導誉・円心を討伐に行く尊氏親子の出陣を、自分抹殺と思い脱出。仇敵だった南朝から追討宣旨を執る導誉=尊氏
    【恩賞の彼方へ】
    義詮は所領安堵認定システムを簡素化した (´・ω・`)

  • 日本史上最大の兄弟喧嘩といえば、室町幕府創始者の足利尊氏と弟、直義の対立だ。2人の争いは、北朝と南朝、尊氏の側近と2人の息子を巻き込み、3年間もの内戦「観応の擾乱」に発展する。

    この内戦、敵味方が目まぐるしく移り変わり、とにかくややこしい。尊氏と直義がそれぞれ南朝に降伏したり、京都を占拠したり。尊氏の実子で直義の養子、足利直冬が反尊氏で挙兵したり。

    なんで、こんなに複雑なことになってしまったのか。それは、主人公である足利尊氏の決められない性格にある。後醍醐天皇や直義、南朝と対立はするものの、心の底から憎めない。誰に対してもいい顔をして、みんなと仲良くしたい。

    そんなリーダーとしての素質に欠ける尊氏に愛想を尽かしたのが、弟直義であり、腹心の高師直であり、息子の直冬や義詮だった。そして、ズルズルと内戦が拡大、長期化していく。

    ズバリ観応の擾乱前に尊氏が直義を殺ってしまえば、人材不足の南朝もすぐに降伏しただろうし、息子義詮への権力譲渡もスムーズだっただろう。その一方、観応の擾乱を経験したからこそ、尊氏は40代にして、将軍として成長したことも事実。その結果、周囲は幕府に忠誠を誓い、後の3代目義満の時代に全盛期を迎える。

    本書はなじみの薄い南北朝時代の武将が多く登場し、読んでいて混乱する。しかし、足利尊氏が「漢」となるための成長記として読んでみると、意外とすんなりと理解できる。

  • 観応の擾乱
    室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い
    亀田俊和 著
    中公新書
    2017年7月25日初版
    2018年2月5日5版
    ISBN978-4-12-102443-5 C1221

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著者プロフィール

2016年8月現在 京都大学文学部非常勤講師

「2016年 『足利直義 下知、件のごとし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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