ナポレオン時代 英雄は何を遺したか (中公新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121024664

作品紹介・あらすじ

近現代フランス史の大家が、ナポレオンの台頭から没落までをエピソード豊かに描き、後世にもたらされた「遺産」を検証する。

感想・レビュー・書評

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  • ナポレオンの名前を知らない人はいてないのじゃないかというぐらい有名人。
    しかし、どんな人で何をしたかというと
    うっすらとしか知らない。
    それを本書で知れたのは良かった。

    軍人としての才覚はあり
    時代の潮流に乗って
    皇帝まで登り詰めた。
    革命後、恐怖政治が行われ
    君主制か共和制かの狭間で
    その後ナポレオンが皇帝となるのは
    必然だったのだろう。

    政治家としての手腕も
    卓越して、今のフランスという国の
    基礎を作ったはナポレオンだったんですね。
    特にパリは彼の時代に変わったので
    その色が濃く残ってるみたいですね。

    関連人物として印象に残ったのは
    ナポレオン夫人
    タレーラン
    スタール夫人
    マリアルイーザ
    レカミエ夫人
    それぞれの物語も知りたいです。



  • 歴史で習った程度しか知識無かったけど、面白く読めた。

    人間としてのイメージが結構付いて良かった。読み終わったら、芸術と劇が好きなワガママな人。著者の目線だと、賢い人ってイメージはあんまり掴めなかった。皮肉が効いてて面白いんだけど、それが強すぎるせいでナポレオンが滑稽で傲慢な印象しか残ってない。
    だけど人間として魅力的な人なんだろう、と思う。

    民衆心理?とか気になる。百日天下の辺を読んで、どうして全てを受け入れてしまうんだろう、って不思議。調べてみたい。

  • ナポレオンの軍事面よりも政治家・統治者としての側面に重点を置いた一冊。豊富な情報量に加え小ネタも散りばめられて辛口な批評も面白い。
    特に革命後の混乱やナポレオン治世の人々の様子、パリのインフラ整備・都市計画のあたりが興味深い。
    英雄か独裁者か議論は分かれるだろうが一代で遺した功績や自国・諸外国をも巻き込む影響力は絶大。
    苛烈な人間性や合理主義者の部分、圧倒的な実行力はどこか織田信長と重なる。時代を変えるような傑物の共通点なのかもしれない。
    その人物像や軍人としての評価にも興味が沸いたので関連書籍にも手を伸ばしてみたい。

  • この本の特徴はナポレオンその人だけでなく、この時代の社会の様子も知れる点にあります。ナポレオンの登場によって社会はどのような影響を受けたのか、人々の暮らしはどのように変わったのかということを知ることができます。

    軍人ナポレオンの足跡はもちろん、文化面まで幅広く見ていけるのはとてもありがたいです。

    特に第5章の建築や、第7章の娯楽については他の参考書ではなかなか見ることがない内容だったのでこれは興味深かったです。

  • ナポレオンは誰でも知っている英雄だが、その生き方について問われると答えに困る。細かい戦術に関しての議論はできたとしても、その時代にどう生きていたかの知識が不足しているのだ。
    本書は、そのようなフランス革命以降、どのようにしてナポレオンが台頭し没落していったかについて知ることが出来る。
    コルシカの貧乏貴族から成り上がり、皇帝となっていったナポレオンは世俗の権威に目を向けたがために足元が崩れ落ちていった。しかし、同時に、人は誰しも永遠に若さという絶頂期が続かないという悲しい現実でもある。
    超人であったナポレオンだが、ワーテルローの戦いでは疲労が見られたとも言える。
    ハンニバルはスキピオに超えられて敗北したが、ナポレオンは自らに敗北していったそのような悲しさがあるのだ。
    何にせよ、ナポレオン時代が存在した。それがヨーロッパの近代化を加速したことは悲しい副作用であると同時に、人々が王より権力を奪取していく近代化を進めたとも言えるのではなかろうか。

  • 統治者として。
    最大の功績は「ナポレオン法典」を残したこと。
    これに尽きるんだろうと思った。

    過去に、戦争に強い人物はたくさんいた。
    内政まで能力が高い人物もある程度いた。
    ただし戦争は白黒出るが、内政の成果を、後世にまで長く残せる事は、本当に大変なものだろうと感じた。

    華やかな戦闘とは違い、統治は地味ですぐ結果が出ない。

    軍人ナポレオンである事は有名だが、政治家ナポレオンが本当にスゴイ。
    この本は、良くある戦争面でなく、統治一本に絞り、その軌跡を描かれている点が、新鮮に読めた部分でした。

    交響曲「英雄」を作り、その人を讃えたベートーヴェン。
    しかし、豪華な「戴冠式」に幻滅してしまう。
    「暴君になるつもりか」と机にあった楽譜を引き裂き床に投げつける。
    皇帝に対するベートーヴェンの心情そのものが、先見の明なのだろうと思った。

    軍人として、政治家として、皇帝・暴君として。
    そのどれも歴史の残る偉業を残した人だった。

    そのどれも可能に至らしめたのは。
    ただただ働くのが大好きな「真面目な仕事人間」だった事からきたと思う。

    よし。もっと仕事頑張るぞ。笑

  • ナポレオンといえば、ナショナリズムの生みの親、フランスの英雄、戦争の天才とか色々なイメージがあるけれども、興味深かったのは内政面。
    ナポレオン法典は聞いたことあるが、それ以外についてはあまりぱっとしない(専制政治に見られる政治的腐敗とか)というのが興味深かった。

  • 大学図・1F開架 081.2/58/2466
    東2法経図・6F開架  B1/5/2466/K

  • 近現代フランス史の大家が、ナポレオンの台頭から没落までをエピソード豊かに描き、後世にもたらされた「遺産」を検証する。

  • ボナパルト・ナポレオンという人は、日本人にとって名前は知っているけど、何をしたのかを説明しにくい偉人だろう。

    それもそのはず、ナポレオンの凄さは、あらゆることを一代でこなしてしまった万能な才能だ。それゆえに「こういう人である」と説明しにくい。本書で紹介されるナポレオンの功績も多種多様だ。

    軍人としてフランスの内戦と対外戦を指揮する。皇帝として他国の王朝と交渉し、ハプスブルク家の王女を妻とする。パリ行政に介入し、凱旋門などのハコづくりを指示する。今でもフランスの民法に引き継がれているナポレオン法典を完成させる。

    などなど、寝る暇もない働きぶり。しかも、極端な理想を掲げず、名誉や権力欲にこだわらず、バランスがとれた現実的な考え方を持ち続けた。

    晩年の2度の島流しや無謀なロシア遠征、息子を後継にできなかったことなどの印象が悪く、イメージダウンしているナポレオンだが、一世一代の超人的な才能を持っていたことは間違いない。新感覚とマルチな才能を持っている点では織田信長とよく似ていると感じた。

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