- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121024695
作品紹介・あらすじ
英国の議院内閣制は長らく理想的な政治モデルと見なされてきた。日本の政治改革も「政権交代のある二大政党制」という英国政治のあり方を目指していた。しかし今、英国が揺れている。スキャンダルや政策の失敗により、保守党と労働党は国民の信頼を失った。二大政党の支持基盤の空洞化も進んでいる。さらにEU離脱をめぐる混乱は世界の失望を招いた。その一方で、英国はその国家構造を改革し、議院内閣制を変貌させつつある。英国の挑戦から日本は何を学ぶか。
感想・レビュー・書評
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イギリスの議院内閣制はウエストミンスターモデル呼ばれ議会とと行政府が融合することで執政権が強化され強力な権能を有することにその特徴があった。
しかしながら、その民主的正統性が揺らぎ始めたことからマディソン型民主主義(権限の分散による権力の相互抑制)に移りつつあるというのが筆者の主張。
改めて日本を振り返ると、ほんと救いがたいほど第一党が弛緩し、自己満足の政策に走っている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
英国の議院内閣制の歴史をわかりやすく解説していた
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議院内閣制の例として多くの国で理想とされている英国の国家構造を取り上げ、その制度的特徴やいかにして政治体制として存続してきたかを解説した上で、比較政治論として日本の国家構造との対比を試みている。
議会と政府が強く結びつく議院内閣制が民主主義や三権分立の政治体制としてなぜ受容されているのか、長いこと疑問に感じていたが、ある程度の示唆を受けることができた。議院内閣制の下においては原理的に政府に権力が集中してしまうことが避けられず、むしろ政治的エリートに対する信頼を前提として成り立ってきたとの解説が本書を通じて強調されている。この点を勘案したときに現代の国内政治がどのような状況におかれているのか、考えてみたいと思った。 -
日本において政治改革の参照点となる理想的な政治モデルとみなされてきたものの、近年、EU離脱問題等で危機に直面している英国の議院内閣制について、根源的かつ多角的に検討。具体的には、総論、政府と政策運営、政権党、政党システムと政党政治、国家構造という5つの視座から論じ、日本政治への示唆についても言及している。
知ってるようであまり知らなかった英国の議院内閣制について、その歴史、長所と欠陥、機能する前提条件、それを支える政党、近年の変化など、多面的に理解を深めることができた。
英国(型)の議院内閣制は、安定的な政府の創出と責任の所在の明確化といったメリットがあるものの、権力のコントロールや社会の利益や考え方の集約が不十分になりやすいといった欠陥を内包するものであり、それが機能するには、競合する政党による有権者の利益や考え方の集約、政治エリートに対する有権者からの信頼とその裏返しとしての権力の抑制的行使といった前提が必要という指摘は、英国(型)の議院内閣制の本質を突くものだと感じた。特に、英国(型)の議院内閣制が機能するためには、政党間競争が重要だということを再認識した。その点で、「安倍一強」とも言われる現在の日本の議院内閣制が、あまりよろしくない状況であることは疑いない。
現在の英国政治も正直ボロボロの状況とはいえ、政治エリートへの国民の不信を受けた、議院内閣制を外から拘束する「マディソン主義的システム」を取り入れる国家構造改革や、政党間競争を促す、野党に重点的な政党への公的助成など、英国の議院内閣制から日本が学ぶべき点はまだまだ多いと感じた。 -
二大政党への不信、EU離脱……英国政治が揺れている。かつて理想的とされた議院内閣制を変貌させつつある英国に日本は何を学ぶか。
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タイトルに惹かれて購入。
議院内閣制のイギリスモデルは果たして現在の日本政治の見本となりうるのか?という大きなテーマを、イギリスの議院内閣制の歴史的経緯、課題、将来展望を織り交ぜながら語っている。
ただただイギリスモデルを盲信するだけでは能がない、ということか… -
イギリスの首相のリーダーシップが強力になったのは、サッチャーの時代からであるとか、委員会は日本のほうがうまくいっているという指摘がある。また、イギリスでは、政治エリートに対する国民の信頼があるという指摘も重要である。イギリス政治についての思い込みを改めさせてくれる。
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東2法経図・開架 B1/5/2469/K
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