戦前日本のポピュリズム - 日米戦争への道 (中公新書)

著者 :
  • 中央公論新社
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レビュー : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121024718

作品紹介・あらすじ

現代の政治状況を表現する際に使われる「ポピュリズム」。だが、それが劇場型大衆動員政治を意味するのであれば、日本はすでに戦前期に不幸な経験があった。日露戦争後の日比谷焼き打ち事件に始まり、天皇機関説問題、満洲事変、五・一五事件、ポピュリスト近衛文麿の登場、そして日米開戦へ。普通選挙制と二大政党制はなぜ政党政治の崩壊と戦争という結末に至ったのか。現代への教訓を歴史に学ぶ。

感想・レビュー・書評

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  • 筒井先生の本はよく読ませていただいているのだけれども,本書はその中でも面白い。戦前期のポピュリズム台頭の様子が,日比谷焼き討ち事件,大正期の大衆運動,朴烈怪写真事件,田中義一寺内閣時代,統帥権干犯問題,満洲事変,五・一五事件裁判,国際連盟脱退,帝人事件,天皇機関説事件,近衛内閣時代といくつかのトピックスを通じて活写している。

    旧平価による金解禁もある意味ポピュリズムの賜物。政治家と新聞が結託して昭和恐慌をもたらした。

    現代のわれわれにとってもモリカケ問題は言うに及ばず,あらゆるところでポピュリズムが蔓延っている。

    最後にマスコミが民主主義の健全な発展に不可欠という指摘はその通りだと思うが,実に暗澹たる気持ちにならざるを得ない。戦前期の湛山や清沢洌を生んだ某経済誌からして,ポピュリズムに汚染されているからなぁ……(ため息)

  • 2018年3月2日図書館から借り出し。
    なんか、途中で既存の本からのりとハサミで切り貼りしたようなところがあって白けた。この人、真面目に新書を書く気はなさそう。定義なしに、片っ端から「ポピュリズム」と言い切って終わりにするところなど、到底学者とは思えない書きぶり。中公新書の編集も、京都はレベルが違うのかなぁ。

  • ちょっと長い。
    つまみ読みになってしまった。
    日本のこれまでの民主主義は、マスコミの報道によって出来上がったもの、と紹介されていると受け止めた。
    ポピュリズムと民主的手続きとメディア。
    もう少し考えてみようと思う。

  • なぜ普通選挙制と二大政党制はポピュリズム=劇場型大衆動員政治に陥り、日米開戦という不幸な結末へと至ったのか。現代への教訓とは

  • 戦前の新聞が国民を煽りすぎた反省からか、戦後の朝日・毎日は変わってしまった。その穴埋めをするのが産経・読売か。

    大政翼賛会の設立原因が意外だった。軍に対抗するためだとは、、、

  • 日比谷焼き討ち事件から近衛内閣による日米開戦まで。
    日本史の教科書を読んでいるようだ。
    ポピュリズムが大きく反映された世相、政治経済。
    大きな事件には必ず世論が動く。
    それは今でも同じだがネットが無い時代、やたらと人が集まる時代だった。なかなか面白く読めた。
    戦後編は無いのかな?

  • 中公新書/2471

  • なぜ日米戦争に向かったのかを、軍部ではなく政治と社会の側から探る。政党政治を崩壊させたものは何だったのか。結局、当時の日本社会では民主主義が幼稚に過ぎたためってことなんだろうけど、これって今とどれだけ違うのか? 既存政党を批判するばかりでは、民主主義は育たない。自ら判断できる知力と、正確な資料報道の重視が求められるのだろう。こりゃ道は遠いわな。

  • 東2法経図・開架 B1/5/2471/K

  •  デモクラシーが、日比谷焼き討ち事件に始まり普通選挙と政党政治を経るポピュリズムを生む。それは「劇場型大衆動員政治」でもあり、最終的には大衆の既存政治への失望により大政翼賛会と戦争に行き着いた、という流れである。政治スキャンダル(結局は無罪判決となったものも含めて)へのセンセーショナルな報道、5.15事件の被告を英雄視し近衛文麿首相をアイドル芸能人並みに扱う数々の記事には驚くばかりである。トラウトマン和平工作の打ち切りも、和平工作自体への議会や世論への追及をかわすためだと指摘されている。
     もちろんこの期間の日本の歩みが全てポピュリズムのためだとは言えないだろうが、大政翼賛会や軍部や戦犯といった特定の主体だけに責任があったと単純化はできないことがよく分かる。
     本書の指摘するポピュリズムは、日本のこの時代だけのものとは言えないだろう。既存政治への失望が目新しい主体への期待に向かうのはトランプ大統領当選でも見られた。また、本書では清沢洌が、世論の反対を押しきったポーツマス条約と、時代を経て世論を恐れた故の国際連盟脱退の対比を指摘している。このくだりを読んで、韓国における日韓基本条約と、80~90年代以降の慰安婦問題の扱いの違いを想起させられた。

    ・「大衆の力の強化によって押し出され、大衆の意志の産物として現れた、大衆の代表そのものの政党政治と、その強力化の行き過ぎの是正としてこれまた強力に求められた中立的権力(天皇・官僚・軍部)の強化の方向という、大きく二つのポピュリズムをたどって日米戦争に至ったのだとも言えよう。」
    ・「『政党政治』が『足りなくて』大政翼賛会に行きついたのではない。『行き過ぎて』それを招来したのだ。」

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