理科系の読書術 - インプットからアウトプットまでの28のヒント (中公新書)

著者 :
  • 中央公論新社
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レビュー : 51
  • Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121024800

作品紹介・あらすじ

本を読むのが苦行です――著者の勤務する京都大学でも、難関の受験を突破したにもかかわらず、そう告白する学生が少なくないという。本書は、高校までの授業になかった「本の読み方」を講義。「最後まで読まなくていい」「難しいのは著者のせい」「アウトプットを優先し不要な本は読まない」など、読書が苦手な人でも仕事や勉強を効率よく進めるためのヒントが満載。理科系の合理的な読書術を伝授する。

感想・レビュー・書評

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  • 本を読むのが苦手な人向けに書かれた内容ではあるが、本好きにも役立つ内容も見られる。
    本書の主張の中には、完璧主義にならない方が良いというものがある。書籍を必ずしも最後まで読みきる必要はないということだが、本書もそのように自分に必要そうなところを拾い読みするだけでも得るものはあるのではないかと思う。
    特に、論文執筆などアウトプットを出すための読書をする上では参考になると感じた。

  • 読書をする人すべてにお勧めできる本です。

    理科系の〜とタイトルにありますが文系の人に参考になる内容は多いと思います。

    本書で印象的だったのは以下の内容でした。

    ・読む前に手に入れたい知識を3つに限定すること
    ・読めなくなってしまっても自分を責めないこと。その代わり、読書のシステムを責めること
    ・完璧主義は自己満足。不完全主義こそ、効率よく最小限のエネルギーで知的生産を行う早道。
    ・本に読まれてはいけない。読書家とは持っている本すべてを読まなくても涼しい顔のできる人。

    ★読書という行為は、読む人に何らかの変化が起きてはじめて意味がある。

    『今、ここで』行動を始めてみよう。

  • まず、タイトルに「理科系の」とあるのは、これまでの著者の本にもよくあった「理系の~」を踏襲した枕詞みたいなもので、特にそこを気にして文系の人間が敬遠する必要はないと思う。
    本人もあとがきで「カマタの使った読書術」を書いた本だと言っているし。
    「京大式」・「カマタ式」よりはこの方が売れると思った出版社の都合でしょう。

    難解な本は書いてる著者が悪いのだ、と主張する一方、言いっぱなしで終わるのではなく、難解に感じるのは著者と自分とのフレームワーク(思考枠組)の違いが原因なのだから、それをすり合わせることを意識して読み方をしていけばよいのではないか、との提案でこれは読書の仕方として参考になる。というかこういう意識で臨むと、これから先難解本に出会っても心が折れなくて済みそうだ。

    目的をもって読むのだから全部読まなくてもいいんだ、とか、読んでいてわからない部分は棚上げしろ、細かく要素に分解してみろ、とかいった具体的な読書術が列記された末に、最後には「読まずに済ませる読書術」。
    脱帽。というかこれくらいの心持ちで本と向き合えば良い、というその姿勢に救われる。
    著者は、読書へのハードルが高すぎて本から疎遠になってしまっている教え子を仮想読者として、彼らへの処方箋として説いているようなところもあるかもしれない。

    また、昨今のビジネス書・自己啓発書の不振について、著者は山田真哉氏の『平成のビジネス書』とは違った見解を述べている。
    曰くこうした書物の「未来はコントロールできる」という思想の怪しさに読者が気づいてしまったのではないか、と。
    「本」という形となったこれまでの「知」を蓄積しても、震災など「想定外」の事態には対応出来なかったという指摘を、愛蔵書にカビが生えてしまったことをきっかけに蔵書の処分を進めた著者自身のエピソードと重ね合わせて論を進める。
    よほどの本でも無い限り再入手することはできるので蔵書を処分しても困らなかったという経験談と、そのことで体が軽くなった、読書も未来志向になった、という告白は、震災以降10年代の断捨離、ストックからフロー、所有から利用・共有・シェア、といった指向に通底しているように見える。

    10年代が到達した読書術の最終形を提示した本。
    今、ここで読む本が、今、ここで生きる自分を変えてゆく。それが読書の終着点、と。

  • 理科系の読書術というタイトルですが、理系じゃない私でも楽しんで読めたのでぜひ読んでほしいと思います。
    読書というものについて、ただのスキルではないアプローチがされています。

    本との向き合い方
    本の読み方
    本の選び方
    本の使い方

    などなど、理系=理論的で合理的な観点から、
    なぜそうするのか、も含めて書いてあるので、
    今後の読書にも生きると思います。

    あくまで、速読や多読のスキルだけを学びたい方にはおすすめしない本です。
    個人的には、これからの読書に対する考え方に役立つ本だと思うので、大学生や社会人になりたての方に出会ってほしい本だなと思います。

  • 学校では教わらなかった「本の読み方」を学んでみませんか?
    読書が苦手な人でも仕事や勉強を効率よく進められるヒントが満載の本書で,読書術を身に着けましょう。

  • 図書館で同じ本を借りてしまっての3回目です。
    昔読んだ別の本と勘違いしていて、3回とも「何か違うなぁ」と、思いながら最後まで読み続けました、
    それでも(それだから)すらすらと、読めるのは、鎌田氏の文章力の高さからだと思われます。
    ただ本の中身はそれほど印象に、残らないかな?
    「読書とは既に知っている9割を確認すること」と、あるのでこれで良いのかもしれません。

    それにしても読みたい昔の本の題名、思い出せません。

  • 大事なのは、メモリを使いすぎず内容を吸収すること。
    そのためには。。。
    ・拾い読み
    ・本棚にバッファを持つ。

    など。

    不完全法を実践する!

  • 読書術だけでなく、総合的な勉強法にも触れている。

  • 基本的には、アウトプットや知識習得を目的とした読書ノウハウ本なのだが、ところどころ読書や知識習得そのものに対する著者の独自の考え方がみえておもしろい。
    もちろん、How toの部分も洗練されていて参考になる。

    細かい手法はさておき、骨子と読書に対する考え方のみメモ
    ・難しい語はいったん棚上げして、とにかくざっと目を通してみる。あとから理解できるようになることもある。
    ・あまりにも難しい場合は、著者が悪いか、自分がその本を読むための基礎力不十分。
     - 基礎知識を得るには入門書3冊程度に目を通してみる。
     - 著者と自分の理解のフレームワーク(時代的背景や固定観念、著者の属する集団における常識、思考パターン etc.)が違うと、理解は難しくなる。すり合わせが必要。
     - 速読はできない。基礎知識がない分野の本を速読しても内容を理解できない。読書スピードを上げるには、その分野の知識習得が必要で、それは最初のうちに遅読することで身に着けるしかない。
    ・アウトプット前提の情報収集が目的の場合、無理に本を全部読み通そうとしない。時間と目的を決めて読む。
    ・「ブリコラージュ」できないことをできるようになるために、新たな知識を身に着けようとするのではなく、まずは自分の知識、スキルで対応できないかを考える。
     (・・・> 青い鳥症候群を思い出した(笑))

    全体を通して、アウトプット(特に研究)や、何かを成すために読書をするのであって、知識習得そのものを目的化しないようにというメッセージが強かった。
    それが極論すると、本の著者の主張のすべてを受け取る(本を読み切る)必要はなく、自分の目的を達するのに必要な知識を探してピックアップしましょう、ということになる。

  • 然程「理科系の~」という感じはしなかったが、すごく参考になった。

    「耳学問(人から新しく聞いた話を自分の知識とする方法)は本を読む前の「心の敷居」を低くするために役立つ。」とあり、テレビなどの解説も役に立つ。「マンガでわかる~」とかも、そうだろう。積極的に活用したい。

    また、「「読む」という作業は、ひとり読書にとどまらず、相手の気持を「読む」、あたりの気配を「読む」、将棋の手を「読む」ことにも通じている。つまり、目に見えないものをどれだけイメージできるかという勝負なのである。したがって、読書力の減退はその訓練の場がなくなっていることを意味するので、活字離れの次元を超えた大きな問題。」というのは、印象に残った。
    「読む」というのは単に字面を追うことではない。見えないものを見ようとする、云わば想像である。これがベースとしてないと、人間関係もうまくいかない。
    なんとも身につまされる話である。。

    あと、「知的消費」と「知的生産」の話。これもすごい。
    「知的生産とはレポート、企画書、論文、書籍などの文章に知価の高い内容を集積することをいう。それに対して知的消費とは、本を濫読する、将棋を指す、教養ある会話をするなど、知的な活動ではるが直接生産に結びつかない活動を言う。インターネットのサーフィンなどは、現代の知的消費の最たるものであろう。
    このように知的生産と知的消費を自覚することを最初に行っていただきたい。
    知的生産を目標にすると、最終成果が得られなければすべてが水泡に帰する。したがって、知的生産にならない勉強をしている時間が(楽しくもなく知的消費ですらないから)もっともムダで危険だ。」
    実務で使わない資格試験やアウトプットに結びつかない読書も、(知的消費にすらならない癖に、何某かやった気になる)もっともムダで危険なものであろう。

    あと戒めとして、以下は覚えておきたい。
    「メモを取るのが好きな人が陥りやすい失敗に、ノートという途中の過程ではよく書けているのに、肝心のアウトプットの出来がよくないということがある。書いたノート自体が美しい作品になってしまうと、かえって頭に残らない。」

    以上、キレッキレの言説であり、参考になる箇所多し。
    知的生産と知的消費の区別、付けてみよう。

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著者プロフィール

1955年東京都生まれ。1979年東京大学理学部地学科卒業。通産省地質調査所、米国内務省カスケード火山観測所を経て、1997年より京都大学大学院人間・環境学研究科教授。理学博士。専門は火山学・地球科学。京大の講義は毎年数百人を集める人気で教養科目1位の評価。著書に、『理科系の読書術』『地球の歴史』(以上、中公新書)、『世界がわかる理系の名著』(文春新書)、『火山噴火』(岩波新書)、 『京大人気講義 生き抜くための地震学』(ちくま新書)、『地球とは何か』(サイエンス・アイ新書)など多数。

「2020年 『理学博士の本棚』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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