オスマン帝国-繁栄と衰亡の600年史 (中公新書)

著者 :
  • 中央公論新社
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レビュー : 29
  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121025180

作品紹介・あらすじ

イスラム世界の最果てで「信仰戦士(ガーズィー)」をまとめ上げた始祖オスマン。
アナトリアを統一した稲妻王バヤズィト1世。
ビザンツの帝都コンスタンティノポリスを征服し「征服の父」「二つの陸のハーカーン、二つの海のスルタン」を称したメフメト2世。
イスラム世界の世俗の最高権力者スルタンにして、預言者ムハンマドの正統後継者カリフとなったセリム1世。
西方世界から「壮麗王」と呼ばれ、オスマン帝国の黄金時代を築いたスレイマン1世。
大宰相ファーズルとともに帝国史上最大版図を達成したメフメト4世。
西洋文化をとりいれ、都市文化の爛熟を導いたアフメト3世。
芸術外交を推し進めたセリム3世、イェニチェリ軍団を廃止して郡司改革を行った「大王」マフムト2世。
「最後のスルタン」メフメト6世、「最後のカリフ」アブデュルメジド・エフェンディ――大帝国を彩る皇帝たちの光芒

感想・レビュー・書評

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  • よかった。中公新書らしいバランス感。歴代のスルタンたちを軸に展開していくのも初心者にやさしい。一方で最新の知見も十分取り入れられていて視野は広い。特にスレイマン1世以降が勉強になった。レパントの海戦やカルロヴィッツ条約以降は衰退の一途を辿ったという短絡的な捉え方はしてなかったつもりだけど甘かった。帝国書院の世界史の教科書がセリム3世やマフムト2世を取り上げてる理由がわかった。講談社現代新書のオスマン帝国入門は少し法分野への偏りが強かったが,この本はそれ以上によくできてる。

  • 600年のオスマン帝国史が、歴代スルタンを網羅することで伝えられる。17世紀に広げられた領土は、中東をベースにアフリカ、ヨーロッパへと拡大するが、民族、宗教の見地からして現在ではおよそありえない版図だ。その繁栄と衰退、滅亡の歴史をもっと物語的に知りたかったが、通り一遍のスルタン略伝のごときであったのは物足りない。王位継承の裏には、目潰しや処刑といった兄弟の排除、鳥籠(カフェス)制度というシステムが継続されたことに驚くが、柔軟なクルアーン解釈による「オスマン的イスラム」あっての長命帝国であったことを学ぶ。

  • トルコのことが昔から気になっていました。
    きっかけはトロイの木馬で、次に塩野七生さんのローマ人の物語を読んで、それから日本でもトルコアイスが一時期流行り、気がついたらケバブが定着していたように、私の中でトルコへの興味がいつの間にか根付いていました。
    トルコがかつてオスマン帝国だったのは知っていましたが、そういえば国家成立時と国家滅亡時のことは全然知らなかった…。オスマン帝国って言われるとすごく昔のことに感じますが、ほんと最近まで帝国はあったんですよね、と実感できました。
    トルコ行きたい。

  • 本書の区分で言うところの「集権的帝国の次代」以外の知識はほぼ持ち合わせていなかったので、非常に興味深く読めた。特に近代化の時代は現在のトルコ共和国に通ずる点も多くあり示唆に富む内容だった。長い歴史が君主を軸に叙述され、権力構造がどのように変遷していくかもよく分かる良書。

  • 600年続いたオスマン帝国の栄枯盛衰が、わかりやすくまとめられている。
    最近のトルコ共和国のエルドアン大統領の強権的な言動から、オスマン帝国回帰と言われるなどの報道を見聞きしてから、ほとんど知らないオスマン帝国の歴史を知りたかったので。

  • 【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/523776

  • 13世紀末から20世紀まで長期にわたって存続したオスマン帝国の通史。
    ヨーロッパ史とイスラム史を繋ぎ止める重要な立ち位置であったにも関わらず、今まであまり顧みられてこなかったこの国を非常にわかりやすくまとめ切った本書。

    世界史を授業で学んだ限りでは当初は興隆を見せるも、近代には帝国主義とナショナリズムの流れについてこれなくなって遅れた国という認識に留まる。
    しかし、600年以上続いた背景には変革と反動を繰り返しながら時代に順応していった歴史があり、
    現代の問題を解くヒントを得ることができるという、
    歴史を学ぶ意義を改めて思い出させてくれた。

  • 2019

  • 複雑な歴史だった。
    キリスト教圏ではない、イスラム教圏の入口として読むには、一本の道としての理解が出来る良本。

    フランス史も複雑で、いつからが本当の国なのか、色んな書籍を読んでもし難いんですけど、それと同じく、中東の大国としてあるにも関わらず、統一国家という意味でなかなか理解がしづらく、頭の整理がいつも出来ない。

    島国日本の様に、分かり易い国境が示しがたく、領土の拡張や奪還、または奪われ放棄しつつ国家の体を成しているから、という事だけは理解している。
    あとは、自民族だけで成立しないので、多民族との共生が、物事や政治、統治の方法論が、時代で変化しているんだなと。

    オスマン帝国があったがゆえに、結果、イスラム教が守られてきた事だけ、ぼんやりと覚えておく。
    キリスト教と違う、宗教と国家との繋がり方になり、政教の試行錯誤があり、その中で血を出しながら、やはり進化をしている。

    「柔かい専制」、18世紀がその到達点。

    柔かくなる事は人間性の顕れで好ましい。
    結果、その柔らかさが、帝国の命運を奪った。

    政治と宗教が共存させる、民主化の違う可能性も見えかけてた。

    やはり、国家は、難しい。。。

  • 今までは塩野七生の描くキリスト教社会から見たイスラム社会としてしか認識していなかったオスマン帝国の実像を初めて知ることができた貴重なオスマン通史。どうもイスラムというと中世的で原理主義的に思ってしまうが、実のところはキリスト教社会も中世は極めて原理主義的かつ非人間的であるところがあり、むしろオスマン側のほうが他宗教に寛容でさえあったという。現在のイスラムのイメージとは大分違うとともに、たぶん日本がヨーロッパ的価値観に縛られているためにそのように感じるのだと思う。それが再認識できる非常に素晴らしい本。まあ、後継者争いを避けるために兄弟殺しをするなど今考えるとあり得ないようなことも起きていたが、それも中世という時代背景の下でのことであり、実際に日本の戦国時代においても兄弟殺しは一般的であったことを考えると仕方ないことなのだと思う。今のトルコとオスマン帝国の関係さえ知らなかったので、本当に勉強になった。

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著者プロフィール

序章、第一章を執筆

九州大学大学院人文科学研究院 准教授
主要業績:
『イスラーム世界における王朝起源論の生成と変容  古典期オスマン帝国の系譜伝承をめぐって』刀水書房、2014年。
『オスマン帝国史  繁栄と衰亡の六〇〇年史』中央公論新社、2018年。
 “Enter the Mongols: A Study of the Ottoman Historiography in the 15th and 16th Centuries,” Osmanlı Araştırmaları, 51, 2018, pp. 1-28.

「2019年 『トルコ共和国 国民の創成とその変容』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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