オスマン帝国-繁栄と衰亡の600年史 (中公新書)

著者 :
  • 中央公論新社
3.93
  • (16)
  • (24)
  • (18)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 435
レビュー : 33
  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121025180

作品紹介・あらすじ

イスラム世界の最果てで「信仰戦士(ガーズィー)」をまとめ上げた始祖オスマン。
アナトリアを統一した稲妻王バヤズィト1世。
ビザンツの帝都コンスタンティノポリスを征服し「征服の父」「二つの陸のハーカーン、二つの海のスルタン」を称したメフメト2世。
イスラム世界の世俗の最高権力者スルタンにして、預言者ムハンマドの正統後継者カリフとなったセリム1世。
西方世界から「壮麗王」と呼ばれ、オスマン帝国の黄金時代を築いたスレイマン1世。
大宰相ファーズルとともに帝国史上最大版図を達成したメフメト4世。
西洋文化をとりいれ、都市文化の爛熟を導いたアフメト3世。
芸術外交を推し進めたセリム3世、イェニチェリ軍団を廃止して郡司改革を行った「大王」マフムト2世。
「最後のスルタン」メフメト6世、「最後のカリフ」アブデュルメジド・エフェンディ――大帝国を彩る皇帝たちの光芒

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 14世紀初頭から20世紀初頭にかけて、約600年の長きにわたり存続したオスマン帝国栄枯盛衰の歴史を綴った書。

    オスマン帝国は、600年間、常に領土を巡って周辺国と争い、国内に紛争の火種を抱えていて、その版図は刻々と変わっていったようだ。まるで、日本の戦国時代が600年間続いたような感じ。読んでいてちょっとウンザリだった。戦費もかさんだろうしなあ。トルコ人は、元々はモンゴル高原起源の遊牧民だったというから、そういう先祖のDNAも関係しているのかな?

    戦乱に明け暮れつつも長きにわたり帝国が存在し続けられた秘訣は、スルタン即位時にその兄弟を処刑する「兄弟殺し」の習慣、奴隷を王子の母とする習慣(王妃の一族が外戚として力をもつのを防ぐため、王妃との間には子を作らない)、君主直属の奴隷を重用する習慣(君主権力の絶対化を図るために抜擢)、諸民族・諸宗派の共存を目指した柔軟で寛容なオスマン主義の採用、等にあるという。兄弟殺しにはさすがに唖然とした。野蛮というか、血も涙もないというか。帝国も後期になると、さすがに殺さず幽閉するようになったようだが(ずっと幽閉されていたお陰で帝位を継いだ時には気が触れてしまっていたスルタンも何人か居たようだから、残酷であることには変わりないよな)。

    最後は、オスマン帝国の宗教的・民族的な寛容性が仇になり、滅亡を早めてしまったようである。著者は、「近世までの帝国の特性である柔構造が、均一かつ同質な国民国家を形成するという潮流が世界的に加速するなかで機能不全を起こした」と書いている。

    本書から、第一次世界大戦前夜のバルカン半島の不安定な状況などが分かったのは良かった。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      norisukeさん
      親日国だから、勝手に親しみを抱いているのですが、モンゴルがルーツだったとは、、、
      怖い面ではブルガリア映画『略奪の...
      norisukeさん
      親日国だから、勝手に親しみを抱いているのですが、モンゴルがルーツだったとは、、、
      怖い面ではブルガリア映画『略奪の大地』を思い出していました。何処も近隣の国同士だと色々、、、
      2020/10/06
    • norisukeさん
      猫丸さん、コメントありがとうございます。
      遊牧民はユーラシア東西の交易を担って隠然たる力を持っていたともいいますし、本書を読んで、改めて中...
      猫丸さん、コメントありがとうございます。
      遊牧民はユーラシア東西の交易を担って隠然たる力を持っていたともいいますし、本書を読んで、改めて中東や中央アジアの人々の強靭さやバイタリティを感じました(残念ながら、欧米中心の現代社会とはマッチしていないようですが…)。トルコは最近ニュースになることが多いので、今後注目していきたい国の一つです。
      2020/10/06
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      norisukeさん
      そう言えば、EU加盟できるのかな(独り言です)
      norisukeさん
      そう言えば、EU加盟できるのかな(独り言です)
      2020/10/06
  • 600年のオスマン帝国史が、歴代スルタンを網羅することで伝えられる。17世紀に広げられた領土は、中東をベースにアフリカ、ヨーロッパへと拡大するが、民族、宗教の見地からして現在ではおよそありえない版図だ。その繁栄と衰退、滅亡の歴史をもっと物語的に知りたかったが、通り一遍のスルタン略伝のごときであったのは物足りない。王位継承の裏には、目潰しや処刑といった兄弟の排除、鳥籠(カフェス)制度というシステムが継続されたことに驚くが、柔軟なクルアーン解釈による「オスマン的イスラム」あっての長命帝国であったことを学ぶ。

  •  近代ヨーロッパの本を読んでると、崩壊しかけのオスマン帝国が出てくるので気になって読んでみた。

     ただ教養として軽く読むには難しかった。聴き慣れない横文字のせいかも。でも、オスマン帝国がどのような特徴を持っている国か、現在にどう根付いているのかがなんとなくわかったと思う。もうちょっと簡単な本を読んでみて再挑戦したい。

  • オスマン帝国に全く触れたことのない私にも、わかりやすく楽しく読める新書でした。でもたった300ページで600年を語るため、1ページごとの圧がすごくてもう2,3回は読まないと色々覚えられそうにないです笑。
    噂には聞いてたけど本当に兄弟殺しまくっててウワーッと思った、でも君主崩御後の跡目争いとどっちがいいかと言われると…
    他国との接地面?が広すぎて、ロシアもオーストリアもエジプトも出てくるの面白すぎですね、壮大

  • 世界史とってなかったこともあって知識がまだらなので第一次世界大戦の敗戦国のうちにオスマン・トルコが含まれていることを知ってちょっと驚いてその歴史に興味を持ったので。日本だと鎌倉時代から明治にかけて実に36代、600年続いた王朝の通史を新書にコンパクトにまとめたものなのでかなり大雑把ではあるけれどかえって大きな流れが理解できてよかった。まずタイトルがオスマン帝国とあるけれどそれはオスマン家という実は出自のはっきりしないトルコ系の遊牧民が王様(スルタン)を務めてはいたものの政権の中枢を担っていたのはアルメニア人やクルド人など多岐にわたる民族であってトルコ帝国とはいえないということらしい。更には宗教もイスラム帝国でありスルタンはいつしかイスラム世界の教皇であるカリフをも名乗るもののかなり寛容でキリスト教徒やユダヤ教徒も多少イスラム教徒に劣後はするものの長い間共存していた社会であったのだそうだ。長く続いた秘訣はこの宗教面での寛容さと権力闘争を極力排除したシステムにあって特に後者は、有力な豪族の力を削ぐ、王が即位するとその兄弟は殺してしまう(後年はハレムに閉じ込める)、そして外戚ができないように外国の有力者とスルタンや王子が結婚しても子供を作らせないという徹底(殆どのスルタンの母親が奴隷身分だという)ぶりにあった。それにしてもローマ帝国以来の版図を誇った大帝國が近現代になって識字率の向上、各言語での出版物の出現により民族主義が芽生えた結果、帝国がゆるく抑えていた地域のほうぼうで離反が相次ぎクリミア戦争でボロボロにされ第一次大戦の敗戦で完全に崩壊していくところはなんとも物悲しい。そして領土も分割されてしまうところを盛り返して現在の共和国の形を作ったケマル・アタテュルクとはなんとも凄い男だな、とも思った。

  • 本書の区分で言うところの「集権的帝国の次代」以外の知識はほぼ持ち合わせていなかったので、非常に興味深く読めた。特に近代化の時代は現在のトルコ共和国に通ずる点も多くあり示唆に富む内容だった。長い歴史が君主を軸に叙述され、権力構造がどのように変遷していくかもよく分かる良書。

  • 600年続いたオスマン帝国の栄枯盛衰が、わかりやすくまとめられている。
    最近のトルコ共和国のエルドアン大統領の強権的な言動から、オスマン帝国回帰と言われるなどの報道を見聞きしてから、ほとんど知らないオスマン帝国の歴史を知りたかったので。

  • 【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/523776

  • 13世紀末から20世紀まで長期にわたって存続したオスマン帝国の通史。
    ヨーロッパ史とイスラム史を繋ぎ止める重要な立ち位置であったにも関わらず、今まであまり顧みられてこなかったこの国を非常にわかりやすくまとめ切った本書。

    世界史を授業で学んだ限りでは当初は興隆を見せるも、近代には帝国主義とナショナリズムの流れについてこれなくなって遅れた国という認識に留まる。
    しかし、600年以上続いた背景には変革と反動を繰り返しながら時代に順応していった歴史があり、
    現代の問題を解くヒントを得ることができるという、
    歴史を学ぶ意義を改めて思い出させてくれた。

  • 2019

全33件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

九州大学大学院人文科学研究院イスラム文明学講座准教授。博士(文学)。1974年生まれ。専門はオスマン帝国史、トルコ共和国史。主著に『イスラーム世界における王朝起源論の生成と変容――古典期オスマン帝国の系譜伝承をめぐって』(刀水書房、2014年)、『オスマン帝国――繁栄と衰亡の六〇〇年史』(中公新書、2018年)、編著に『トルコ共和国 国民の創成とその変容――アタテュルクとエルドアンのはざまで』(九州大学出版会、2019年)など。

「2020年 『歴史教育の比較史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小笠原弘幸の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印

オスマン帝国-繁栄と衰亡の600年史 (中公新書)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×