古代オリエントの神々-文明の興亡と宗教の起源 (中公新書 2523)

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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121025234

作品紹介・あらすじ

西アジアからエジプトまでの広がりを古代オリエント世界という。ティグリス・ユーフラテス河の間に広がるメソポタミアの平野、ナイルの恵みに育まれたエジプト。ここで人類は五〇〇〇年以上前に文明を築き、数多くの神をつくり出した。豊作をもたらす神、都市を守る神、人の願いを最高神に伝える神や神を生む神――数千年にわたる諸文明の興亡をたどりながら、人がいかに神を求め、神を生み、神とともに生きたかを描く。

感想・レビュー・書評

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  • 相関図を別に書き出さないと記憶に残らないほど多くのオリエントの神々がでてくる。
    印象に残ったのは復活するドゥムジ神がイエスの話に影響を与えたこと。復活するドゥムジを嫌った旧約聖書とは違い、戦争で夫や息子を亡くした多くの女性が信じたキリストの新約聖書に生き返りを綴ったことは普及に意味を残したのでは。
    さらにウトゥ神などの太陽神、ナンナなどの月神、エレシュギガルやギルガメッシュなどの冥界神。これは日本のアマテラス、スサノウ、ツキヨミの三柱に似てないか。一説には彫りの深い縄文人はメソポタミアから流れ着いたと。彼らがオリエントの神々を日本に当てはめたのかもしれない。
    世界中の神々は相互に影響しあって変化をしてきたようだ。

  • 『古代オリエントの神々』/小林登志子インタビュー|web中公新書
    https://www.chuko.co.jp/shinsho/portal/112319.html

    古代オリエントの神々|新書|中央公論新社
    https://www.chuko.co.jp/shinsho/2019/01/102523.html

  • ギリシア、北欧などの神々やキリスト教やイスラム教、ヒンズー教の神などについては時々目にするが、古代オリエントの神々についてはよく知らなかったので、とても面白かった。
    絵本で読んだギルガメッシュ王も実は、冥界の神だと知って驚いた。神仏習合は日本で顕著なのかと思っていたが、世界各地で行われていたことも知り、興味深かった。
    昔の人々は大地や海を女神と考えることが多いと感じた。何かを生み出すという概念と、子どもを産む女性との連想が各地で共通であることも面白い。
    古代オリエントについては、今では紛争地帯となってしまい、貴重な資料が次々となくなってしまっていることに暗澹たる思いがする。この状況を変えて少しでも人類の民俗的学問が進んでいくことをねがう。

  •  単なる神々の紹介にとどまらず、オリエントの人々が神々とどのように関わっていたのか、後の宗教にどのような影響を与えたのなど多岐にわたる内容で非常に面白く、あっという間に読み終わってしまった。ところどころ横道にそれるが、全く無関係な話ではなく、むしろオリエント文化の奥行きを感じさせるものであった。特に「ブランコに乗る女性小像」から始まるブランコの話は面白かった。ブランコはもともと豊穣儀礼であり、インドからオリエント、日本を含めた多くの地域へ豊穣儀礼として伝播したとのこと。基本的に横道に逸れるのは好きではないが、このように主題の奥行きを感じさせたり、深い関連を示すものであれば歓迎である。

  • 多少詰め込み過ぎの感はあるが、オリエントの神々につういて先史時代から古代ローマまで移り変わりが分かり、キリスト教やイスラム教のルーツが垣間見えた。

  • タイトル通り、古代オリエントで崇拝された様々な神々を羅列紹介する本。取り上げるのはヤハウェ・アッラー、オシリスやゼウス、マルドゥクにギルガメッシュ、そしてバアルや今まで聞いたことのない神々まで本当に多岐にわたる。その多さに溺れてしまいそうになるが、その様々な神々の神話がその後の神話・宗教─特にキリスト教に大いに影響を与えているであろう事実は、改めて歴史や宗教その全てが人の営みだと気付かせてくれる。

  • 筆者の専門であるメソポタミアからギリシア、エジプト、まで古代オリエントの幅広い部分で神々の習合の流れや歴史を、日本の神々も参考に出しながら説明されていてとても分かりやすかった。
    古代オリエントを見渡せる良書。

  • p.7-8 シュメルの神話及び旧約聖書では、農夫と牧夫の対立が描かれている。
    ☆土地をめぐって農夫と牧夫が対立関係にあったとも読めるし、ことさら対立関係を強調して緊張感を与えているとも読める。
    p.32-33
    ゾロアスターは善悪二元思想。
    ☆この2元論が後に一神教のもととなったのではなかろうか。

  • 神話のエピソード集ではなく、古代の人々の暮らしや死生観、権力の変動を反映して様々に姿を変えていく神々の話。古代オリエントの神々の名前は個人的に馴染みが薄く、読むのに苦労したが、人々がどのようなニーズによって神を作り出し、受容してきたのかが窺え、とてもおもしろかった。

  • 後に多数の宗教の祖となる古代オリエント(主にメソポタミア)について,神々の視点から解説した本である。主な分類:太陽神,地母神,冥界神,最高神

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著者プロフィール

小林登志子
1949年、千葉県生まれ。中央大学文学部史学科卒業、同大学大学院修士課程修了。古代オリエント博物館非常勤研究員、立正大学文学部講師等をへて、現在、中近東文化センター評議員。日本オリエント学会奨励賞受賞。専攻・シュメル学。
主著『シュメル―人類最古の文明』(中公新書、2005)、『シュメル神話の世界』(共著、中公新書、2008)、『文明の誕生』(中公新書、2015)、『人物世界史4 東洋編』(共著、山川出版社、1995)、『古代メソポタミアの神々』(共著、集英社、2000)、『5000年前の日常―シュメル人たちの物語』(新潮選書、2007)、『楔形文字がむすぶ古代オリエント都市の旅』(日本放送出版協会、2009)ほか

「2022年 『古代オリエント全史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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