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- / ISBN・EAN: 9784121025357
作品紹介・あらすじ
事大主義とは、強者に追随して保身を図る態度である。国民性や民族性を示す言葉として、日本や朝鮮、沖縄で使われてきた。本書は、福沢諭吉、陸奥宗光、柳田国男、朴正煕、金日成、司馬遼太郎など、の政治家や知識人を事大主義の観点で論じ、時代の変遷を描く。日本への「島国根性」という批判や、沖縄への差別意識はどこに由来するのか。韓国と北朝鮮の相剋の背景は何か。自虐と侮蔑が交錯した東アジアの歴史が浮き彫りに。
感想・レビュー・書評
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「事大主義」とは近代に生まれた言葉で、自己保身のため強者に追随する態度を表します。本来「事大」は小国が大国に事(つか)える外交政策のことで、悪い意味はありませんでした。しかし「事大主義」はネガティブな日本人気質と結びつき、自己批判に用いられると同時に、韓国・北朝鮮、また沖縄のイメージとしても使われるようになりました。言葉の意味の変遷や、イメージが形成される背景には、どのような影響があったのでしょうか。本書は、東アジア史の概覧とともに「事大主義」という言説を考証し、その有効性を問う一冊です。
京都外国語大学付属図書館所蔵情報
資料ID:634419 請求記号:210.6||Mur詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
韓国・韓国人を読み解くには必読か?
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事大、事大主義の意味や歴史的変遷はよくわかった。
ただしそれ以上のことは期待しない方が良いし、そのためだけならば序章や1部だけ読めば充分である。本書は民族学者の視点で、純客観的に事大主義の使われ方を語っているだけだからである。
また、言説、言説空間、得心など、熟語を多用し、中国語の翻訳か明治時代の論文かと思われるほど文章が固い。 -
序章 「事大主義」という見方
第1章 「国民」の誕生と他者表象
第2章 反転する「事大主義」―他者喪失によるベクトルの内向
第3章 沖縄「事大主義」言説を追う―「島国」をめぐる認識の相克
第4章 戦後日本の超克対象として―「事大主義」イメージの再生
第5章 朝鮮半島への「輸出」―南北対立の中の事大主義言説
終章 “鏡”としての近現代東アジア
著者:室井康成(1976-、世田谷区、民俗学) -
日経新聞掲載2019511
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近現代の日本・朝鮮・沖縄が描いた複雑な軌跡。その歴史について「事大主義」をめぐる思想や言説から描き出す試み。
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事実関係の評価が随分異なっていた。
じっくり読めば良かったんだろうが、すみません、時間も気力も持たず中断。 -
事大主義の成り立ちと変遷、さらに各地における受容の経過をまとめた本書。
事大主義がその源流においては、ただ外交政策を意味しているだけであるとは初めて知った。「大国に事(つか)える」という状況を「事大」と表す実にシンプルな言葉である。
それに「主義」をくっつけ、今日における意味となったのは明治時代以降。作成者は福沢諭吉であるという。
明治時代は列強各国に対抗していかなくてはならない時代。故に背伸びし、先鋭化していた影響がこういう言葉にまで及んでいたと見るべきか。
明治時代は確かに光の部分も多々あるが、その負の部分も多い。その負の部分が現代まで尾を引き、未だ清算できずにいる。その内の一つが事大主義なのだろう。 -
210.6||Mu
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東2法経図・6F開架:B1/5/2535/K