老いのゆくえ (中公新書 2548)

著者 :
  • 中央公論新社
3.22
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本棚登録 : 126
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121025487

作品紹介・あらすじ

家の中や外で転倒することが増えた。運転免許をついに返納した――。85歳という新たな区切りを超えた作家は老いとどう向き合っているのか。優先席との微妙な関係、年齢への違和感、進まない整理整頓、しゃがむことの困難、病気との付き合い方、硬貨や薬が転がり落ちること。同じ出来事でも、70歳代のころとは見え方が変わっている。「老人独特の忙しさ」の中、残された時間に思いをはせながら描く老いの日常。

感想・レビュー・書評

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  • 老いは悲しき

  • 人はみな老いてゆく。その中で、周りからよく耳にする自らの変化は、同年代からもたらされることが多い。そのため、この先、どんなことになってゆくのか?に関しては、座して待ちながら体験し、同世代とまたも共有してゆくことになる。この本では、多くの読者から見れば大先輩にあたる人物が語る生身に起こる様々なことを、率直に述べられていて、老いの予習にもってこいの良書である。

  • 著者自身の「80代後半の赤裸々な「老い」の実体験を披露、真の老いの実態を知り、老いへの覚悟(精神的)を準備する

  • これはまだ中年のうちに出会えて良かった本である。とにかく「老いる」とはどのようなことか、老いる人自身の主観的な目で懇切丁寧に描いて教えてくれる本はなかなか無いように思う。転ぶこと、体が動かなくなること、ものを忘れること、客観的には理解しているつもりのこれらの老化現象が、その人自身にはどう捉えられているのか、自分を客観的に捉える目線も含めてユーモアたっぷりに伝えてくれている。

  • 80歳を過ぎて転ぶと、以後一年以内に必ずもう一度転ぶ
    一年に三ミリほど身長は減っていく
    60歳くらいまでは、病気はやがては治るものだと考えていた節がある。
    ところがある年齢に達してから、病気にかかると、恢復はしても、それは以前の状態への完全は復帰ではなく、7割か8割あたりの線にとどまる復帰であるに過ぎぬ。
    老人は本質的には忙しい
    年寄りであるために個々の作業に著しく時間がかかる。つまり能率の悪さが作業時間を引き伸ばし結果として容易に仕事が進まずに時間ばかりが経っていく。
    老人が忙しいのは、やることが増えるからではなく、自分の持ち時間が乏しくなっているから。それは、朝から夜へと流れる時の運びのことではなく、その人に残されている時間の量のこと。

  • 黒井千次さんの「老い」シリーズの3冊目。的確に老いの状況を記してくださり、全く、同じだと、納得している。ボケてきた頭の整理と、自分だけではないのだと思う、一種の気持ちの安らぎは、たすけになる。物忘れの酷さ、本などいえの中が整理できないいらだち、納得しているだけでは、だめなのだが。

  • 実は他の本と間違えて購入してしまって、読むつもりのなかった本だったのだが、自分ももう夫の定年などを意識しなくてはならない年齢になっているので、これから自分の老いをどう受け止めていったらよいのかを考えるうえで、参考になった。
    ただ、それでも今はまだあまり実感はないのかもしれない。数年後読み返したら、もっと共感することが増えていくに違いない。逆に、この本をもっと若いときの自分が読んでいたら、著者のことを後ろ向きな老人としか思わなかったかもしれない。読むべきタイミングを考えなくてはいけない本のように思った。

  • 黒井千次さん「老いのゆくえ」、2019.6発行、85歳の頃の作品(エッセイ)です。60、65、75、そして85歳、新たな区切り、「ホントカヨ」といった心境だそうです。私は今年71、まだそれほどには老いを感じていませんが、これから先、ある日突然どどっとやってくるのか・・・、それともじわじわ忍び寄ってくるのか・・・、いずれにせよ、真正面から受け止めていく気持ちでいますw。まさに、著者が仰っている「人は自らにふさわしい老い方をするより他にはない」だと思います。

  • 914

  • 中年のネタに共感するのとは違って、85歳の高齢の方の本は驚きと発見の連続でした。
    終活本的ハウツーと違って、リアルに「老い」を考えさせられました。

    坂道を降りるときは前につんのめって、しゃがむと立ち上がれなくなって、ひっくり返ると起き上がれない、、、、。

    読みながら、家の中や近所の段差や坂を思い浮かべて考えてしまいました。

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著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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