大隈重信(下)-「巨人」が築いたもの (中公新書 (2551))

著者 :
  • 中央公論新社
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レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121025517

作品紹介・あらすじ

政治的に不遇の時代を迎えても、多分野で旺盛に活動を続ける大隈重信。その後、二度目の組閣の時を迎え、第一次世界大戦などの難局と向き合うことになる。膨大な史料を通して、彼の後半生と晩年を浮き彫りにする。そこからは近代日本の「巨人」の全体像も見えてくるだろう。

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  • 第5部 忍耐編(東アジア情勢の激変への対応―義和団の乱;再組閣への気力―日露戦争;不遇の時代の意気込み―日露戦争後の立憲政治と日中関係;文明論の展開―早大総長の日露戦後)
    第6部 老熟編(政界の流動化に希望を見る―大正新政;二度目の組閣―第一次世界大戦に参戦;イギリス風政党政治をめざす―山県閥・薩摩閥・政友会との戦い;加藤高明しかいない―二十一ヵ条要求の落とし穴;「世界改造」と国内調和の願い―ヴェルサイユ講和会議・労働運動)
    過熱した大隈ブームとは

    著者:伊藤之雄(1952-、福井県、日本史)

  • 「大平民」政治家として支持を集めた大隈重信。その後半生と晩年を膨大な史料を通して浮き彫りにする。

  • 本書を読むと、1900年代前半の日本は財政問題を含めて綱渡りのような実に危ない橋を渡っていたことを痛感する。その打開策として大隈重信は「イギリス流の政権交代可能な二大政党制を日本に導入すること」を目指したのだろう。
    薩長閥ではない大隈重信は、その為に相当な無理を重ねていることが本書で詳細に紹介される。人間的迫力、胆力、政治技術、精神力。皆相当なものだが、私たちは「政党政治」がこの後に死に絶えて昭和の大破綻に進んだことを知っている。結果をみると大隈重信は失敗した政治家なのだろうとも思った。
    いまだに日中関係に影を落とす「対華21ヶ条の要求」の詳細も興味深い。「加藤高明」が戦犯か。後継者と引き立てた大隈重信の責任は免れない。
    当時の多くの政党の混乱をみると現在の立憲民主党を巡る風景と変わらないとも思った。本書を読むと、イギリス風の二大政党制の確立は日本の土壌では難しいのではないかと考えてしまった。
    過去の日本の研究の深化は、戦前日本を総括する時期が来つつあることを感じる。本書を高く評価したい。

  • 下巻は忍耐編、老熟編として各章が配されるが、20世紀に入っての諸情勢下での動き、政党政治の進展の中での動き、2回目の首相を務めた経過、最晩年までである。
    下巻は各方面に影響力を行使するようになって、巧みなイメージ戦略のようなことを展開する様子が綴られ、加藤高明を“後継者”と期待しながら、当時としては「かなり高齢」ということになる76歳から78歳で2回目となった首相を務めた経過が詳しく述べられる。そして色々な情勢の中での最晩年の様子である。「早稲田騒動」と呼ばれた、自らが起こした大学での混乱に関しても詳しく綴られている。
    大隈重信は“本流”とか“主流”というようには看做され悪い位置に在って諸々の活動に携わっていたという場面が多かったのかもしれない。それでも、襲撃によって負った傷と障碍を有しながらも「明るく元気な指導者」として相当な高齢まで色々な活動を続けて来た人物である。
    時代なりの難しさが続いた中で「調和」というようなことを訴え続けたという大隈重信だが…現在もまた時代なりの難しさが続く状況であろうから、こういう「もう直ぐ逝去から100年」という“大物”の生涯に触れると、何か気付くことが在るのかもしれない。お勧めしたい本書である…

  • 東2法経図・6F開架:B1/5/2551/K

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著者プロフィール

伊藤之雄

1952(昭和27)年福井県生まれ.76年京都大学文学部史学科卒.81年京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学,名古屋大学文学部助教授等を経て94年京都大学大学院法学研究科教授.2018年京都大学名誉教授.専攻・日本近現代政治外交史.博士(文学).
著書『立憲国家の確立と伊藤博文』(吉川弘文館,1999年) 『昭和天皇と立憲君主制の崩壊』(名古屋大学出版会,2005年) 『明治天皇』(ミネルヴァ書房,2006年) 『元老西園寺公望』(文春新書,2007年) 『山県有朋』(文春新書,2009年) 『伊藤博文』(講談社,2009年〔講談社学術文庫,2015年〕) 『昭和天皇伝』(文藝春秋,2011年〔文春文庫,2014年〕,司馬遼太郎賞受賞) 『原敬』上・下(講談社選書メチエ,2014年) 『元老―近代日本の真の指導者たち』(中公新書,2016年) 『「大京都」の誕生―都市改造と公共性の時代』(ミネルヴァ書房,2018年)他多数

「2019年 『大隈重信(下) 「巨人」が築いたもの』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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