日本近現代史講義-成功と失敗の歴史に学ぶ (中公新書)

制作 : 山内昌之  細谷雄一 
  • 中央公論新社
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レビュー : 34
  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121025548

作品紹介・あらすじ

明治維新から150年余り。日本近現代史の研究は日々蓄積され、塗り替えられている。日本国内の閉じた歴史にとどまるのではなく、世界史と融合した新しい歴史を模索する流れが強まっている。明治維新に始まり、日清・日露戦争、第2次世界大戦、東京裁判と歴史認識問題、そしてポスト平成に向けた歴史観の問題まで。特定の歴史観やイデオロギーに偏らず実証を旨とする、第一線の研究者による入門14講。

感想・レビュー・書評

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  • 高校生に近現代史を教える中でもっと詳しく近現代史を知らなければと思い購入した本書。高校1年生以来、日本史を学んで来なかった自分でも、教科書の基礎的な知識の隙間を埋めるように簡潔に書かれているため理解がとても容易だった。
    主観によるイデオロギー対立を乗り越え、まずは自分がどんな主張を持っていようとも、歴史を真摯に見ることは大切であると再認識できた。

  • 特定の歴史観やイデオロギーに偏らず実証を旨とする第一線の研究者達により、日々蓄積され塗り替えられる日本近現代史の研究成果。

    序 章
    令和から見た日本近現代史
    ヘロドトスの「悪意」から劉知幾の「公平」へ
    山内昌之

    第1章
    立憲革命としての明治維新
    瀧井一博

    第2章
    日清戦争と東アジア
    岡本隆司

    第3章
    日露戦争と近代国際社会
    細谷雄一

    第4章
    第一次世界大戦と日中対立の原点
    奈良岡聰智

    第5章
    近代日中関係の変容期
    1910年代から1930年代
    川島真

    第6章
    政党内閣と満洲事変
    小林道彦

    第7章
    戦間期の軍縮会議と危機の外交
    第二次世界大戦への道①
    小谷賢

    第8章
    「南進」と対米開戦
    第二次世界大戦への道②
    森山優

    第9章
    米国の日本占領政策とその転換
    楠綾子

    第10章
    東京裁判における法と政治
    日暮吉延

    第11章
    日本植民地支配と歴史認識問題
    木村幹

    第12章
    戰後日中閔係
    井上正也

    第13章
    ポスト平成に向けた歴史観の問題
    戦後から明治へ、さらにその先へ
    中西寬

    おわりに
    「無限の宝庫」としての歴史
    細谷雄一

  • 半藤一利著『昭和史』を読んでから歴史に興味がある。特に近現代史に興味があり、本書を読んだ。
    結論から言うと、大変勉強になった。
    各専門家が各テーマに沿ってコンパクトにポイントを論じている。それゆえ経緯の説明が不十分なところがあるが、『昭和史』を読んで通史が頭に入っているから問題ない。さらに学びたい人のために参考文献が示されているのも良い。
    歴史は解釈である。事実をどう解釈するかで意見が分かれる。事実が判明しないこともある。その場合は解釈の幅も広がるが、全ては事実の解釈である。結論にたどり着けるかどうかさえ分からない科学の研究とは異なる。ゆえに歴史の勉強は安定感がある。
    知りたいのは今だ。いまの日本であり日米関係であり、日中関係が知りたい。そのためには近現代史を学ぶのが有効だ。
    近現代史を学べば今が見えてくる。今の事象の奥にあるロジックが見えて来る。

    【補足】通史を学ぶことが大事であることを痛感した。『昭和史』を読んでいなければ本書を読みこなせなかっただろう。大雑把でも良い。通史を学べば全体像を掴める。詳細を詰めるのはその後で良い。
    詳細は面白いが、通史はつまらない。その通史を面白く語れた半藤一利氏は改めて稀有な存在であった。
    学者の林望氏は「学問とは歴史と註釈である」と言った。全ての学問は、その学問の歴史を学び新たな解釈を付けることなのだ。
    ゆえに、歴史の学び方は全ての学問に通じる。それは、「通史を学び、詳細を詰める」の順番だ。

  • 高度な内容だと思いましたが、簡潔にまとめられており、勉強になりました。日本の近現代史を世界史の中において見ていく点は納得感が高いですね。自分には特に第7章、第8章が勉強になりました。

  • 明治維新から、日清、日露、第一次大戦、日中戦争、太平洋戦争、東京裁判、戦後の日中関係、現在の「歴史認識」まで、それぞれの専門の歴史家が14の章で事実中心に語る新書。

    このところ「なぜ日本は太平洋戦争に突入したのか?回避していたら何が起こったのか」に興味があったので読んでみました。それに対する簡単な答えは書いてないのですが、色々勉強になる一冊。

    日米中の関係が今後色々動きそうな今こそこういう過去の歴史は大事だと思う。

    後書きに面白いことが二つあった。ひとつはキューバ危機の最中にケネディは「八月の砲声」という第一次大戦開戦の経緯の本を読んでいた、という話。もう一つはこの本のネタは自民党が2015年に党内で開催した歴史セミナーであるということ。今の政治家のなかにも歴史に学ぼうという動きはあるようです。

  • スゴ本 すべての歴史は現代史である『日本近現代史講義』(http://dain.cocolog-nifty.com/myblog/2020/02/post-851a6e.html) にみちびかれて/第11章 日本植民地支配と歴史認識問題(木村幹)が個人的には出色。日本植民地支配例外論ともいうべき立場には、戦前の日本政府が植民地支配においてのみ、当時の西欧列強と全く異なる選択をした、と考えるのはそもそも無理であると指摘。植民地とは、宗主国本国とは異なる法律が適用されている「場所」のことであり、とりわけその法律の相違により、現地住民の有する権利義務関係が本国のそれよりも劣る状態になっている地域と定義した上で、当時の朝鮮半島や台湾においては大日本帝国憲法すら施行されておらず、帝国議会で成立した法律がただちに現地に適用されることもなかったのだから、定義上植民地であることは明らかだ、とする。また、朝鮮半島、台湾、南樺太、関東州、南洋諸島という地域の違いを無視したり、各地域での統治期間の長さの違い、またある政策が施行された期間の違いを無視し、植民地支配全体を代表するかのように言われる問題の多くが、50年、あるいは35年にわたった長期の植民地支配の最後の5年あまりに集中しており、これをもって日本の植民地支配を議論することは誤りであることを提示。そして今後の見通しとして日韓両国で「歴史認識の収拾」という火中の栗をあえて拾いに行く人はいない、それだけのリスクを冒す利益を見いだせないから。事態は長期化し、紛争はますます激化するだろう、と。/明治維新から、占領期までの通史としては、政党政治をかかげる大隈重信一党を政府から追放した「明治十四年の政変」、1915年に日本が中国に提出した対華二十一ケ条要求が著しく中国の日本感情を悪くしたこと(中国をことさらに下に見て、権益拡張を求める強力な世論の存在があったこと)、1928年に北京政府が滅亡した際同政府の首班だった張作霖は鉄道で奉天にのがれ関東軍に爆殺されたこと(中華民国、とは何だったのだろうかという個人的疑問)、幣原喜重郎に対する「統帥権干犯」との批難(1931年)が関東軍を制する勢力の権威を一気に失墜させたこと、宥和政策をもってダラディエやチェンバレンを非難するのは後知恵(英仏の政治家は世論の後押しを受けて避戦をすすめ、当時は熱狂的な世論の歓迎を受けた)、日独伊ソの四国ブロックが成立したかに見えた松岡を待っていた「日米諒解案」という希望的観測、後世からは自明に見える蘭印進駐に対するアメリカの強硬な反応も当時としては予想外だったこと、永野軍令部長が太平洋戦争の戦局を物量でアメリカを上回れないのは明白なので精神力と神頼みしかないと言明していたこと、占領改革の成果が「体制」になったのは改革の受益者が多かったことを示すこと、といったあたりが興味深かった。/おわりに、で”世界史を変えた歴史書”としてあげられたタックマン「八月の砲声」にも興味を惹かれる。誰もが望まなかったのに、誤解や誤算が連続して、ヨーロッパ諸国の指導者たちが第一次世界大戦へ突き進んでいく過程を克明に描いたこの本を読んで、ケネディ大統領がソ連との核戦争を回避する決断を導いた、と。

  • 左右どちらかに偏ることなく、丁寧に日本の近現代史を俯瞰することができました。
    それにしても朝鮮という国が、遥か昔より様々な国々から翻弄されてきたこと…。その悲しさを改めて知ったように思います。その理由が単なる地勢的なものなのか、民族としての弱さなのか…。

  • 特に植民地経営の項が、目からウロコガ落ちたようにわかりやすく有益だった。

  • 明治維新から戦後日中関係までを概観。単に史実をなぞるだけでなく、各章の筆者がそれらの意義について総括を試みている点が特徴。各章の参考文献も挙げられており、より知見を深めたい初学者にもやさしい。序章と最終章ではマクロ的視点から近現代史を俯瞰し、歴史学の意義や歴史認識の在り方について一石を投じている。これらの論考も大変興味深い。

  • 学生時代の歴史の授業では,どうしても手薄になってしまいがちですが,今の日本にとっても重要な現代史を,一通り学ぶことができます。

    一流の学者の方が執筆しておられることもあり,なかなかすらすらとは読み進められないところもありましたが,ニュートラルな記述でありつつ,こういう見方もあるのかと非常に興味深かったです。

    特に対外関係に関する歴史について,諸外国それそれの事情があり,一筋縄でいかないのも当然だと妙に納得しました。
    今後の日本のありようを考える上でも,歴史を知ることは必須だと感じました。

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著者プロフィール

1947年、札幌市に生まれる。北海道大学文学部卒業。東京大学学術博士。カイロ大学客員助教授、東京大学助教授、ハーバード大学研究員、東京大学教授・同中東地域研究センター長などを経て、現在、武蔵野大学国際総合研究所特任教授。東京大学名誉教授。フジテレビジョン特任顧問と三菱商事顧問を兼ねる。国際関係史、中東イスラーム地域研究を専攻。司馬遼太郎賞受賞、紫綬褒章受章。著書に『スルタンガリエフの夢』(サントリー学芸賞)、『瀕死のリヴァイアサン』(毎日出版文化賞)、『ラディカル・ヒストリー』(吉野作造賞)、『岩波イスラーム辞典』(共編、毎日出版文化賞)などがある。

「2019年 『日本近現代史講義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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