韓国社会の現在-超少子化、貧困・孤立化、デジタル化 (中公新書 (2602))

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121026026

作品紹介・あらすじ

者の就業率、私教育費、男女の賃金格差など先進国の中で、”最悪”の数値を示す韓国。「圧縮した近代」の結果、特に1を切った出生率、60%が無年金者という高齢者の貧困率・自殺率は世界で最も深刻である。他方で問題解決のため大胆な政策が即座に行われ、デジタル化などは最先端を行く。本書は、少子高齢化、貧困・孤立化、デジタル化、教育、ジェンダーをテーマに、深刻化した現状と打開への試行錯誤を描く。韓国の苦悩は日本の近未来でもある。

感想・レビュー・書評

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  • 韓国の少子高齢化も、日本と同様、注目される。

    この本には、次のようなことが書かれているようだ。

    韓国の2018年の合計特殊出生率は0.98、2019年のそれは0.92。
    0台というのは、2018年時点では、世界初。

    2019年度の人口保健福祉協議会調査によると、韓国の20代女性の57%が結婚の意思がなく、71%が「子どもを産むつもりがない」とか。
    日本と同様で、韓国も、仕事、家事、育児の負担が女性に偏っていると。

  • 少子高齢化、学歴社会、デジタル化、ジェンダーの各領域について韓国の現状と対策を分かりやすく描いている。帯のセンセーショナルな惹句とは異なり、地に足の着いた議論がなされている。たとえば、『82年生まれ、キム・ジヨン』に関連しても、その後の政治的対応、バック・ラッシュ、進歩派にも根強い家父長規範など目配りが広い。キッザニアで体験できる職業が日韓で大きく違うなど、興味深い指摘も多い。

    日本よりもはるかにスピーディな韓国の動きがどのようなプラス・マイナスを生み出しているのかを知ることは、とても有意義だと思った。

  • 今まで調べてこなかった知識を得ました。
    SNSでこの本がわかりやすく、面白い。

    かなり数字も具体的に入っているので、
    著者が表現している、「日本の近い未来に韓国のケースと同様になる要素がある。」
    というのも頷けると思った。

    コンテンツセールの上手な韓国において、
    韓国のエンターティナーが高学歴なのも
    見逃せない要素と感じた。

  • ●ヘル朝鮮とは上手く言ったもので、状況を知れば知るほど絶望感に襲われる…これが将来の日本の姿か…
    ●どうかんがえても韓国も日本も出生率は回復しないし、当面は減少していくしかない国家なんだろうな…
    ●その中でいかに自分が満足できる人生を歩むのか、真剣に考えないといけないと痛感させられた
    ●イソップ童話ではないが、より酷い状況を見せつけられて、まあまだうちはましかと思わされてるのがまたマズイ…

  • p.107- 113 英国の比較サイト comparitech 世界120都市の監視カメラの台数ランキング

  • 韓国のデジタル化の真の姿を知りたいと読みました。第三章を目当てに。
    この章を一冊の本にしてより詳細に解説した本を望みたい。
    全般に韓国を否定する立場で書かれているのが強く気になりました。日本との比較もそのようなバイアスの上で書いているので「これは当たらないな」と感じるところ多い。

  • エンタメやデジタル化で先んでた韓国の、負の部分も含めた今を知ることができる良書。映画・ドラマで何となく気付いていた格差や少子高齢化は、想像以上に深刻だ。良くも悪くも政策のダイナミックかつスピーディーな実現と、短いスパンの政権交代で日本が追随すべき点と、明日は我が身と恐怖の部分が見えてくる。これを読んで政治家もすぐに着手すべき事を考えて欲しい。もちろん我々も。

  • すごく丁寧に韓国社会の今の姿として、世代間、男女間、社会保障や教育まで、幅広い分野における格差の現状をまとめた一冊。
    一見淡々と書かれているように見えますが、なんと言うのか、ステレオタイプな見方にならないよう、様々な切り口からまとめているのが、好感が持てました。

  • 日本と同じく、いやそれ以上のスピード感で少子高齢化が進んでいる韓国。若者の失業率も高く、年金制度の開始が1988年とわりと最近であることもあって中高年の貧困も深刻という嫌韓派がそれみたことかと快哉を上げそうな状況の韓国。そんな韓国のこうした問題に関する政策や社会の動きについて、長らく韓国を研究してきた著者が解説してくれる。出たのが至近なこともあって情報としての新しさという点も価値あり。
    著者は共通の問題を抱えている日韓がお互いの経験や試みを知ることで、有益な政策や取り組みがなされるのではないかと述べる。そう、確かに日本で評判の悪い政策がすでに韓国で行われていたような例があるんだね。例えば、少子化対策といいながら女性の働き手を増やす動きと連動させたばかりにどっちつかずになったり、新しい英語の試験制度を大学入試と組み合わせようとしたばかりに頓挫したとか。日本でこういう取り組みをした人たちは、韓国の前例を知らなかったのだろうか。あるいは、知ってて改良したけどそれでもうまくいかなかったのか。あるいは、日本ならうまくいくと驕っていたのかな。
    国の規模や地勢的にも厳しく、また時代背景とかいろんな要素が絡まって大変な韓国だけど、一方で政策は面白いもの、進歩的なものも多い。女性省を設けてそこが主導しての女性向けの政策だったり、住民番号制度の活用なんかは、個人情報を国に握られる懸念をおして余りある利便性を日本のマイナンバーと比較すると面白い。女性議員輩出のためのクオーター制や女性企業者や女性研究者への支援なんかも、遅々として進まない日本に比べ韓国は2000年代前半には実施されている。まず動きだし動きながら考えたり問題に合わせた修正がなされていくという、いろんな面で思わされるダイナミック・コリアな感じがこうした動きにも表れていることを実感。
    成果が出ないものもあるし、一期制の大統領が変わるたびに方向性が変わるといった一定の弊害はあるものの、それでも韓国の政治・政策は前を目指して歩みを進めている。人々が政治への関心高く声を挙げていくお国柄が政治を進歩させるってことか。

  •  韓国については漠然と外需の国である、少子化が猛烈に進んでいるなどのイメージがあったが、具体的に今の韓国がどのような状況にあるのかを端的に教えてくれる一冊だった。

     本書に書かれている韓国の現状はあくまで韓国の話であるはずなのに、そのまま主語が日本に置き換えられていても気が付かないのではないか、と思うほどに共通点がある。少子化や高齢者の貧困等は日本の先を進んでいるため、日本が将来的に辿るかもしれない未来と言ってもよい。
     日本との違いというか、韓国の特徴というか、あらゆる社会問題に対してかなり大胆な政策がスピーディに実行されていることに驚く。それは大統領に再任制度がないため任期中に結果を出さなければならないという物理的な焦りもあって、十分に検証されないままに実行されてしまった政策もあることは否めないが、何事もスピード感に欠ける日本に生きる身としては少し良いなと思う面もあった。

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著者プロフィール

東京生まれ。同志社大学大学院博士後期課程修了(博士・社会学)。聖学院大学政治経済学部教授、早稲田大学韓国学研究所招聘研究員、東京大学大学院非常勤講師。
単著に『韓国社会の現在――超少子化、貧困・孤立化、デジタル化』(中央公論新社)、『現代韓国と女性』(新幹社)、編著に『韓国の少子高齢化と格差社会』(慶應義塾大学出版会)、『現代韓国の家族政策』(行路社)、共著に『知りたくなる韓国』(有斐閣)、『日韓における外国人労働者の受入れ』(九州大学出版会)、『韓国における市民意識の動態Ⅱ』(慶應義塾大学出版会)など多数。

「2022年 『移民大国化する韓国』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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