SDGs(持続可能な開発目標) (中公新書 2604)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 71
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  • Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121026040

作品紹介・あらすじ

SDGs(持続可能な開発目標)は国連で採択された「未来のかたち」だ。健康と福祉、産業と技術革新、海の豊かさを守る等、経済・社会・環境にまたがる17の目標を2030年までに達成することを求めている。「だれ一人取り残されない」ために目標を設定し、取組方法は裁量に任されているのが特徴だ。ポスト・コロナ時代に、企業・自治体、そして我々個人はどう行動すべきか、第一人者がSDGsの本質を解き明かす。

感想・レビュー・書評

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  • SDGsの第一人者、平たく言えばSDGsの“中の人”が書いた入門書。
    国連での採択までの経緯を細かく綴るあたりはさすが。これだけで読む価値がある。他にも、分かりやすく説明するにあたって、近江商人の経済哲学「三方よし」をもじって「四方よし」とするあたりは、思わず膝を打った。(「売り手よし、買い手よし、世間よし」の三方に、「未来よし」を加えた四方)
    それでも、やはり”中の人”が書いた本なので、環境保護というブレーキと経済成長というアクセルを同時に踏むというSDGsが抱える矛盾には答えていない。斎藤幸平が指摘する通り、やはり資本主義を脱しない限り、SDGsは地球規模の空論?…などと考え出して、もっといろいろな考え方に触れないと…と思い始めて、自分への課題図書を増やすという結果に行きついた。

  • SDGsのことを勉強してみたい方には非常に有益な本だと思う。

    本の構成は以下の通り。
    はじめに  世界の課題と日本の課題
    第1章   SDGsとは何か
    第2章   SDGsが実現する経済、社会、環境の統合
    第3章   SDGsの全貌
    第4章   企業はSDGsにどう取り組むべきか
    第5章   自治体におけるSDGsの取り組みと課題
    第6章   皆の目標としてのSDGsへ
    第7章   SDGsのこれから-ポスト・コロナの世界の道しるべ

    SDGsのアウトラインから、制定の経緯。また、17の目標についての解説。そして各セクター、企業、自治体、政府、研究界、教育界、若者の取り組み。そして将来展望、と網羅的にSGDsを解説している。新書で280ページ程度の本なので、読むのにそんなに重たいということもなく、文章も平易で読みやすい。
    入門書として非常に良い本だと思う。

  • 持続可能な開発目標って、経済のそれなので、経済面への訴求がもっとあってもよかったのではと思いました。
    17の目標をまとめたものが一体何を意味するのか、SDGsはわかりずらいので、本書にその核心をもとめたのですが明解な解は得られなかった。
    たとえば、「SDGs誕生の背景と目的」という章をいれて、具体的になぜグローバルレベルでこうも、SDGsが重要視されているのかの説明を聞きたかった。
    1990年代から、南北を含めていろいろな資源の取り合いになっているので、「持続可能な開発目標」≒ 継続的に経済が、どの国でも発展ができるように、国連で話し合いと、目標をさだめたものが、SDGsだと個人的におもっています。

    それを表すのが、SDGsでの木で
    8:働きがいのある経済成長 9:産業と技術革新の基礎 が一番上にあって
    10:不平等をなくそう、17:パートナーシップ 16:平和と公正を全ての人へ  が根底にあるのでは

    この目標を達成すれば、3億人の雇用が創出されると別の記事でもよみました。
    それを、本書では、経済、社会、環境の統合といっているのではないでしょうか。

  • 最近流行りのSDGsですが、それが具体的にどういうことで、それをすることでどのような良いことがあるのか、過去に言われていた持続可能な開発やSCR、ESGなどと何が違うのか知りたくて、本書を読みました。
    本書ではSDGsの成り立ちや、そもそもどういったことを目標としている考え方なのかなどが書かれており、SDGsを取り巻く社会の動きなどが網羅的に分かりました。
    「SDGsウォッシュ」という、実態を伴わずにSDGsの取り組みをやったふりだけをすることを防止するための考え方や、「ムーンショット」や「バックキャスティング」といった目標設定の考え方、「CSV」という価値創造の考え方などが分かり勉強になりました。
    ちょうどコロナ禍の中で書かれたということで、ポスト・コロナの道しるべとしてのSDGsの役割についても少しですが言及されています。
    ただ、本書はSDGsを推進する立場の人が書いているので、良い面ばかりに偏っている面は否めないです。
    実際に企業や自治体でSDGsの取り組みを行っていく際には、教科書通りには行かないことが多いと思います。そのような現場の動きが分かるともう少し良かったです。
    SDGsの入門書的には良いと思います。

  • 業務上の必要性から読んだのだが、『サピエンス全史』の読後だけに、ホモ・サピエンスとして自分ごととしてSDGsに取り組まなきゃという想いを強くした。次の2か所は是非共有したい。
    「未来に実現することをSDGsから抽出し、足元に何があるかを見ながら進んでいく。こうしたアイディアを生かしていくことが、地域に活力を与えていく。そのスケールを上げるために、SDGsの活用が役に立つ(p202)」
    「カネ、ヒト、地球のいずれにおいても、コロナ後の世界こそ、SDGsを道しるべとした、再生戦略を立てるべきであろう。再生戦略は、政府や行政だけの仕事ではない。個々人の再生戦略でもある。その先の未来に進むために、SDGsは重要な役割を担う(p254)」

  • SDGs検定を受けるために購入し、通読しました。
    面白いと思えるものではありませんでしたが、勉強になりました。
    SDGsってこうやってできたのか、というのがよく分かりました。

  • 気になっていたSDGsについての本。
    2009年にはSDGs自体はあったらしいけど、私が意識したのは今年に入ってから。少しは浸透してきたということか。
    17の目標があることはわかった。消費者として実生活の中で意識していきたいこともいろいろ。
    私自身には子供もいないけれど、未来に禍根を残さない為に。

  • SDGsについて、第一人者である著者による解説書、入門書です。SDGsの概観から始まり、その成立の歴史、そして個々の目標の詳しい解説。日本を中心とした取り組みの現在。非常に丁寧に分かりやすく解説されていて、本書を読めばおおよその現在の状況について知ることができると思いました。SDGsといって、大きく風呂敷を広げられても、その対象となるテリトリーの大きさから目がくらむばかりだった状態でした。しかしSDGsの何に注目するのかという視点の位置をしっかりとすることで(目標ベースの指標であること)、かなりすっきりと見渡せるようになったと思います。そのことで、個々人としても、社会人としても、何をしていかなければならないかということについて考えるきっかけにできる、入門書として最適な一冊かと思います。

  • SDGsは2015年に国連総会で、全加盟国が合意した経済・社会・環境にまたがる17項目からなる持続可能な開発目標。
    2000年にはミレニアム宣言が出され、そのエッセンスはMDGsとしてまとめあげられたが、それは主として経済面における開発問題を扱うものだった。
    2002年のヨハネスブルグサミットから経済、社会、環境の3側面からの持続可能性が注目され始め、2013年からポストMDgsとなる「経済」、「社会」、「環境」の統合に向けての目標策定プロセスが始まった。
    本書では、SDGsについて、その17の目標と169のターゲットを解説し、企業が経営理念との親和性を生かし、ビジネスにどう結びつけるか、また、自治体の役割や取組、そして課題などにも触れ、最後にポストコロナの道しるべとして重要な役割を担うと締めくくっている。興味深かった事項をピックアップしておく。
    ・SDGsは売り手、買い手、世間に未来を加えた「四方よし」の精神
    ・社会的課題を解決すること、すなわちSDGsへの対応が、企業の価値を高める
    ・SDGs金融、ESG投資も2014年の1兆円弱から2019年には336兆円まで激増
    ・SDGsへの取り組みとして、取り残されがちな人々に目を振り向けることは、自治体の使命
    ・SDGsに貢献する企業の支援や認知度向上のためのモデル事業の提示、取り組みの「見える化」が自治体の役割





  • 【本学OPACへのリンク☟】
    https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/657346

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著者プロフィール

蟹江 憲史(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授、SFC研究所xSDG・ラボ代表、Global Sustainable Development Report2023執筆者)

「2023年 『SDGsを問い直す』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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