北条義時-鎌倉殿を補佐した二代目執権 (中公新書 2678)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121026781

作品紹介・あらすじ

鎌倉殿の補佐役から幕政の最高実力者へ。後鳥羽上皇と対決した承久の乱では勝利を引き寄せ、鎌倉幕府の基礎を固めた武士の生涯。

感想・レビュー・書評

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  • 大河と並行して読んでいくと面白い。
    ざっと義時の生涯と、関わった出来事の流れが、分かりやすく書かれていて(分かりやすすぎて)新書だけど、この本自体がドラマみたいだった。

    要所要所に入る決めゼリフ(笑)みたいなのが、そんな印象をもたらすのかもしれない。

    自分の中では、平家を中心とする壇ノ浦までが一つの物語の波だったのだけど。
    義時の目で見れば、ここから始まる征夷大将軍三代、そして承久の乱という波が来るわけか。

    初期の義時は、それこそ記載されていることも少なく、この間何をしていたか?みたいな所が出てくるのだけど。
    ビッグネームが連なり、その陰謀やら策略やらでパワーバランスも刻一刻と変化する中で、よく生ききったよな(政子さんも)と、しみじみ。

  • ゆるやかな同盟やチームは、組織が大きくなって、外の敵対勢力と必死になって戦わなければならなくなると、もっとも堅牢な芯を求めて切磋と削ぎ落しが始まる。それは組織が成長と継続を求める上での必然としての構造の純化なのかもしれない。時代の変換点にあたって、当初、頼朝の旗に集まった頭目たちは、権力構造の明確化に向かって一人また一人と消えていく。

  • 詳しく書かれて、人生の前後がわかります。頼朝も義時も嫡男でなくいつの間にか源氏棟梁と北条家執権になっている。

  • 私は大学で日本近世史を専攻している。しかし、大河ドラマを見るにあたって、北条義時に関する文献を探した。この本に出会い、もう一冊と悩んだものの、この本の筆者が専門になさっていて、さらに最新の研究が反映されていると感じた。中世の公武関係が関わる本に関しては2冊目だが、筆者は深くさまざまな関連文献を読み込んでいるように感じた。我々は北条氏と聞くと、なんとなく良いイメージを持たないがそう言った内容を払拭するようなものであった。一部の史料に基づいたものではなく、さまざまな史料を結びつけ、論を展開している。また、鎌倉幕府将軍でなく、あえて鎌倉殿としている副題も読むことでわかる。本著の内容を読み込めば1192論は不適切であると感じる。公武関係に関しては河内祥輔、新田一郎『天皇と中世の武家』講談社学術文庫もおすすめであり、双方を読むと深まる。

  • 義時を中心として語ろうにもなかなか史料的な裏付けが得にくい人物であることがよくわかる。いきおいその前提となる歴史的な背景に多目にページが割かれる。本書も第3章(頼朝没、ページで言えば86ページ)まではほとんど義時は登場してこない。本文は197ページまでなので、義時が鎌倉幕府政権の中心として出てくるまでに全体の半分ほどの紙幅を費やしていることになる。しかし、逆にそれゆえに前提となる話がしっかりと頭に入ってきて、それ以後の話も辿りやすくなっているかと思う。

    「鎌倉殿の13人」と呼ばれる合議制から次第に有力御家人が排除され、政子と義時に権力が集中していく中で重要な役割を握る続けるのが朝廷であるが、その朝廷が最後に下手を打って幕府が本当の意味での統治権力となっていく。武家の時代の始まりであり、その優位の確立である。本書は京の動向に終始目を配りながら、そのダイナミクスをわかりやすく解説した良書と言えよう。

  • 歴史書や学者の研究を紐解きながら鎌倉幕府の仕組み作りに重要な役割を果たした北条泰時を描いた本書は、人気脚本家によるキャラクターを鮮やかにしたドラマに比べれば全く面白くはない。それでも大河ドラマを見終わった後で、歴史の解釈を知ることも悪くはないと思って読んだ。ドラマでの名場面となった和田義盛の戦いや平賀朝雅の立ち位置など新たに知ることができる。

  • 鎌倉殿を見るまでは北条義時の人となりまではしらなかったです

  • 大河ドラマの主人公北条義時を中心に鎌倉幕府成立前後が描かれる。頼朝の死ぐらいで源平の知識って深ぼられないのだけれど、大河の影響もあって執権政治の成立までを理解できるのはすごくいい機会だと思う。本書でも描かれているように、頼朝の死後の幕府内外の内紛が夥しく、極めて北条得宗家での支配確立までが危うい道を辿ったものだったのかが窺える。義時と政子の兄弟のタッグ、そして三浦義村の助け、大江広元との連携がキーだったんだろう。また、京都でも院政は引き続き続いていたという点は確かにその通りで後白河院が力を持っていた時代から遠く離れたわけでもないので、幕府の力というのはその点でもかなり危ういし、実朝死後の源氏嫡流が不在の時の承久の乱はヒヤヒヤもんだったのではないか。
    現在大河で仲良く?やっている彼らが仲違いをしていくと思うと複雑な気持ちにもなるが、先を見るのが楽しみでもある。

  • ちょうど大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を見ているので、歴史が気になり本書を手に取った。
    本書を読んではじめて、「鎌倉殿の13人」の意味がわかった。
    はじめ、鎌倉幕府を創建するのに貢献した13人のことかと思っていたらそうではなく、幕府ができたあとに幕府中枢で運営していく13人のことだと知った。
    と、すると、今回の大河ドラマは、いったいどこまでが描かれるのだろうかと思った。
    主人公の北条義時が死ぬまでだとしたら、そのストーリー(人生)は悲しすぎると思った。
    政略のために、たくさんの人が死んでいくからだ。
    歴史を知らない僕はこの本で、義時にどういう人生が待ち受けているかを知った。
    仲間として戦ってきた戦友と次の戦いでは敵になるかもしれない。
    そんな時代を生きた人々がとてもかわいそうだと思った。
    本書では、ひとつひとつの出来事はざっくりとしか紹介していない。小説仕立てではなく、吾妻鏡を中心とした史料をもとに事実がたんたんと述べられている。
    少し物足りないと感じはしたが、何が起きたかを簡潔に知るには良書だと思う。
    ただ、事実だから仕方ないが、登場人物が多すぎて理解するのが大変だった。

    どちらにしても、この先、大河ドラマを見るにあたって、基礎知識ができて見方が少し変わるので、本書を読んで良かったと思う。

  • テレビドラマに合わせて~~面白く読みました。前半の貴族社会や天皇家の抗争はよく理解できなかったけどネ。ドラマの行く末を見ちゃった

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著者プロフィール

岩田慎平

1978年生まれ。関西学院大学大学院で博士(歴史学)を取得。専門分野は日本中世史(中世武士論、鎌倉幕府論)。現在、神奈川県愛川町郷土資料館主任学芸員。著書に『平清盛』、『承久の乱の構造と展開』(分担執筆)、『日本中世の政治と制度』(分担執筆)など。

「2021年 『北条義時 鎌倉殿を補佐した二代目執権』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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