アメリカ革命 独立戦争から憲法制定、民主主義の拡大まで (中公新書 2817)
- 中央公論新社 (2024年8月20日発売)


- 本 ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121028174
作品紹介・あらすじ
1776年に独立を宣言した13植民地が、イギリス本国との戦争に勝利し、合衆国に生まれ変わったアメリカ革命。人民主権、三権分立、二大政党のモデルは、民主政治の基礎となる。なぜ革命を遂げた弱小国は、覇権国家になりえたか。植民地時代から独立戦争、建国者たちが死闘を演じた憲法制定、党派の始まり、南北戦争へ。大西洋を越えたスケールで、先住民・黒人奴隷の視点もふまえ、70年の歴史を清新に描きだす。
感想・レビュー・書評
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植民地時代から南北戦争前までの通史。書名はこうだが、英雄的な「革命」イメージとは異なる内容。著者は国家の始まりとして「革命」の語を使いつつも、絶対視もしていないようだ。
本書で丁寧に記述するのは、憲法の制定会議と批准、議会と大統領の権限といった国作りの過程。明治新政府も、あらゆる新国家作りもこんな感じだったのかと想像する。ただ著者は、植民地時代との一定の連続性も指摘。また、憲法に基づく課税を嫌って西部に入植し新国家(州)を作った人々の存在からは、国作りとは、独立とは何かと考える。
また著者は女性、先住民、奴隷を含む黒人の状況に繰り返し言及し、白人エリート男性中心の視点を相対化する。先住民を隷属させた初期米国は「帝国」だったとの解釈も紹介。かかる視点は近年の米建国史研究では有力になりつつあるという。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
アメリカの独立から南北戦争にかけての、アメリカ合衆国たる所以の混沌とした時代を、ヨーロッパ諸国、原住民との関係を深掘りしながら解説した良書。
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白人男性のアメリカ物語を相対化し、多くの登場人物たちが利害や信念、思い込みで蠢く姿がとても興味深い。歴史の面白さ、語ることの複雑さを感じさせてくれる。
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アメリカの建国の過程を成文憲法の制定とその運用を中心として記載されている。昨今の研究の成果も反映して客観的かつ多様な関係者の視点から俯瞰的にまとめられている。
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20250103-0115 アメリカ独立戦争前後から南北戦争前夜のフロンティア消失までを取り上げている。著者の文章が大変読みやすく、ヨーロッパ諸国とのややこしいやり取りもかなりすっきり書かれているので理解しやすかった。
私が学生時代に習った米国史は、英国(他に仏国・スペインなど)からの清教徒?を中心とした入植→独立戦争からのアメリカ建国→憲法制定、ワシントン大統領→どんどん西部の開拓が進む(黒人奴隷も増える、先住民族から土地を奪う)→西部開拓の末に西海岸まで到達→奴隷解放をめぐり南部と北部が対立→南北戦争===って感じで、それこそインディアンと西部のガンマンの映画と教科書的な理解にとどまっていたので、本書を読んで、米国史の見方が広がったと思う。 -
最近のアメリカ歴史研究を取り入れた同国革命史.
最近というのは,アメリカの栄光の光と影の「影」の部分,あるいはそれまで重視されなかった領域からアメリカの歴史を見直すといった作業が目覚ましい成果を上げており,それを摂取しているということ.例えばアメリカが徐々にヨーロッパ列強の影響を排斥していった代わりに,列強が退いたことで権力の空白ができた地域に生じた先住民迫害激化や西漸運動を,当のアメリカ連邦が支えており,それをアメリカ「帝国」として位置付ける視点を本書は取り入れている.
また,コンパクトながら小話も差し込まれる.フランス革命に賛意を示したジェファソンが,アダムズを身分制擁護者とみなし,対抗するためにフランス革命批判のバークへの反論として書かれたトマス・ペイン『人間の権利』の出版を計画し,出版社にそれを勧めるにあたってアダムスの悪口を添えたが,その文章がまさか同書のまえがきにされてしまったエピソードは印象的だった.
研究進展が著しく,一般向けにも知識のアップデートが必要な中で,本書はそれを担う一冊だ.著者も読者がこれまで習っていた内容を意識しており,そのことで読みやすくなっている.もっとも,最近のアメリカ歴史研究を手軽に摂取するならミネルヴァ書房の『よくわかるアメリカの歴史』が扱うトピックの多さからもおすすめ. -
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女子栄養大学図書館OPAC▼https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000071876
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著者プロフィール
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