ユダヤ人の歴史 古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで (中公新書 2839)
- 中央公論新社 (2025年1月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784121028396
作品紹介・あらすじ
ユダヤ教を信仰する民族・ユダヤ人。学問・芸術に長けた知力、富のネットワーク、ホロコーストに至る迫害、アラブ人への弾圧――。五大陸を流浪した集団は、なぜ世界に影響を与え続けているのか。古代王国建設から民族離散、ペルシア・ローマ・スペイン・オスマン帝国下の繁栄、東欧での迫害、ナチによる絶滅計画、ソ連・アメリカへの適応、イスラエル建国、中東戦争まで。三〇〇〇年のユダヤ史を雄大なスケールで描く。
感想・レビュー・書評
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ユダヤ人3000年の歴史を一冊にした本でわずか半年程度で重版を重ねているので読んでみました。確かに3000年もの歴史を一人で記述するというのは困難なことであるため、卒業論文のような未消化でざらついた部分があったが、なんとか読み下すことができました。ユダヤ人にもスペインのユダヤ人を起源とするスファラディームとポルトガル貿易に関わってオランダやドイツに流れたユダヤ人であるアシュケナジーム、そして東方系ミズラヒームなどの区分がある。そしてユダヤ人は世界史の多くの場面で大きな役割を果たしてきたこと。ホロコーストの犠牲者がドイツでは16万人であったのに対して、ポーランド300万人、ソ連100万人もの犠牲者があったこと。そしてホロコーストは広くヨーロッパ中の国々で行われていたこと。その合計が600万人ものユダヤ人を殺害したのがホロコーストなのだ。その責任が全て西ドイツの一国に押しつけられているが、ユダヤ人のホロコーストにはヨーロッパ中の国々が加担していたのだ。ディアスポラによって離散したユダヤ人はいつの時代も迫害され、移民を繰り返していたのだ。1900年の段階でユダヤ人が一番多く住んでいたのはロシア帝国で世界の約半分の520万人、次がオーストリアハンガリー帝国の207万人、アメリカの100万人、ドイツの52万人と続き、ポーランドはその当時はロシアとドイツとオーストリアに分割されて消滅していたのだ。それがロシア革命時にポーランドの独立が実現し、そのポーランドで300万人ものユダヤ人がホロコーストの犠牲になったというのだから、歴史の激動の中で犠牲になったのだ。ホロコースト以前にも、多くの地域でポグロムという虐殺行為があったのだ。イスラエルのネタニヤフ首相はもちろん、ウクライナのゼレンスキー大統領もユダヤ人であり、現代でもユダヤ人は世界の政治を大きく動かしているのだ。
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ユダヤ人の起こりから現代までが通してわかる本。
ユダヤ人の歴史からくる特徴も相まって、語られる場所と時間がぐるぐる変わるので、ぼっーと読んでいると自分のいる場所がわからなくなります。
ただ、この特徴から紐解く、ユダヤ人の分析が、個人的にはかなり納得感がありました。
その特徴とは、全世界に散らばっていること。
だからどこにいって少数派だし、敵国にユダヤ人がいて厄介なことになったりします。
改めて、人間のカテゴライズしたがる強さを感じました。
これをどこかで止められたのかと考えると、あまりにも無理な気がしてきます。 -
ユダヤ人の歴史、なかなか読みやすく理解が深まりました。
ホロコーストばかりが浮かぶけど、ユダヤというのが何か、シオニズムとは何か考える良い機会だった。
仲間意識の強いユダヤの人。幸せな国家を持たせてやれないものだろうか…。-
ユダヤ人の問題、以前から興味があります。
ユダヤ人とアラブ人、中東で仲良く共生できるようになることを願っています。私も考え続けて参ります。ユダヤ人の問題、以前から興味があります。
ユダヤ人とアラブ人、中東で仲良く共生できるようになることを願っています。私も考え続けて参ります。2025/09/15
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ユダヤ人の歴史
古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで
中公新書 2839
著:鶴見太郎
出版社:中央公論新社
地続きである大陸にすんでいる民族の歴史はすさまじいものです。
まさに避けようものない悪夢が、歴史の中心をなしています。
ユダヤ人、旧約聖書ではみずからを、イスラエルという、ユダヤ、ユダとは、イスラエル12部族の内の1つの部族である
イスラエルと神ヤハウェとの間には、いくつか契約を結んだ
アブラハムが結んだ契約、割礼を要求する民族としての契約
つぎに、モーセが結んだ契約、シナイ契約と呼ばれる、民族ではなく戒律による契約、モーセの十戒である
そして、申命記での契約、ユダヤ教の宗教改革であり、トーラ五書による、ユダヤ教のはじまりである
申命記=バビロン捕囚、その以前を古代イスラエル宗教といい、その後をユダヤ教という
ユダヤの経典
トーラ:モーセ5書といわれる旧約聖書の冒頭5書
タルムート:学びという、エルサレム・タルムート、バビロニア・タルムート等
旧約聖書
モーセ以後
モーセより、エジプトを脱したイスラエル部族は、カナンの攻略を始める
士師時代 モーセの後継者ヨシュアが、カナンの地を制圧しているペリシテなどの先住民族との闘い
王国時代 サウル、ダビデ、ソロモンの時代、イスラエルの黄金時代
ソロモンの時代に、エルサレムに神殿が建設される、これを第一神殿という
王国の南北分断と、バビロン捕囚まで BC538年、第一神殿は破壊されてしまう イスラエルの1つの時代が終わる
ペルシア帝国がカナンを制圧して、バビロンからユダヤ人の一部が帰還する カナンに第二神殿が建造される
ペルシャは、BC330に、アレクサンドロス大王によって滅亡し、ヘレニズムの時代がやってくる
ローマ帝国統治下
BC37、カナンのローマ帝国の版図にはいる
イエス・キリスト教の出現 救世主メシアとは、油を注がれたもの、つまり、王であり、王は、ダビデの子孫であって
エルサレムで生まれたものでなければならなかった
メシアのギリシャ語訳は、クリストス つまり、イエス・キリストとは、イエス王ということなのだ
しかして、イエスは、王ではなく、社会の改革者としての位置づけであったが、ローマと、ユダヤ当局は反逆者として
イエスを処刑してしまう。ユダヤ改革をすすめていたファリサイ派であったパウロが、イエスをメシアとして、作り上げたのが、キリスト教である
AD66,ユダヤはローマに対して反乱をおこして、AD70年、第二神殿も破壊されしまう
AD73、マサダで集団自決に追い込まれ、ユダヤの集団的反乱は終わる
ディアスポラの始まりである。ギリシア語でまき散らされた者という意味で、放浪する人を意味する
イスラム以後
イスラム教とユダヤ教の関係は、おだやかで、ジスヤという税を納めれば、永続的にその土地で生活ができた
キリスト教とユダヤ教とのような血ぬられた関係ではない
アッラーとは、アラビア語のThe God である
イスラム下でのユダヤは、交易の一部を担い、イスラムの広がりとともに、イベリア半島などに広がっていく
反ユダヤ、十字軍について、キリスト教徒は、ユダヤを弾圧して迫害を加える
スペイン・ポルトガルにのびた、南の十字軍では、イスラムに改宗していたユダヤ教徒コンベルソに危機が迫る
隠れユダヤを、マラーノという
スペインを追われたユダヤ教徒は、ポルトガル、オランダ、オスマントルコへ3方向にわたって離散した
これをスペインにいたユダヤ人ということで、スファラーディームという
もう一方は、ドイツに向かった一団もあった、これをドイツのユダヤ人、アシュケナージムという
結果、スアラーディームの大半は、トルコに終結することになる、これは当時オスマントルコが版図を拡大していた時期に相当する
17世紀に入ると、ウィーン包囲戦の敗北したオスマントルコは衰退期にははいる。
ユダヤは、このとき、経済が好調であったオランダに向かい、トルコの移民は激減した
一方、最終的にドイツに落ち着いたアシュケナージムは、15世紀になると、ドイツから追われて、ポーランドに定住する
ここでも、ユダヤは、人頭税さえ納めれば生活を確保できた
後日、ポーランドは分割され、ロシアに編入することなったときに、ユダヤは、ロシアに取り込まれた
フランス革命と産業革命
フランス革命をきっかけに、ユダヤも個人的に認められるようになり、ゲットからでるとともに、ヨーロッパに再び
拡散していく
1900年時点では、ロシアに520万人、オーストリア・ハンガリーに207万人、アメリカ100万人であり、ドイツは52万人であった
ポグロムとホロコースト
第1次大戦後、ユダヤやあちこちの国々で迫害を受けることとなる。これをポグロムという
数万人単位のユダヤ人が迫害され、殺害された
ドイツでは、人種主義の影響で、ユダヤ人の国外追放と、ポグロムによる財産の没収迫害などが始まる
当初は移民先をロシアとしてユダヤ人を追放しようとしたが、対ソ戦でそれもままならなくなった
そのために、ゲットーにあつめて、餓死させたり、銃殺をしたりした
アウシュビッツについては、ソ連軍捕虜を虐殺するためにつくられたが、やがて、ユダヤに向けられていく
これをホロコーストという
結果、ポーランドに住んでいたユダヤ人の9割である300万が殺害され、ソ連領内でも100万が死亡した
ソ連領内でおきた虐殺で有名なのは、バビ・ヤールの虐殺で、ドイツ軍とウクライナ民兵によりユダヤ人の3万人以上が
虐殺された
第2次世界大戦後
ユダヤ人の戦後の大きな動きは3つ
ソ連・ロシア領内にとどまるユダヤ人
アメリカへの移民
イスラエル建国後に移民
もともとパレスチナはオスマントルコの領土であったから、そこにいたユダヤ人も多かった
植民という形でイスラエルものも多かった
アメリカでは、ユダヤ人は迫害を受けることもな最大の団体で、ながらく、イスラエルを支えるロビー活動を展開している
しかし、右傾化するイスラエルについて、距離をとる、アメリカのユダヤ人も現れ始めた
数度にわたる離散によって世界中に散ったユダヤ人であるが、3000年もの間、同一性をとっているのは驚異に値する
そして、人間の所業とはいかに罪深いものなのか、あるいは、これは人間の本能であり、避けられない運命なのか、とにかく生き残ることが善であることだけは確かであろう。
目次
まえがき ある巡り合わせ
序章 組み合わせから見る歴史
第1章 古代―王国とディアスポラ
1 ユダヤ教以前のユダヤ人?―メソポタミアとエジプトのあいだで
2 ユダヤ教の成立―バビロニアとペルシア帝国
3 ギリシアとローマ―キリスト教の成立まで
第2章 古代末期・中世―異教国家のなかの「法治民族」
1 ラビ・ユダヤ教の成立―西ローマとペルシア
2 イスラーム世界での繁栄―西アジアとイベリア半島
3 キリスト教世界での興亡―ドイツとスペイン
第3章 近世―スファラディームとアシュケナジーム
1 オランダとオスマン帝国―スファラディームの成立
2 ポーランド王国との邂逅―アシュケナジームの黄金時代
3 偽メシア騒動からの敬虔主義誕生―ユダヤ教の神秘主義
第4章 近代―改革・革命・暴力
1 ドイツとユダヤ啓蒙主義―同化主義なのか
2 ロシア帝国とユダヤ政治―自由主義・社会主義・ナショナリズム
3 ポグロムトホロコースト―東欧というもう一つのファクター
第5章 現代―新たな組み合わせを求めて
1 ソ連のなかの/ソ連を超えるユダヤ人―社会主義的近代化
2 パレスチナとイスラエル―「ネーション」への同化
3 アメリカと文化多元主義―エスニシティとは何か
むすび
あとがき
参考文献
図版出典
ユダヤ人の歴史 関連年表
ISBN:9784121028396
判型:新書
ページ数:336ページ
定価:1080円(本体)
2025年01月25日初版
2025年06月20日8版 -
悲惨なニュースが続く国際情勢。
パレスチナ問題とは?イスラエルとは?と都度調べていたものの、かつて日本史選択だった私にはピンとこない事柄も多く、折良く出版された本書で勉強することにしました。
本書のはじまりは紀元前1220年から……ということで、3000年かけてユダヤ人の足跡を追っていく、途方もないつくりとなっています。
旧約聖書のあたりは以前読んだ阿刀田高先生の「アイヤー、ヨッ」を思い出しつつ、じっくりとその流れを辿っていきました。
教科書的な記述が多く、もう少しコラム的な内容があれば楽しく読めたのに……とこれは少々残念な点。
ただ、「むすびに」で紹介された現代のユダヤ人については初めて知ることが多く、早速海外ニュースを見る目が変わりそうです。
本書の中で、印象に残った一節をご紹介します。
「……差別とは必ずしも蔑むことだけを意味するのではない。あるカテゴリの人びとが一様に同じ性質を持つことを、当事者一人ひとりの固有性を無視して決めつけることに差別の基礎がある」
これにはハッとしました。
ユダヤ人は頭が良い、お金持ち……。何かで植えつけられたこれらのイメージは、一見すると良い見方に見えますが、もちろん全員が全員そうなわけではありません。
商売が苦手な人だっているし、貧困にあえぐ人もいる。「ユダヤ人」などと一括りにすることはできず、また同じユダヤ人同士であってもお互いに複雑な感情を抱えていることもあるわけです。
本書で懇切丁寧に解説された、ユダヤ人の歴史や彼ら、そして世界が抱えている問題。それらの半分も理解できていない気がします。
しかし、この本を読んだことで脳内に「ユダヤ人という回路」ができたこと、それが私にとってはきっと大きな収穫だったのだと思いました。 -
難しかったけど読み応えあった。世界史の授業で習ったことも多く書かれていたけれども、著者の先生もあとがきで書かれていたように高校世界史ではユダヤ人はキリスト教誕生前とホロコーストくらいしか登場しなくて、ユダヤ人とのコンテクストで世界史の流れを習うことはなかったからどの章も興味深かったな。
民族離散、「国の法は法なり」と法的解釈、他宗教世界での繁栄と興亡、現代における文化多元主義と多文化主義、そして最後に紹介されたユダヤ現代史の三大拠点に生きる三名のユダヤ人 - ゼレンスキー、ネタニャフ、エレナ・ケイガンの三様な生き方などなと無限の組み合わせを経て生き続けてきたユダヤ人の歴史の上に立っているのを知ることができたのはとてもよかった。
学生時代にこういう本や講義に出会いたかったな。 -
現在の世界で起きている問題を理解する目的で図書館で借りてきて、「第3章 近世」まではなんとか読んだが、肝心の「近代、現代」までたどり着けなかった。某サイトで頂いたポイントを使用して電子版を購入し、最初から改めて読み直した。
うーん、さすがに3000年超に及ぶ民族の歴史をこれ1冊で理解するのは無理がある。昔から社会科は苦手で、特に暗記ができないのが致命的だ。教科書的に無味乾燥な本書も読んだ端から忘れていく。まあ、なんとなく雰囲気は理解できたかな……という程度の読後感である。 -
書店で平積みされているのを見かけて気になっていたのと、某Podcastで話題に上がっていて、これはやはり買わないと!と思って購入。
今参加している聖書読書会、前回の課題箇所がどんぴしゃで、読み初めて数ページで「買ってよかった!」とかみしめた。
こちらタイトルそのまま、
ユダヤの3000年史。
それこそ旧約聖書の時代から、ディアスポラ、ホロコースト、シオニズムに至る、古代近世現代を網羅するユダヤ民族の歴史が詳細に描かれている。
まず、「ユダヤ人」って定義が難しい。
ユダヤ教を信奉する人、ユダヤ民族の血をひいている人、…どこからどこまでをそう定義するのか?
そして長い間国土を持てなかったユダヤ人、ユダヤ民族がどうして21世紀の現代まで、定義は様々とは言えこんなにも続いているのか?
以前、これも何かのPodcastで、
橋爪大三郎先生が、
「バビロニア人はどこへ行った?
アッシリア人は?ローマ人は?
あんなに弱かったユダヤ人だけが残ったのは何故か?」
とおっしゃっていたが、
この本を読んだら、
ただユダヤ人が弱かったから、
律法で繋がっていたから、
ユダヤ教の信仰が強かったから…、
だけではないことがよくわかる。
と、いうか、
私がひとくくりにイメージするユダヤ人、ユダヤ民族が、とても単一的で浅い理解だったんだなとわかった。
ディアスポラで世界中に散ったユダヤ民族は、各地でその土地の文化と自らの民族性を組み合わせ、適応したり迫害されたりしてきた。
その適応の結果、地位を得たことで次の時代にさらなる迫害を招くこともあった。さらに、ホロコーストやポグロムが逆のベクトルで働き、シオニズムの結束を強め、それがアラブ系への対立や迫害につながることもあった。
ユダヤ民族の固有の特殊性からそうなったわけではなく、遭遇した組み合わせから数珠つなぎに相互作用の連鎖反応が起こり、ユダヤ民族自体がそれによって蜘蛛の巣のように分派しつづけて今がある。
また、ユダヤ民族側からではなく、彼らを取り巻く外部からも、そのアイデンティティを都合よく押し付けられてきた歴史についても読み進むにつれ思い至った。
実際、歴史を振り返ればどんな民族にも多かれ少なかれそういう変遷を経ているのだろう。
理解しやすい物語として把握していたり、一方向の情報から無意識のうちに知ったつもりになっている歴史はまだたくさんあるはずだ。
途中から付箋を貼る手が止まらなくなり、通読するのにずいぶん時間がかかったが、旧約聖書をもうすぐ読み終わるこのタイミングでこの本に出会えたのはラッキーだった。
この先たぶん何度も読み返しのために手に取ってしまう本になるだろう。
そしてこの本からまた、いろんな本を読みたくなってしまうんだろうな。
やっぱり買って正解だった。
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パレスチナのイスラム組織によるイスラエルへの攻撃を発端とする戦争のニュースを見ることが多くなる中で、誰と誰が何を争っているのか、関係性や目的を全く分かっていなかった私は、世界で何が起こっているのかに追いつけず、しかも簡単に調べても難しくてよく分からないという状態を放置してずっとモヤモヤしていた。そんな中本書に出会い、このモヤモヤからの突破口になるのではと読み進めてみると、狙い通り色々な関係性を理解することができてスッキリした。
本書はユダヤ人の通史が記されており、世界史を選択していない自分にとっては非常に難解な用語もあり、検索しながら読み進めないと何が何だか理解できないところは多かった。また、ユダヤ人は多種多様な国家や人々と、様々な組み合わせの中で生きてきた背景があるために、時代や場所が転々と移り変わり、時には遡ることもあるため、置いてきぼりになることがあった。私には難解だったが、ユダヤ人の歴史を学ぶにはこれを乗り越えないといけないのだなあと思ったりもした。
読了後は、誰が正しく誰が悪でと割り切って考えることの無意味さを実感した。様々な組み合わせの中で虐げられてきたユダヤ人も、組み合わせによっては恩恵に恵まれることもあったし、いざ国家を建国してしまうと組み合わせに頼らず生きていく意志のためか加虐的な側面も持ってしまう。
どうするべきかは分からないけれど、全員が歴史を理解する努力をすることがとりあえずは大切なんだろうなと感じた。 -
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ユダヤ人3000年の歴史。
圧巻。
ユダヤ教とユダヤ人の関係。
宗教って複雑。
歴史の複雑さ、、著者言うところのめぐりあわせと組み合わせがすさまじく、
殆ど記憶に残らない。
唯一印象的なのは
アメリカのユダヤ人人口は600万人で、
これはイスラエルのユダヤ人人口700万人に続くということ。
これじゃアメリカはイスラエルを指示せざるを得ないわな。
酷い話だ。
いっそイスラエルをあきらめ、全員アメリカに行ってくれれば、
どんなに世界が平和かと思うが、
そうはいかないのがあの聖地ということなのだろう。
だからと言ってガザ市民を殺戮していいわけはないのだが、、、
宗教の力なのか?わけがわからない
序 章 組み合わせから見る歴史
第1章 古代 王国とディアスポラ
1 ユダヤ教以前のユダヤ人?――メソポタミアとエジプトのあいだで
2 ユダヤ教の成立――バビロニアとペルシア帝国
3 ギリシアとローマ――キリスト教の成立まで
第2章 古代末期・中世――異教国家のなかの「法治民族」
1 ラビ・ユダヤ教の成立――西ローマとペルシア
2 イスラーム世界での繁栄 西アジアとイベリア半島
3 キリスト教世界での興亡――ドイツとスペイン
第3章 近世――スファラディームとアシュケナジーム
1 オランダとオスマン帝国――スファラディームの成立
2 ポーランド王国との邂逅――アシュケナジームの黄金時代
3 偽メシア騒動からの敬虔主義誕生――ユダヤ教の神秘主義
第4章 近代――改革・革命・暴力
1 ドイツとユダヤ啓蒙主義――同化主義なのか
2 ロシア帝国とユダヤ政治――自由主義・社会主義・ナショナリズム
3 ポグロムとホロコースト――東欧というもう一つのファクター
第5章 現代――新たな組み合わせを求めて
1 ソ連のなかの/ソ連を超えるユダヤ人――社会主義的近代化
2 パレスチナとイスラエル――「ネーション」への同化
3 アメリカと文化多元主義――エスニシティとは何か
むすび
あとがき
参考文献
ユダヤ人の歴史 関連年表 -
ユダヤ人=イスラエル人=シオニストくらいの大まかな捉え方しかできていなかった私に3000年の「ユダヤ人の歴史」は大きかった。新書1冊で表現する困難をまだ40代の鶴見太郎が挑んだ意味は大きいと思う。読み通せてよかった。
ガザの苦しみ、パレスチナの希望を考える上での大きな武器になった。アメリカのユダヤ人が立ち上がり声を上げていることも納得できた。ネタニヤフの歪みの理由さえもいくらかはわかった。
とにかくガザの人たちを救おう。私たちの一歩で。
次には「ガザの光」とジョー・サッコの「ガザ 欄外の声を求めて」が待っている。後者は図書館予約を待ってると半年かかるので購入を決断した。自分の本となるといつでも読めるので、ついつい積読になりがちなのが困るところである。 -
最新(2024年)の研究成果に基づき、ユダヤ人の歴史について、旧約聖書の神話も横目に見つつ、ユダヤ人の起源からイスラエルによるガザ侵攻に至る現代史までを網羅的に扱った歴史学者の著作。
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冒頭で著者がいう「がめつい」又は「かわいそう」イメージ以外にほぼ予備知識がなく読んだ。2000年弱も独自の国を持たない中でどうアイデンティティを保っていたのかは疑問だったが、移動先での共同体形成、またそもそも改宗・同化しなかった人々が「ユダヤ人」であり続けたとも言えそうだ。
少なくとも近世以前はイスラーム世界の方がキリスト教世界よりユダヤ人に親和的。一方、反ユダヤ主義の要因として、本書では、特に近代以降ではキリストを迫害したとの宗教的要因は薄い。貴族と農民の間にいる「中間マイノリティ」としての存在、そしてポーランドとウクライナを中心に民族主義との衝突とポグロムを説明する。そしてシオニズムとイスラエル建国を、「ネーション」を基礎とした20世紀からの国際秩序と結びつける。 -
この本を読み終わって数日経過したところで、連日、イランとイスラエルの争いがテレビで報道されています。報道の映像をみるたび、頭の中で繰り返しTHE BLUE HEARTSの「青空」が流れます。この本を読まなければ、恐らく脳内のTHE BLUE HEARTSも流れないし、ニュースに目も止めていなかったと思います。「意識していなかったものを意識するようになる」、やはり読書という行為は、素晴らしいものだと改めて思いました。
理系なので、全体的な世界史の流れには疎く、読みづらい部分も多々ありました。ただ、ホロコーストの話を読むと、何だか胸が締め付けられるような想いになります。
ユダヤ人と聞くと、アンネの日記やアウシュビッツ強制収容所の話を思い出し、ヒエラルキーの最下層という印象が強かったのですが、時代や場所によって、その地位は異なっていたことがよくわかりました。歴史のほんのごく一部しか学ばずにわかったような気になっていた自分がいましたが、想像以上にユダヤ人の歴史というのは複雑なものだと知りました。大変、勉強になる一冊でした。 -
専門書としては売れ行きがよいと聞いていたので、もっと読みやすい内容をイメージしたが、案外そうでもなかった。やはり学術的な正確さと簡潔さは両立しがたいのだな。けっして読みやすいわけではない本書がよく読まれている背景には、一つにはイスラエルとガザの時事問題があるのだろう。
よく言われる「選民思想」が文字通りの意味ではないことや、第二次大戦下でのユダヤ人殺戮のすべてがナチによるものではなく、実は地域住民による小規模な殺害を含むなど、知らないことも多かった。それに、ラビって聖職者ではなかったんだ。
難を挙げれば、アシュケナージ、シオニズム、ポグロムなどの用語が、まず使われてから後に説明されること。それはちょっと不親切だろう。
ローマ帝国下で国教化を成し遂げたキリスト教ほどの政治力やバイタリティ、暴力性を持たないユダヤ人が他国で生き残る上では、プチ・同化が不可欠だったということだと理解した。そう考えると癖の強い彼らのことが健気にすら思えてくる。ただしネタニエフは除く。 -
ホロコースト史に集中しがちなユダヤ人の歴史とは一味違う著作。中世や近世におけるユダヤ人の位置付けや歴史を辿っており、一面的ではない描き方に感銘を受けました。
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★3.5
古代王国建設から現代まで、3000年に及ぶユダヤ史が1冊に。ホロコースト以前にもユダヤ人が虐げられた過去があることは何となく知ってはいたものの、まさかここまで歴史、いや闇が深いとは…。ユダヤ人なりに見つけた生きる道が、ポグロムに繋がってしまうのが居た堪れない。が、周りが不平不満を抱く気持ちも分からなくはなく、あまりにもユダヤ人を取り巻く環境が複雑すぎる。とはいえ、イスラエルの現状はまた別問題。被害者側の心情を誰よりも分かっているはずなのに、現代では加害者側に回ってしまっているのが皮肉すぎる。 -
最近のイスラエルの動向に注目していて、世界から孤立を恐れない姿勢や自分達の国に対する絶対的な信頼感がどこから来るのか、歴史的な流れを知りたいと思い購入。ユダヤ陰謀論の信憑性についても理解したかった。成程、やはり陰謀論は陰謀論でした。
著者プロフィール
鶴見太郎の作品

それに至る動...
それに至る動機って一体何なのか、深く知りたいと思いました。
ぜひ読んでみたいと強く感じました。