世界の教育はどこへ向かうか 能力・探究・ウェルビーイング (中公新書 2844)

  • 中央公論新社 (2025年2月21日発売)
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本 ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784121028440

作品紹介・あらすじ

デジタル化やグローバル化などの社会変化を背景に、世界各国が教育改革を加速させている。本書は国連やOECD、ユネスコなどの国際機関、各国での議論を踏まえ、これからの教育を考察する。新たな時代に求められる能力や主体性、ウェルビーイングとは何か。各国が直面する教師不足や過重なカリキュラムへの対応策は。そして、日本に欠けている点とは。一人ひとりの子供が尊重された、あるべき教育、学校の未来を探る。

感想・レビュー・書評

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  • 日本の教育につけては、学んだことがあったが海外の教育については学んだことがなかっため、この本を読みました。

    内容は、OECD、SDGs、PISAなどをもとに現在の世界の教育についての取組を紹介されています。

    その中でもキーワードは、ウィルビーイングです。
    教育もデジタル化が進んだり、金融教育、プログラムミングなど、日々変化しています。

    この変化をどう乗り切るのか?保護者だけでなく学校も、一緒にこの変化に対応する方法を考えていくことが大事だと思いました。

    特に、保護者は学校の変化は気づきにくいため学校または教育委員会からの積極的な情報発信を期待したいです。

  • 内容的に少々退屈だった。
    カナダやニュージーランドで行われている”ビッグ・アイディア”や”キー・コンセプト”と呼ばれている各学問分野の重要な概念や考え方、思考パターンに焦点を当てるアプローチは興味を持った。

    ------------------------------------------------
    序章 変わる世界の教育
     1.デジタル化の影響
     2.「学力世界一」の交替
     3・教師を取り巻く環境の変化
    第一章 教育は何を目指すべきか
     1.世界のパラダイム転換
     2.国連が採択したSDGs
     3.ウェルビーイングへの注目
     4.人間重視に立ち返る
    第ニ章 「主体性」を捉え直す
     1.理想と現実のギャップ
     2.そもそも共通理解はあるのか
     3.国際的な視点から問い直す
    第三章
     1.能力とは何か
     2.「非認知能力」 の重要性と落とし穴 
     3.能力を発揮する方向
    第四章
     1.「総合的な学習の時間」の導入
     2.前提としての方法論
     3.成功するための条件
    第五章 何をどこまで学ぶべきか
     1.「広さ」と「深さ」のトレードオフ
     2.問題の背景
     3.見えてきた解決策
    終章 これからの教育はどこへ向かうか
     1.ニュー・ノーマルの教育像
     2.未来の学校はどうなるか
     

  • 教育の本はあまり現場を知らない人が書くと胡散臭いものになるが、的は外していない本であった。ただ、筆者は教育過程について携わっている。教育課程のオーバーロードは問題視しているが、現場では解消されていない。また、共通テストの科目についてもオーバーロード感は否めない。6教科も入試で必要なのか非常に疑問。入試で勉強しても大学では役立っていないギャップもある。概論ではなく具体策でどう変えていくのか確信が見えなかった。

  • 能力や探究といったホットトピックスの世界的な動向をわかりやすくまとめてくださっている。

    あとがきに筆者自身が書かれているが、以下の視点をもって、一面ばかり喧伝されがちな様々な教育に関する情報発信を冷静に見極めたいと感じた一冊。

    「教育は社会の実情を踏まえて形成されているので、何が正解とは一概には言えないのだが、日本にいると、諸外国の優れた側面にばかり目が行きがちである。」

    「国際的な教育の動向にしっかりと目配りしながらも、常に批判的な視点を忘れずに、日本の教育の強みを生かしていくためにはどうすべきか、冷静に考えていくことが必要だろう。」

  • 世界の経済の変化から教育に求められるものがどのように変容してきているか、それをふまえて何が求められているかを述べた本。

    メモとしては
    教育の世界で注目を浴びているのは4つのC critical thinking, creativity, communication, collaborationである。
    社会に出た後で、必要となる能力にも2つあり、abilityとcompetencyである。competencyは成果につながる能力とも考えられ、正しい文脈の中で知識を組み合わせて相手を説得したり、解決策を見出す能力であり、注目される。
    近年、これまでの教育が認知能力重視だったこともあり、非認知能力(non cognitive)に期待がよせられている。

  • 「教育の未来」に対する漠然としたイメージや、「学校は今後どうなっていくのか」といった不安について、世界の動向や具体的なデータを元に書かれている。

    ●躍進するシンガポール
    →「教育活動におけるゆとり」と「厳しい競争原理」によって効果を上げている。日本も参考とすべきポイントが多い。
    ●「教師」から「教育者」へ
    →「教育」は、より広く開放的なものとなる。学校教育に携わるのは教師だけではないし、教師のキャリアも多様化して然るべき。
    ●「個人の尊厳」に向き合う
    →教育大国シンガポールは、意外にも日本より「いじめ」が多い。「個人の尊厳」が大切にされた素晴らしい教育と断言できるか。
    ●主体性とエージェンシー
    →「変化を起こすために、自分で目標を設定し、振り返り、責任を持って行動する能力」「エージェンシーは他者との関係性の中で育つ」
    ●認知能力と非認知能力
    →能力を発揮すれば良いわけではなく、文脈に応じて、能力をどの程度発揮するかという「加減」「塩梅」こそが重要
    ●「探究」の再検討
    →「方法論」を重視しながら、各教科でも積み上げていくべき。教師の役割はあくまでもコーディネーター。

    学校は、時代が移り変わろうとも、教育の場として絶対に必要なものである。

  • 現在の教育現場ではやることだけが無秩序に増えている疲労感が充満しているように感じている。本書は教育活動の足場は何かを再考させるための情報を提供してくれるものだった。

  • 実は教育の哲学、てか話題になってる教育にかかわる概念の分析。地味だけど、きれいごとですまさず、いろいろちゃんと考えててえらい。

  • 教育に関する世界の大まかな動きがわかった。

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著者プロフィール

文部科学省文部科学省国際統括官付国際戦略企画官 [第5章執筆]
現在, 文部科学省において国連, ユネスコやG7などに関する業務に携わるほか, 国立教育政策研究所フェロー, 東京学芸大学客員教授も務める。主著に『OECD Education2030プロジェクトが描く教育の未来』ミネルヴァ書房がある。

「2022年 『探究モードへの挑戦』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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