脳とAI-言語と思考へのアプローチ (中公選書 125)

  • 中央公論新社
3.86
  • (2)
  • (3)
  • (1)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 69
感想 : 8
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121101259

作品紹介・あらすじ

人工知能(AI)の現状と未来を、脳科学・工学・言語学や将棋のエキスパート達が語る。AIが人間の知能を超える地点とされるシンギュラリティについても議論。


 はじめに

第1章 脳とAI

  脳から見た問題解決のメカニズム――酒井邦嘉

  数理工学の方法論――合原一幸

  次の一手を決めるプロセス――羽生善治

  鼎 談――酒井邦嘉/合原一幸/羽生善治

  人間とAIの棲み分けと融合

  「詰み」とレーサーの感覚の共通点

  AIは大局観を持てるか

  文脈と共感

  機能の理解が課題

解 説――自然と人間――酒井邦嘉


第2章 AIは人間の脳を超えられるか

  座談―酒井邦嘉/辻子美保子/鶴岡慶雅/福井直樹

  これまでのAIブーム

  自己組織化する脳とコンピュータの進歩

  生成文法とAI

  第二次AIブームと言語学

  AIと言語学の乖離

  人間が持つ生得的能力

  脳のプリプログラム

  自然言語処理研究の現状

  学習するゲームソフト

  AIのクリエイティビティ

  シンギュラリティのその先

  タAIを人間が手放さないこと

解説――想像力と創造力(酒井邦嘉)


第3章 チョムスキーと脳科学

  対 談――福井直樹/酒井邦嘉

  神経科学と言語学の接点

  チョムスキーの生い立ちと人となり

  チョムスキーと物理学

  生成文法理論の誕生前夜

  構造主義との決別

  『統辞構造論』の思想的背景

  反戦運動と生成意味論の時代

  生成音韻論と理論物理学

  「規則系としての文法」から原理とパラメータのアプローチへ

  次の科学革命

解説――言語と思考(酒井邦嘉)

おわりに

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 主題よりも副題がメインで、チョムスキーの言語学の入門書として良著
    言語学と現代のAI技術に実は乖離があることが述べられている。
    対談形式なのでスラスラ読める。

  • 3章構成でAIやチョムスキーについて対談されている本。頭が悪すぎて文字にしても理解が追いつかないがこれを会話ベースで進めている本書の方々の知能レベルが高い事だけは分かった。チョムスキー氏は別の本でも見かけた事があるが、当局からマークされていたりする人物だったのは初めて知った。
    2023年3月10日現在では羽生先生は藤井聡太竜王とタイトル戦で善戦されている(AIでは9割以上で藤井竜王の勝ちとされている)本書での見識の高さを見るに理由も分かる気がした。

  • 合原先生がしゃべっているので買って読んでみたのだけれど、ずいぶん前に読んだので何を話されていたのか全く覚えていない。しばらく枕元で眠っていて、ようやく読み終えた。だから、記憶にあるのはチョムスキーのエピソードくらい。政治的な発言も多い人だとは思っていたが、危険人物としてつかまったりしていたのか。まあでも確かに、子どもたちが不完全な情報であるにもかかわらず、日本語の環境におけば日本語が、英語の環境で育てば英語が話せるようになるというのも不思議なものだ。「無重力の平たい義務が柔らかく叫ぶ。」なんていうまったく意味をなさないような文章でも、なんかちゃんと読めるし、なんかそこに意味があるのではないかと考えさせられてしまう。たぶんAIには無理なんだろうな。言語の世界でいま科学革命が起こっているのだとすると、今世紀の動向が楽しみだ。それから、AIに対する編著者の考えは辛辣だ。引用しておこう。「効率や能力を過信したAIの導入は、『AIの出した答えだから』という責任逃れを助長し、考えようとしない人を増やすことにつながるだろう。だから教育にAIを導入するなど、少なくとも現状では百害あって一利なしである。」atama+どうする?

  • 流し読み。2割くらいしか理解できなかったけど面白そう。現在第3次AIブームを引き起こしている、ディープランニングの翻訳が人間の翻訳家に敵う日は来ないとのこと。その根拠はチョムスキーに聞こう。

  • 請求記号 491.371/Sa 29

  • 人工知能(AI)の現状と未来を理論と実践の両面から検証。AIが人間の知能を超える地点とされるシンギュラリティについても議論。

  • 【書誌情報】
    『』脳とAI ――言語と思考へのアプローチ
    酒井邦嘉 編著
    合原一幸/辻子美保子/鶴岡慶雅/羽生善治/福井直樹 著
    初版刊行日2022/1/7
    判型四六判
    ページ数224ページ
    定価:1650円(10%税込)
    ISBN:978-4-12-110125-9

    人工知能(AI)の現状と未来を、脳科学・工学・言語学や将棋のエキスパート達が語る。AIが人間の知能を超える地点とされるシンギュラリティについても議論。
    https://www.chuko.co.jp/zenshu/2022/01/110125.html

    【簡易目次】
    はじめに

    第1章 脳とAI

      脳から見た問題解決のメカニズム――酒井邦嘉

      数理工学の方法論――合原一幸

      次の一手を決めるプロセス――羽生善治

      鼎 談――酒井邦嘉/合原一幸/羽生善治

      人間とAIの棲み分けと融合

      「詰み」とレーサーの感覚の共通点

      AIは大局観を持てるか

      文脈と共感

      機能の理解が課題

    解 説――自然と人間――酒井邦嘉


    第2章 AIは人間の脳を超えられるか

      座談―酒井邦嘉/辻子美保子/鶴岡慶雅/福井直樹

      これまでのAIブーム

      自己組織化する脳とコンピュータの進歩

      生成文法とAI

      第二次AIブームと言語学

      AIと言語学の乖離

      人間が持つ生得的能力

      脳のプリプログラム

      自然言語処理研究の現状

      学習するゲームソフト

      AIのクリエイティビティ

      シンギュラリティのその先

      タAIを人間が手放さないこと

    解説――想像力と創造力(酒井邦嘉)


    第3章 チョムスキーと脳科学

      対 談――福井直樹/酒井邦嘉

      神経科学と言語学の接点

      チョムスキーの生い立ちと人となり

      チョムスキーと物理学

      生成文法理論の誕生前夜

      構造主義との決別

      『統辞構造論』の思想的背景

      反戦運動と生成意味論の時代

      生成音韻論と理論物理学

      「規則系としての文法」から原理とパラメータのアプローチへ

      次の科学革命

    解説――言語と思考(酒井邦嘉)

    おわりに


    著者略歴
    酒井 邦嘉(サカイクニヨシ sakaikuniyoshi)
    1964年東京都生まれ。 東京大学理学部物理学科卒業。同大大学院理学系研究科博士課程修了(理学博士)。ハーバード大学医学部リサーチフェロー、マサチューセッツ工科大学客員研究員を経て、1997年より東京大学大学院総合文化研究科助教授・准教授。2012年より同教授。同大大学院理学系研究科物理学専攻教授兼任。専門は、言語脳科学および脳機能イメージング。主な著書に『言語の脳科学』『科学者という仕事』(中央公論新社)、『脳の言語地図』(明治書院)、『脳を創る読書』(実業之日本社)、『チョムスキーと言語脳科学』(集英社インターナショナル)などがある。

    合原 一幸(アイハラカズユキ aiharakazuyuki)
    1954年福岡県北九州市生まれ。東京大学工学部電気学科卒業。同大大学院工学系研究科博士課程修了(工学博士)。東京電機大学助教授、東京大学教授などを経て、2020年より東京大学特別教授/名誉教授。東京大学ニューロインテリジェンス国際研究機構・副機構長、理化学研究所AIP特別顧問、科学技術振興機構未来社会創造事業テーママネージャーなどを兼務。専門は、数理工学、カオス工学。主な編著書に『理工学系からの脳科学入門』(東大出版会)、『暮らしを変える驚きの数理工学』『人工知能はこうして創られる』(ウエッジ)などがある。

    辻子 美保子(ズシミホコ zushimihoko)
    1964年生まれ。マッギル(McGill)大学言語学科博士課程修了(Ph. D)。愛知県立大学外国語学部助教授、カリフォルニア大学アーヴァイン校言語学科客員研究員(2001年-2002年)を経て、2003年に神奈川大学外国語学部助教授、2007年より同教授。改組に伴い現在は同大学国際日本学部教授。専門は理論言語学。主な著書にLong-Distance Dependencies (Garland), The Generative Enterprise Revisited (共著、Mouton)、『我々はどのような生き物なのか』(共編訳、岩波書店)、訳書に『統辞構造論』(共訳、岩波文庫)などがある。

    鶴岡 慶雅(ツルオカヨシマサ tsuruokayoshimasa)
    1974年宮城県仙台市生まれ。東京大学工学部電気工学科卒業。同大大学院工学系研究科電子工学専攻博士課程修了。博士(工学)。科学技術振興事業団研究員、マンチェスター大学 Research Associate、北陸先端科学技術大学院大学准教授、東京大学大学院工学研究科准教授を経て、2018年より東京大学大学院情報理工学系研究科教授。自然言語処理、ゲームAI、強化学習等の研究に従事。主な著書に、『構文解析』(コロナ社)、主なソフトウェアに『激指』などがある。

    羽生 善治(ハブヨシハル habuyoshiharu)
    1970年埼玉県所沢市生まれ。6歳で将棋を覚える。1982年6級で二上達也九段に入門。1985年史上3人目の中学生棋士となる。1989年初タイトル、竜王を獲得。1996年将棋界で初の7タイトル独占を達成。現在、7つの永世資格(永世名人・永世竜王・永世棋聖・名誉王座・永世王位・永世棋王・永世王将)と名誉NHK杯選手権者の資格を持つ。2018年国民栄誉賞を受賞。主な著書に『羽生の頭脳』『羽生の法則』 (日本将棋連盟)、『決断力』『大局観』(角川書店)、『才能とは続けられること』『直観力』(PHP 研究所)などがある。

    福井 直樹(フクイナオキ fukuinaoki)
    1955年東京都生まれ。マサチューセッツ工科大学(MIT)言語学・哲学科博士課程修了(Ph.D.)。MIT認知科学センター博士研究員,ペンシルヴェニア大学言語学科助教授,カリフォルニア大学アーヴァイン校言語学科主任教授などを経て,2003年より上智大学大学院教授。2006年ハーヴァード大学言語学科客員教授。専門は認知科学,理論言語学。主な著書にTheoretical Comparative Syntax,Merge in the Mind-Brain, Symmetrizing Syntax (共著)(全てRoutledge),『新・自然科学としての言語学』(ちくま学芸文庫,Math & Science)などがある。

全8件中 1 - 8件を表示

著者プロフィール

言語脳科学者。

「2023年 『高校生と考える 21世紀の突破口』 で使われていた紹介文から引用しています。」

酒井邦嘉の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×