- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121101471
感想・レビュー・書評
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著者は、統帥権の独立が諸悪の根源かのような単純化は避ける。そもそも明治期の統帥権独立の完成は政軍分離、軍の政治関与防止のためでもあった。政治との分離が生んだ軍事専門家集団、「軍事の特殊専門意識」は全て悪とは言えないだろう。
1930年代の軍部の政治的台頭は確かだが、著者は軍内部の統制と統帥権の独立を区別し、満洲事変は一義的には前者の問題とする。更に、政党勢力やかつての元老のような分立的政治構造を統合できる政治主体の不在から、その後の戦争で混乱の深みに嵌ったとする。
政治と専門家集団の関係、分立的政治構造の中での指導力、とまで一般化すれば、戦後日本でも他国でもある程度はあり得る論点だろう。 -
戦前においては、軍部ほか各担当が自己主張が強い割には、外部影響には無関心、無責任なのが問題だったように思う。
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東2法経図・6F指定:393A/Te83t/Ishii
東2法経図・6F開架:393A/Te83t//K -
【本学OPACへのリンク☟】
https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/713230 -
統帥権の独立が戦争の拡大を引き起こしたという説は知っていたが、詳細を解説する書籍は初めて読んだ。
天皇を輔弼あるいは輔翼するルートが二つあるということで対立が生まれるのは、当然であり、その対立を解消出来るのは天皇だけという意思決定機関の設計であった訳で、やはり戦争責任は天皇にあったと言わざるを得ない。
この機関設計をしたのは、昭和天皇ではないので気の毒ではあるが、結果責任は負わないといけない。
では、昭和天皇に機関設計を変更するようなことが出来たかというと何も出来なかったであろうし、やはり戦争に負けて外圧で変わるしかなかったと考えると気が重くなる。
まあ、平安時代から、天皇も軍事組織も、お互いに責任を取らないことでやってきた国だから、そんなもんかも知れないが。 -
陸軍の暴走をもたらし、帝国日本崩壊の最大要因とされる統帥権の独立。この通説を見直し、軍事の特殊専門意識から描く日本近代の通史