- Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121501288
感想・レビュー・書評
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宇佐美・野口対談『教育と授業』で紹介されていたため読んだ。
本書の発刊は2004年である。この頃の斎藤孝は良い。「意味の含有率」が高い。最近の斎藤孝の本は読む気がしない。
本書は国語のプロ・斎藤孝と英語のプロ・斎藤兆史(よしふみ)の対談である。両者に共通しているのは、「英語は基本から入れ」である。文法と単語、音読の基本から入るべき、また、英語学習を駆動するのは論理力であり国語力であると主張する。
そして、小学校教育に関して、
・「英会話ごっこ」の英語教育はやめるべき
・国語教育の内容を見直すべき(厚くせよ)
と主張する。
ここまで全く同意であり、予想通りの内容であった。
ここからは、本書を通じて知ったこと、気づいたことである。
・文科省は民意(素人の意見)に踊らされている
・しかし、商売は民意を形にした商品がヒットする
・35〜55歳の働き盛りが時代を作る
・その意味で、「団塊の世代」が作ったのが、バブル時代からバブル崩壊までの時代。
・バブル崩壊後の時代を作ったのがいわゆる「団塊ジュニア」の世代。
・人は自由を求めるゆえに、社会は人々の自由度を高めることを、個人は自分の自由度を高めることをするべき。
・それは、社会は人々に選択肢を提供するべきであり、個人は技を修得することである。
・個人の幸福とは成長率であり、個人の自由とは技の数である。
・日本語と英語は語族が全く異なる。
・ゆえに、欧米で確立された英語教育学は、日本人には合わないかもしれない。
学校は「上達の法則」を教える場である、という主張だけ賛同できない。そうであれば、9科目もの科目を教える必要はないし、「上達の法則」を教えるためのメソッドを開発すべきだからである。
以上、学ぶべきところの多い本書であった。
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2018/03/11 19:28:58
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うーん、教育現場の大局的な動きに言及しているのだけれど、どこか偏見的で視野狭窄な感じ。英語というものに関しても、正論なんだけど新しいものは一切認めない!というような、なんだか頑固な一面が二人の話から見え隠れしてしまう。やはり、同じような意見を持った二人が対談するのは良くない。意見が擦り合わされないから、どんどん話は単極に。より柔らかくないと。いつまでもお耳はジャンボに。俺はそうありたい。
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ああはいはい齋藤孝齋藤孝と思いながら読み始めていたけれど、自分がこうではないかと思っていたことが言語化されていて面白かった。やっぱり基礎ですよね!
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斎藤兆史の英語論を初めて読んだが、とくにエリート教育と大衆教育のけじめに関しては蒙を啓かれた。「自由とは使える技が多いこと」「質が高く、抵抗感があるものを用意せよ」というのも参考になる。
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今年の4月あたりに読んだ本.
レビューを見ると評価が高いが,個人的には「齋藤孝」っていう人,苦手.言ってることの全てに異議をするわけじゃないし,正しいことも言っているとは思うが,どうも自分の持っている教育観とは違う.
ことばは大事だと思うし,いい文章にふれて,いい言葉を生み出す努力をすることは大切だと思う.だけど,それを英語においても同じように捉えるのはやっぱり違うと思う.反復練習だけによって英語が身に付くとはとうてい思えない.
どの教科にしても,反復練習では身に付かない能力や知識というのをきちんと子供に身につけさせる努力をすることも絶対必要だと思う. -
うん、やっぱり齋藤孝さんの考え方って、私は好きだな。同じ斎藤姓の東大の英語の先生でもある斎藤兆史氏との対談。
小学校英語導入への反対の方の著作って、結構あるのだが、考えてみれば賛成派の人の本ってあまり目にしない。こちらが気づいていないだけなのだろうか? 人に勧めたい本のひとつであった。 -
最後のほうに書いてあった「自分にとって英語の必要性がどのくらいか認識することも大事」ということには同意。また、授業実践の様子(先生増殖方式 pp.116-117、小ネタの披露、メモ取り)は活用してみたい。