「新中流」の誕生: ポスト階層分化社会を探る (中公新書ラクレ 225)
- 中央公論新社 (2006年9月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121502254
作品紹介・あらすじ
アメリカ型の競争社会でいいのか。「勝ち組」国のフィンランドやスイスは中流社会だ。目を国内に転じても、日本型を大切にするトヨタに学ぶことは多い。古くて新しい日本型を模索せよ。
感想・レビュー・書評
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教育水準と給与水準を高めることを通じて、高品質の商品・サーヴィスを求める消費者を増やすことが、ひいては国益につながるという考えを明快に押し出した本です。
ヴォリューム・ゾーンが高い水準にあれば、企業もそれに照準を合わせた商品・サーヴィスを生み出すようになるはずだし、そうした企業経営を支える高い教育へのニーズも高まり、好循環を生んでいくことになると著者はいいます。そのうえで、日本の進むべき道は、アメリカ型の格差社会ではなく北欧型の福祉社会だと論じられます。
教育心理学や経済心理学に依拠しているところが著者の独自の視点といえるように思います。心理学では、あまりにも高い目標を提示すると、ごく一部の人びとだけにしかインセンティヴが働かないことが明らかにされており、著者はこの理論を援用することで、「ものすごく努力をすれば億万長者になれる社会よりも、ちょっと努力すれば給料が少し上がる社会のほうが、みんなが総じてがんばる」はずだと論じます。
最終章では、こうした社会を実現するための、かなり大胆な方策が提言されています。どれほど実現可能性があるのかは不明であり、また個々の議論については完全には首肯しがたい点もありましたが、全体を通して非常に明快な議論がなされているように思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本はずっと欧米のマネをしてきたけど日本には日本のよさがある。
新たな視点で物事を見れた気がする。 -
書かなきゃー
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一部の金持ちに富が集中するより、中間層に分散した方が経済効率が良いという話。