非居住者のすすめ (中公新書ラクレ 276)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121502766

感想・レビュー・書評

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  • 非居住者としての生き方(特に香港やタックスヘイブン、資産家日本人の考え方)などについて。自分にとっては特に真新しい内容ではなかったし、出版されているのが08年4月ということもあり当時は「香港推し」でも良かったが、現在はそうではなく(既に情報が古く)時流に乗っていない内容ということで★★★。時代の変化とともにこのような情報もアップデートしないと。

  • [ 内容 ]
    香港に金庫を置いて、中国で稼ぐ。
    「お金が逃げ出すところで仕事をするな」と断言する著者は、日本から脱出し、経済活動の拠点を海外、特に香港等の中国の大都市におくことがいま必要だと、様々な角度から説得的に示す。

    [ 目次 ]
    第1章 お金持ちと日本人(昔は一〇分の一税と決まっていた 政変のたびに人民はひどい目に ほか)
    第2章 国境と日本人(日本に住まなくとも生きていける 贈与税は毎年、計画的に払う ほか)
    第3章 非居住者をなぜ選ぶのか(全財産担いで香港に移住する人も 相続税を回避するより、はじめからやり直す ほか)
    第4章 お金のほうが選り好みをする(仕事をやるなら、陽の当たるところに動け 税率の差が多国間で比較されるようになる ほか)
    第5章 日本人の長所を生かせ(日本人でないとやれない経営がある 海外でレストランをやるのは、やめたほうがいい ほか)

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 日本人がお金持ちになるのが困難なのは、日本における税率の高さが関係している。日本の非居住者となることで、日本人でも日本の税法を免除される道がある。

  • 今の日本では大富豪になる道はほとんど閉ざされてしまったと言ってよい、自分は福祉の行き届いた国に住んで財産・収入は税金の安い国に移すことも可能、昔は日本で金持ちになりたかったら「所得を発生させずして資産を作る法」と「借金を利用して相続に備える法」を活用すればよかった、これからバブルのような上昇がある国もある→どんな資産がよくてどんな資産がだめか研究してみる価値あり、バブルを乗り越えられたのは借金で不動産投資しても家賃収入で元利金の返済ができない投資をしなかったから、日本と見比べながら何処に事業本体を移すか何処で財産運営したら有利か選択ができる、銀行に利用価値があるかどうかがチャンスがあるかどうかのバロメーター(銀行からお金を借りたいと思えれば○)、日本人は自国の税法がよそと見比べようとしないし重税を逃れるにはどうしたらよいか真剣に考える人はあまりいない、日本以外の所で新しく事業を始める場合はどこから投資するかによって大きな違いがでてくる、世界の情勢に応じて自分の考えを絶えず修正すること、日本は野心家が新しい仕事を始めるには不向きだし財産を守っていける場所でもなくなってしまった、新しいプロジェクトを実行に移す場合は銀行に相談に行ってはいけない、日本人の場合日本の税法を免除される唯一の方法は本人が日本の非居住者となること、能力がある人が税金の安い所に住んでお金の儲け易い所で事業を展開すれば新たに財産を築けるはず、お金が儲かる時は税金を払う方がチャンスに恵まれる→やたらと税金を回避してはいけない、「永遠の旅人」になれと言っているのではない(まったく払わないのは身勝手な利己主義者)、国によっては外国で稼いだお金に対してもすべて課税対象とし本国の所得に加算して課税する(日、米)、非居住者が日本で所得を発生させた場合20%の源泉を払えばいいことになっている、香港で営業していれば香港であげた所得に対し17%(個人は15%)の税金がかかるがそれ以外の地域であげた所得には課税されない、不便で行ったことのないタックスヘブンより少々税金を払ってでも交通至便でお金の出入りが自由でかつお目こぼしの多い香港やシンガポールが好まれる、香港:?銀行利息に税金がかからない?株の配当に税金がかからない?1年以上所有していた不動産の値上がり益に対して税金がかからない、香港は税率を下げたり全廃することでアジア中の資金が集まる「資金の天国」をつくることに注力した、税務署への申告は会計師と呼ばれる専門家が代行申請するだけ、海外所得に対しても総合課税の国の人は個人所得が発生することを嫌い法人を作って出資し法人が投資や営業活動する形が多い、香港の会社は一般に過少資本で運営されている会社が多い(株主からの借金)、銀行口座は共同名義が必須(相続や不在時でも対応可)、外国で稼いだ株の儲けも厳密には税務申告が必要→自分のポケットの中で所得を発生させない(法人の所得とする←経費化or留保)、新しいビジネスを開発する場合まずは社会的需要があって利益が上がる分野に目をつけるべき、ビジネスを大きく事業に育てあげるためにはその土地の大多数の人を相手にするか逆にその土地の人を使って世界中を相手に商品作りをするかのどちらか、同じ苦労をするなら競争相手の少ないその土地には珍しい仕事を探すに限る、よその国に行って商売をやる以上その国の人になったつもりでその土地のお金を稼がなければいけない、通貨がだんだん小さくなる国(米)には行かないこと、日本から中国に持っていって売ることのできる商品に目をつける、現地の営業に必要な資金以外はシンガポールや香港に移して投資活動はそこで行う、学問とは先輩のやることを真似ることから始まる→独創性はコピーが完全にできるようになってからやっと可能になる、日本人が将来身につけているサービス精神・完璧主義・責任感とかいった無形の財産は世界中どこに行っても見当たらないもの→そう簡単にはコピーされない、日本人の長所がわかる「ここは日本人が経営している」とわかる企業がコピー大国中国で存在感の続く企業になる、いままでその国になかった商品・業種から始める、食べ物屋や日本人相手の便利屋的仕事は×、競争の激しい業界ではなく日本人の独壇場になるビジネス、二国間の落差を利用するビジネス←旅行を多くすればするほど発見できる、現地で日本人と同じ発想ができる人を養成できるかがカギ、先進国でバブルとその崩壊を経験した日本人の方が有利な立場に立っている、日本人は現地の人より時代の先が読めるはずなのだからそれを活用しない手はない(30年先を走っている)、韓国・台湾人は一歩先にアジアの途上国に乗り込み工業化の推進役を務めている、日本→海外収入もいちいち申告して納税・非居住者→日本国内の収入に対して所得の20%の分離課税ですむ、日本人の場合は日本に住んで資産や投資活動だけ海外に移しても総合課税の網をくぐりぬけるわけにはいかない、日本にある日本人の財産は最終的には国の借金のカタになる、かつて世界中が目を見張る経済成長が続いた日本でこれから何が起こるか世界中が注目している、今の日本人でこれから財産を作る人は財産を作るのも国外ならそれをしまう金庫の海外ということになる、アジアに広がった土俵で非居住者になった日本人が沈没しつつある日本丸を助けるために新しい地盤を築く時代、金庫を香港やシンガポールに置いてアジア各地で経済活動→日本国内にいるより3〜5倍のスピードで目標を達成できる、〔明治より発展する日本でヒットした商品を探す−その国になかった商品・サービス探し〕〔日本や海外でその国では見向きもされない物を探す−経済的な落差を探す〕

  • 非居住者とは聴きなれない言葉です。
    「節税用語」だそうです。
    日本の税制は、居住者に課せられるように出来ているので
    日本の住人でなければ、つまり旅行者であれば、
    原則非課税になるそうです。
    裏返せば、そのくらい日本の税率が高いということ。
    また世界が狭くなって、
    ヒトモノカネが国境に縛られなくなっているということ。

    ヨーロッパでもスイスあたりは
    優遇税制で個人のお金持ちを誘致しているそうなので
    日本もぼやぼやしていると
    お金持ちの個人や優良企業は、
    国外へ出て行っていますかもしません。
    (もうすでに頭脳は流失している??)

    田舎に住んでいると相変わらず
    産業団地に工場誘致の看板を見かけます。
    これなんか相当ずれているのでしょうね。

    Qさんはただ、税金を払うなとは言っていません。
    安全で舗装された道路を歩く以上、
    どこかに税金を払うことは当然といっています。

    やさしい文章ですが、その哲学は深く濃いです。

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著者プロフィール

邱永漢
一九二四(大正十三)年、台湾の台南市に生まれる。東京帝国大学経済学部を卒業後、一時帰台し、台湾独立運動に関与。のち香港へ亡命し、対日貿易を手がける。五四(昭和二十九)年から日本に定住、五六年、「香港」で外国人として初めて直木賞を受賞し、作家生活に入る。八〇年日本に帰化。実業の才を生かし、株式投資、マネー関係の入門書の執筆や、ビル経営など多角経営を行い、「金もうけの神様」と呼ばれた。二〇一二(平成二十四)年、没。著書に『香港・濁水渓』『食は広州に在り』『中国人と日本人』『わが青春の台湾 わが青春の香港』『邱永漢短篇小説傑作選 見えない国境線』『お金持ちになれる人』『お金に愛される生き方』などのほか、『邱永漢自選集』(全十巻)、『邱永漢ベスト・シリーズ』(全五十巻)がある。

「2022年 『邱飯店交遊録 私が招いた友人たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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