アカデミア・サバイバル: 「高学歴ワーキングプア」から抜け出す (中公新書ラクレ 329)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121503299

感想・レビュー・書評

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  • 前著『高学歴ワーキングプア』にて、大学院を取り巻く悲惨な現状について
    明らかにした著者の続編。
    今回は「解決編」とでも言えるような作りになっている。
    前著に比べて文章が平易、かつ読ませる工夫が感じられて、
    「大学業界読み物」のようなテイストで楽しく読むことが出来た。

    大学院はもはや将来の投資としては成り立っていない。
    (特に)後期課程にまで進んでしまうと一般企業への就職は難しくなるし、
    博士号を取ったところで研究職への就職はままならない。
    最高峰たる東大出身であっても、常勤の仕事をとるのは至難の業なのだ。
    いざ知ってみると、意外な印象を持つ人も多いのではないだろうか。

    そんな環境の中で、大学院生や、「博士」たちはどう生きていけば良いのか?
    自身も任期付き研究員で、僧侶の免許も持つというユニークな著者が、
    博士の価値を捉えなおすための具体的な方法について述べていく。

    「教員人事は公募なんかじゃない!」
    「論文を書きすぎたらイカン」
    「一度外に出てから戻るという手もある」
    (以上、目次から抜粋)

    といった点は正に目からウロコ。
    単なる努力では身を守れない現状が、リアルに伝わってくる。
    こうした実際の状況を言ってくれる教員は少ないから、院生は盲目になるのでしょう。

    巷では「大学院に行きましょう」という主旨の本が中心的ななかで、
    批判的に、かつ、それでも生き残っていくための回答を示した著者の功績は大きい。

    文章も読みやすく、「悲惨な喜劇」(?)というのか、面白おかしく、でもマジメに。
    そんな感じの内容になっており、読み物としても楽しめた。
    院生、進学を考えている学生、社会人etc...何かしら大学院に関心を持った人は
    目を通しておくべき一冊。
    「自分には特に縁がないかなぁ」という人も、何か感じてしまう一冊だと思うのでぜひ。

  • 200円購入2011-01-02

  • これから研究者を目指して、博士前期課程に入学する夢のある人向け。
    現在のアカデミックは、絶望的状況なのは周知なので、
    パラパラって読みましょう。死ぬ覚悟を決める本。

  • 少子高齢化で大学経営がきびしくなるなかで何とか雇用してもらおうと画策している一冊。どうやったら経営の源泉をふやせるか、とか被雇用以外の道筋は用意されていない、かなり内向きな内容。著者には経営者としての視点がかけているのが残念。

  • 学問の構造やら本質やらに言及しているのはいい しかしこれを学部生も院生もどれほどの人が読んで納得するかどうか まともに従来の教育に適応してきた人ほど抵抗あるんじゃないかな これ一冊で割りきれる人にはなんら問題ないよね 足掛かりになればいいかなという意味では良い本か

  • 2010/12/12 たまに脱線気味。なんとなく東京方面の人かと思ってたら、知ってる風景が出てきた・・・(くびきり××村)。いっしょに仕事したくなる気持ちのいい人になれというのと、懇親会費を惜しまず顔を売れということか。

著者プロフィール

立命館大学衣笠総合研究機構研究員・僧侶。1967年福岡県生まれ。長年、子どもの道草研究に取り組む。無用の用を可視化する作業を通して現代社会文明批評を行い続けている。著書に『子どもの道くさ』(東信堂)、『高学歴ワーキングプア』(光文社新書)他。

「2009年 『子どもが道草できるまちづくり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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