国家論―僕たちはいま、どこに立っているのか (中公新書ラクレ)

  • 中央公論新社
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本棚登録 : 89
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121503466

作品紹介・あらすじ

世代を超えた3人の代表的な論者が、10時間にわたり徹底討論を行った記録。世界も日本も大変化のただ中にある今、戦後日本ではタブーだった「国家のかたち」を正面から、大胆に論じきる。

感想・レビュー・書評

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  • 第4章「国家のかたち」の中で、左派と右派の再確認が分かりやすくなされています。日本の民主党と自民党の差がはっきりしない中、この参議院選挙にはどう臨めばよいのか悩むところですが、考え方の座標軸のようなものが見えてきたと思います。一つ一つの価値観の問題(普天間のこと、北朝鮮への対応、夫婦別姓などなどについての考え方)は難しく、なかなか一貫した主義を保てないのですが。私、個人的には、第3章「希望のない時代」の中の「承認と鬱屈」の節が最も印象に残りました。コンビ二で働き年収150万のフリーター赤木智弘さんの論考が紹介されています。「希望は戦争」これだけの格差ができてしまった今、自分はもうキャッチアップしていくことはできない。それなら、戦争でも起こって、いまある秩序をいったんなかったことにし、ガラガラポンとリスタートしてほしい、そんなふうに言う。私もしんどいときなどはときどき思うことがあります。大地震でも起こって、皆が何もかもなくしたところからスタートしてみたらどうだろうと。まあ、そんなこと言っても、家族や自分が死んでしまったのでは元も子もないのですが。続けて、秋葉原の事件について論じられています。犯人が静岡からわざわざ福井にまで行ってナイフを購入している。しかも、やさしい女性の店員がいるということを知った上で。そして、ナイフ購入時に、その女性といろいろ会話をしている。その後、ネットに人としゃべるというのはいいものだと書いている。ものすごい差はあるかもしれないけれど、私も、東京でひとり暮らしをしていたころ、休日にコンビ二で何か買い物をして、店員に「ありがとう」と言ったのがその日唯一発した声だった、などということが何度かありました。それは本当に寂しいものです。何らかの形で、自分の存在を認めてくれる人がいてくれさえすれば、何とか生き続けることができるのだろうけれど・・・

  • 国家というのは、機能主義的なものである。
    国家は国民の生命と財産を守るために存在する。
    秩序を守るのが国家の重要な役割。
    そのために、暴力を専有し再配分を行う。
    税品を集めて、それを配分することで、
    一定程度の平等を実現し、秩序を安定させる。
    これが国家の本質的な機能である。

    いまの時代というのは、多くが生命力を失っている。知力もない、
    胆力もない、かといってヒロイズムもない。じゃあどうするの、と
    みたときに、普通のひとのなかには結局「生きている意味がない」と
    自分をみてしまう人たちがいる。
    希望をみせてくれる人がいないんです。
    愛っていうのは、ひとことで言うと、「ここで生きていていいよ」と
    いうふうに、いろいろな人たちから認められ、承認されることです。
    希望というのは、やはり「承認」問題なんだと思います。
    自分がこの社会のなかで生きている、という実感がほしい、
    というわけです。
    希望というのは、ほんのささやかな、ちいさなことだと思うんです。
    非常に身近な関係性の中で、「承認される」ただそれだけの問題だと
    思うんです。

  • 左派 
    1 共産(国家を使う)
    2 社民(国家を使わない)
    人間の理性によって、よき平等社会を作る
    設計主義であり合理主義

    右派 
    人間の理性の部分を疑う
    1 漸進的改革の保守
    2 理想的過去へ回帰せよと言う右翼
    3 「市場にまかせればいい」の新自由主義

  • 書き手(語り手)の誠意を感じる対談集でした。
    もっとも、成長ホルモン放出のゴールデンタイム(午後10時らしい)に突入してしまったため、終盤は斜め読みでした。

    もったいないので購入を検討します。
    震災前の本なので、震災後の著者たちの発言も追ってみたいと思います。(遅読・反芻読みですが・・・)

  • [ 内容 ]
    世代を超えた3人の代表的な論者が、10時間にわたり徹底討論を行った記録。
    世界も日本も大変化のただ中にある今、戦後日本ではタブーだった「国家のかたち」を正面から、大胆に論じきる。

    [ 目次 ]
    まえがきに代えて―国家を論じることが不可欠の時代のただ中で
    第1章 歴史をみることの大切さ
    第2章 必要悪としての国家
    第3章 希望のない時代
    第4章 国家のかたち
    第5章 日本とアジア
    あとがきに代えて―「日本の琉球化」という一つの展望

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

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    [ 参考となる書評 ]

  • とても読みやすかった。周りからの「承認」を得られにくくなった(と思うようになった)昨今において、周りからの「愛」でしか自己を肯定できないのでは、という話、日本に存在する3つの右派、混沌とする日本国内の右派左派、戦後に課せられた日本のタブーとそれを打ち破った鳩山首相、吉田首相の敢えてオムツを履いた日本、冷戦ボケした日本、ナショナリズムの形成とそれが吹き上がったフランス革命、日本と韓国の敵対的矛盾、琉球国としての日本、等面白いお話がたくさんあった。でも要するに、歴史を顧みて今を考えることの重要性を、ただ伝えているのだと思う。よかったら是非♪

  • いま,国家のあり方について,もっと議論があってもいいと思っている.
    そうでなければ「新しい公共」や「地域主権」なども与えられたものになってしまう.

    そう思い読もうとしてから早1か月.
    集中して読めばそんなにかからないのだが,考えながら読んでいると,時間がかかるよなぁ.

    第4章「国家のかたち」の議論が面白い.
    そして,小沢一郎をあらためて想う.
    小沢一郎は次に何をしたいのだろうと.

    二大政党としてわかりやすく政党が存在するには,まだまだ政界再編が必要だ.
    いまのままだと民主党にも,かつての自民党的な「総合デパート」の要素が残る.
    これでは二大政党制において選択はできない.
    やはりここの整理をしたいのだろうか.

    加藤紘一が自著に書いたように,ここでも自民党は役割を終えたと結論づけられている.

    政界再編の軸をどのように打ち立てるか.
    中島岳志は「社民主義」と「保守主義」だというが.

    民主党政権が抱える問題を洗い出しているが,この本がもっと読まれていれば,民主党は参議院選挙で勝っていただろう.
    菅政権は,有権者がもう少し良識があるとか政治に興味があるとか,大きな勘違いをしていたのではないだろうか.

    ***

    「でも価値の問題だって,自民党が産経新聞みたいになったら,絶対にマジョリティにはなれません」(田原総一朗)(「国家論」田原総一朗,姜尚中,中島岳志)

    「「思考実験」は大切です.とくにこんなに閉塞感が漂う時代には」(姜尚中)(「国家論」田原総一朗,姜尚中,中島岳志)

    「なんとなく危ない「空気」を感じるのは,コンプライアンス(法令遵守)ですよ.コンプライアンス,コンプライアンスってね.規範を守れ,と世論が連呼する.検察が強くなることを求めているかのようです」(田原総一朗)(「国家論」田原総一朗,姜尚中,中島岳志)

    「世論の暴走というものが,潔癖主義と結びつくと,いかに危険か.そこへの認識は,いまたいへん重要だと思います」(中島岳志)(「国家論」田原総一朗,姜尚中,中島岳志)

    「包摂と参加というのは表裏の関係で,僕たちはある地域社会にコミットして,そこで政治に参加し,それによって公的な仕事っていうもの,たとえばゴミ集めをどうするか,ということに協同しながらやっていく.そうした社会にならないといけない」(中島岳志)(「国家論」田原総一朗,姜尚中,中島岳志)

  • 対談形式もいいね。今の政治社会の姿がよくわかる。

  • 対談系の本は読み取りが難しい。ただ、三人の役割がはっきりと明確に出てるので、その点は良かった。

    中盤辺りが結構面白くて、多分著者に連ねる人たち名前を見て拒否反応起こしちゃう人もいるかもしれないけど、基礎の一歩後、大まかな方向性の道しるべにはなるとおもう。

  • 思ったよりも多面的な視点で話が進んでいった。サラッと書かれているのでもうちょっと話を掘り下げて欲しくもなったが、軽いからこそ読みやすかった。

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著者プロフィール

1934年、滋賀県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、岩波映画製作所入社。東京12チャンネル(現テレビ東京)を経て、77年よりフリーに。『朝まで生テレビ!』の司会をはじめ、活字と放送、ネットなど幅広いメディアで活躍。次世代リーダーを養成する「大隈塾」の塾頭も務める。近著に『トランプ大統領で「戦後」は終わる 』(角川新書)、『平成の重大事件』(猪瀬直樹氏との共著、朝日新書)など。

「2018年 『AIで私の仕事はなくなりますか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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