リクルート事件・江副浩正の真実 改訂版 (中公新書ラクレ 360)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (477ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121503602

作品紹介・あらすじ

「教科書にまで書かれた事件。(中略)黙って死ぬわけにはいかない、という私の気持ちがあった」(「はじめに」)。当事者がすべてを語った、現代史の証言にしてすぐれたノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  •  かの有名な『リクルート事件』。その当事者である江副浩正氏による手記です。「教科書にまで書かれた事件。(中略)黙って死ぬわけにはいかない、という私の気持ちがあった」という生々しい記述が胸を打ちました。

     世の中に震撼を与えた『リクルート事件』。その渦中の人物である江副浩正本人によってつづられた手記です。新書にしてはえらく分厚いなぁと思いながら手にとって読み始めましたが、内容の濃さと息をもつかせぬ展開にそんなことは途中でどうでもよくなりました。特に、検事とのやり取りで、恫喝スレスレのことを言われたり、理不尽な取調べで土下座をさせられたりするところが書かれている場面は正直、ページを読む手が止まりました。

     そして、怒濤の裁判になだれ込んでいましたが、最近、陪審制度が導入されていて、もし自分が陪審員ならこの事件をどう裁くくんだろう、なんて考えながら読みました。そして、業界では有名ですが、著者は『売りの江副』として株取引に相当通じているわけですが、弁護士や検事、裁判官が株式市場について何も知らない、と言う記述には当然と言えば当然だよなぁ、なんて突っ込みを入れながら読んでいましたが、もし、検事や裁判官で株についても詳しいと言うのは逆に怖いですもんね。

     これは貴重な記録、そして優れたノンフィクションとして、ぜひとも読んでいただければと思っています。

  • リクルート事件について江副さんの立場から振り返った本。取り調べ等のプロセスにおける問題を体験を踏まえ提起しながら、出来るだけ私怨を出さず客観的に記述されている点は素晴らしい。

    経済がスケールした際の道徳の重要性については二宮尊徳が指摘しているが、江副さんは意図せずそこに嵌ってしまったのだと思います。

    売上利益至上主義、社内政治主義の皆様はお気を付け下さい。

  • 今でこそ広まりつつある検察の闇の部分が書かれていて面白かった。検察はストーリーを作るというとこが印象的。

  • *****
    何が正義で、何が悪なのか。
    それを裁く主体は。
    巡り合わせ、で語るにはあまりにも、江副さんも、多くの関係者も、日本の政局というものでさえ、失ったものは大きい。
    *****

  • 中学から高校時代で何をそんなに取り沙汰されていたのかわからなかったのと、昨今の検察問題について知ることができるかと思い、購入。

    印象深いのはやはり取り調べ状況。シナリオに署名させられてしまうまでの心理状況。自分がもしもそうなったらどうするのかというのを考えながら読んだがきっと署名させられてしまうんだろうなと。

    ただし、著者も書いているとおり、検察視点からの著作物だとしたら全く印象が違うのだろうかとは思う。

    長かかったが非常に面白かった。

  • 判決は裁判の最後に提出される検察官調書で決まる事が多く、密室の取調室では長期勾留で被疑者を心理的に追い詰め、検事にとって有利な調書を作成しているようだと書いている。昨今の検察に対する不信感。江副氏の体験を通して、その酷さがリアルに伝わってくる。正義って何だろう。とりあえず、検察のこのやり方は正義とは言えないと思う。

  • かの有名な「リクルート事件」について当事者である江副氏本人によって書かれた本。検察の強引な捜査手法についても言及している。この本によると、検察は始めから自分たちで勝手にストーリーを作り上げ、そのストーリーありきで取り調べを行っていくという。自分たちの都合が悪くなると、罵声を浴びせたりして精神的に追いつめていく。

    検察の捜査については昔から問題視されていて、ライブドア事件で捕まった堀江氏も同様な事を述べていた。

    現在の司法制度のあり方について色々と考えさせられる本だった。

  • 事実を淡々と述べながら、特捜の強引な捜査の内実を白日の下に晒す良書。

    取調べの可視化は是非とも進めるべきだと思わせる一方、マスコミや政治家の意識の低さも明らかにしている。

    マスコミ
    一度追及を始めるとネタがなくても何とかして引き伸ばして被害を拡大させる、通常の事件報道だけでなく直接関係のない事実かどうかも定かではない噂程度の話すら書き立て人権侵害を繰り返す。

    政治家
    事件の背景には消費税審議を遅らせる目的もあったという。
    現在の被災者無視で私益にかまけて国会審議を遅らせ、復興法案の可決が遅れている状況を見ても、パフォーマンスを重視し、スキャンダルネタや優先順位の低い責任追及をし、政策論争や政策批判(根拠のあるもの)で論戦をして論破して潰すということができない政治家の低さ(国民にも責任はあるが)も見れた。

    以上二点から法学部生必読の一冊と思う。

  • リクルート入りたかったなー。本当に。

    バイタリティとか意識の高さが大好き。

    特捜はこの当時はしょうがないかもね。
    自白は有史上、最も有効な罪の証明
    だったよね。

  • 検察の強引な捜査手法に焦点を当てて書かれた一冊。堀江貴文や村木厚子さんの事件によって検察問題が世間の耳目を集めているが、なかなか根深い問題だと認識させてくれる。

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