グローバル化時代の大学論2 - イギリスの大学・ニッポンの大学 - カレッジ、チュートリアル、エリート教育 (中公新書ラクレ 430 グローバル化時代の大学論 2)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121504302

作品紹介・あらすじ

ワールドクラスの大学では、グローバルな問題を解決すべく、世界中から優秀な教員と学生を集め、人材育成に努めている。オックスフォード大学が、その先頭集団を走る秘訣は何か?同大で教壇に立つ元東大教授が、中世以来の伝統的教育を報告し、日本の大学が抱える課題を検証する。

感想・レビュー・書評

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  • 海外の大学というと、アメリカの大学のことが取り上げられがちだが、この本はイギリスの大学についての本。
    50代で東大教授からオックスフォード大学に転職した著者が、簡単な読み物として一般向けに著した内容。
    我が国の大学の歴史は、19世紀の帝国大学がスタートだが、イギリスの場合その歴史は古く、オックスフォード大は11世紀に設立されたとされている。
    そんな古き伝統を有するイギリスの大学において、どのような教育が行われているかを知ることができる。
    アメリカとはまた違って、イギリスの文化と歴史、国民性を色濃く反映した大学の在り方が見えてくる。
    同業者には特におすすめ。
    一般の人でも数時間でさらっと読むことができて楽しめると思う。

    —-以下、ツイッタ。アドレスは2023/08/30

    読了本。苅谷剛彦「イギリスの大学・ニッポンの大学」 https://amzn.to/44hhWKE 東大教授が50代でオックスフォード大に転職。その経験の中で感じたイギリスの大学と日本の大学の違いを軽い読み物として書いた本。アメリカの大学とはまた違った文化を知ることができる。同業者に◎ #hrw #book #2023b

  • オックスフォードやケンブリッジのことがわかって面白い本である。イギリス留学に行く人には必読。

  • 関心あって良く知らないイギリスの大学について知りたく読了。オックスフォード大のチュートリアルや試験の話は大変興味深い。これが教員と学生の互いの本気を引き出す歴史に裏付けされたシステムなのだろう。
    また、潮木氏の解説が本書にadd valueしている。
    〜学問は旅である。行く先のわからない旅である。一ヶ所に閉じこもっていては、新しいヒント・アイディアは生まれてこない。アルキメデスが風呂からあふれ出る水をみて、思わず発した「これだったのか!」(エウレーカ体験)、世界のからくりを知った子供が発する「アハー体験」、自然科学者が注目する「セレンディピティ」。これらはいずれも「突発的な認識」こそが、新発見の鍵であることを物語っている。〜

  • 榎本博明の「教育現場は困っている」に引用されていた所から興味を持って読んでみた。

    本書の情報は2012なので少し古いが、2020年にも通じるところは多くある。著者の苅谷はイギリスの名門オックスフォード大学で教鞭をとる日本人だ。本書の内容は彼(在英日本人)から見たオックスフォードの内情について、そして日本の大学制度についてである。
    ●オックスフォード含めオックスブリッジは生活の中心となるカレッジと学科教育の中心であるdepartmentからなる。
    ●departmentは日本に似た講義形式の授業だが、カレッジでは毎週1度マンツーマンないし1対2程度で行われる個別指導だ。オックスブリッジの学びの中心はカレッジで学生は毎週大量の参考文献の読書(インプット)とそれについての議論、論文化を行う。
    ●学生の採用は、高い学力をクリアした上での面接重視で、教員は自分が指導したくなる、世界トップレベルの教育に耐えられる学生を採用し「教育された市民」をつくる。
    ●日本の大学教育は、大学での学問教育(知識の伝授の更に上にある、運用力)が特に人文社会系で行われていない、また社会的にも価値が認められていない。
    ●日本も「コップの内側」から世界に目を向けなければならない。

  • 有用

  • オックスフォードの教育のあり方がレポートされている。基本は、多くの課題図書を読んでエッセイをつくり、それをもとに教員と学生2,3人で議論する「チュートリアル」。オーソドックスだが手間のかかるそうした営みをきちんと行うことが、エリート(「教育された市民」)には必要である、という。ただ教員が講義する内容を理解し記憶するだけの日本の大学教育では、本当に考える人間は育たないということであろう。様々な雑誌・機関誌に書かれたものを一つにまとめているので重複が目立つし、掘り下げた探究はあまり見られない。日本でエリート教育を行うなら、どうすれば良いかという具体的な提案が、最後に述べられている。

  • 2012年刊。著者はオックスフォード大学社会学科・現代日本研究所教授。
     
     内容は、
     ① OX大学の教育哲学・具体的教育内容、
     ② 昨今の英国大学拡充計画とその影響、英国大学制度の将来像、
     ③ 日本の大学教育改革との異同
    について解説するものである。

     ①は既文献もあり新味はない。
     ただし、現在進行形の②は興味深い。殊に大学学費負担の拡充と両輪の貧困層への手当て、その制度設計はそれ。また、②と③の比較も、階層化日本の教育問題を社会学的に説いてきた著者らしい分析である。

     個人的には、日本でも少人数ゼミの効用を生かせば、チュートリアルばりの教育は一定程度可能と思うのだが…。現実を見ず、甘いのだろうか?。

  • イギリスのエリート教育の一端を垣間見た。日本で人材育成は確かにかつては企業がOJTで担っていた。今の時代、大学に学びを取り戻す手段は三つか。オックスブリッジかアメリカのリベラルアーツカレッジを選ぶか、独学だ。どちらも困難な道だ。

  • イギリスの大学の特長を紹介しながら、日本の大学の問題点を指摘している。就活の開始が今年から遅くなったけど、それだけでは多分何も解決しないと思った。

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著者プロフィール

オックスフォード大学教授

「2023年 『新・教育の社会学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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