内診台から覗いた - 高齢出産の真実 (中公新書ラクレ 442)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121504425

作品紹介・あらすじ

「卵子老化」「出生前診断」「自然出産ブーム」等の過熱報道に潜むワナにご用心!ニセ医学知識、テレビや女性誌のスピリチュアル情報、体験者の間違った一家言…。オピニオンリーダーとしてセックスや産婦人科情報を発信する女医が、自らのマル高妊婦体験を元に、本当に正しい知識を伝える。

感想・レビュー・書評

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  • 同年齢、また産科医ということから、リアルで、とても参考になりました。
    妊活する上で、背中を押してもらえた一冊です。

  • 高齢出産に主眼があてられたものではなくて、妊娠出産全体について医師としてはこう思うよって内容だった。

  • 「内診台から覗いた」とキャッチーなタイトルだが、中身はそうでもなかった。ブログの内容を本用に直している感じでサラサラと読みやすかった。
    高齢に限らず、妊娠~出産~育児と、ご自身の体験とお嬢さんについて書いてあり、子供を生んだ人が読むとすんなり入ってきやすい内容だという印象を持った。

    二人目を妊娠中にはじめたツイッターで宋先生のことを知って興味を持った。というのは、なぜ妊婦検診などに通っていながら、我々はインターネットや雑誌などで情報を収集し、それを信じてしまうのかと疑問を持ったから。もちろん私もその一人。

    典型的なのは、逆子だけど、二人目だし、帝王切開じゃなくても大丈夫だと思うよと、お産する病院の先生に言われたにもかかわらず、
    「逆子 お産」と調べ、その体験談を読み、
    「大丈夫」「おとなしく帝王切開したほうがいい」など、さまざまな素人の意見に惑わされた。
    なぜ先生が大丈夫といっているのに、きっと何かあったら先生が対応してくださるのに、そんな情報を自分で得ようとするのか・・・そしてそれを信じようとするのか、自分で疑問だった。

    自宅出産にしても、助産所での出産にしても、マタ旅にしても、マスコミや旅行会社の案内はとてもキラキラしていて素敵に見える。
    人はそれを信じたくなる。
    でも、「旅行に行きたい」と患者に言われた医師は、きっと「やめたほうがいい」という。
    それはそれにより大変な思いをしている人をたくさん見ているから、当然。
    でも、いきたいなら「自己責任」。とっても冷たく思える。
    でも、これってとっても温かいお言葉だと思う。
    妊婦と赤ちゃんの安全を第一に考えているから出る言葉で、決して冷たくない。むしろ熱い。そういう気持ちがビシビシ伝わってきた。
    でも、診察のときにその熱さは伝わってこないから、我々一般人は不安になって余計な情報に惑わされたり、商売に巻き込まれる。

    お産において一番大事なのは赤ちゃんとお母さんの安全であるということが繰り返し述べられていたが、我々一般人には、「お産は病気ではない」の言葉のもと、そしてほとんど悲しい結末を知らないため、当たり前のようになってしまっている。
    だから商売やネットのトンデモにだまされるんだろうと思った。不都合な真実は非常に伝わりにくい。

    私のような素人が感じていることと、プロの意見、そしてスピリチュアルなことを信じている人、そしてそれを礼賛する報道との溝は埋めようがないのかなぁって言う気がした。
    スピリチュアルなことを信じる人ってどうも共通点があるような気がする。
    ・自然分娩
     (自宅出産で輝く命)
    ・母乳信仰
    ・予防接種不要。
    こういう強い意見を持つ人が全体の1%程度だったとしても、報道の仕方によればこれが正しい、これが素敵だ!という思いを持つでしょう。
    それを病院に持ち込んだり、他人に押し付けたりするから厄介なことになるんだろうなぁと言う印象を持った。

    出生前診断については、
    医療技術が進歩しているにもかかわらず、法整備の遅れ、見解や方向性がばらばら、そんな印象を持った。
    これを組織として統一しないと、現場の先生たちはあくまでも個人の意見で述べなければならず、それがまた訴訟に発展したりして人手不足になって・・・となってしまうのではないかと思った。
    現在予防接種についてももめているけれど、政治が優柔不断すぎるのと、少数派の意見を聞きすぎて、大きな目的を見失いすぎていると感じた。

    それにしても妊娠・出産などはデリケートな話だから、やっぱり素人がわかったようなこと言わないほうがいいと再確認した一冊。

  • 読みやすい内容で、産婦人科医の一般的な意見を述べているのではなく、子供の母としての視点も含めた本音を交えていて、時には産科界では常識的な内容にも切り込んでおり、とても興味深かった。

    助産師について、根拠がなく経験則で物を言う人が多いというものには大変共感。病院で働いてた時駆ら長年、根拠のない経験のみによる助産師の助言に違和感を感じてたのは私だけじゃないのだと思った。産科界隈の情報はセンシティブで複雑なものが多く、シンプルに話す人ほど疑った方がいいというのも共感。絶対い良い悪いと白黒つけられるものがほとんどなく、勉強をしても空を掴むような感覚だったのは間違いではなかったと思った。

    新生児診断=命の選別のイメージがあったが、元々は胎児の人権を尊重し、事前に病気がわかることで、胎児も人間と同じように必要な医療が迅速に受けられ、受け入れる側もその心の準備をするためのもの、という目的を医療職ながら初めて知った。

    ありがちなお産の苦しみを味わらないと子供に愛着が湧かないは幻想。無痛分娩等活用して、どんなお産でもお産した人が皆自分のお産を肯定できることが理想だなと思った。

    分娩台のお産が畳の上のお産と比べて自然でないということは、助産の授業で刷り込まれた気がする。昔から出産方法は多様性があることから、多様性があること自体が自然なのだと知った。

    メモ
    いいお産とはとよく言われるが、客観的評価で測れない。医療者的には自分で産む、という気構えを持ったお産、と言われていた。

  • すごく納得できました。
    ネットの連載だから、コメントなどの反響を踏まえて次の章に生かされているのも良かったです。
    「虎穴に入らずんば虎児をえず」。

  • 真実って言ったってねぇ。

  • 著者の啓蒙「この男性の子どもを産むためなら死んでもいい、と思えるような男性の子どもしか妊娠してはいけません」

    子どもはいつか欲しいけど、俗世間に未練があったら耐えられなさそう。その前にあれもこれもやっておかなくては」とオンもオフもかなりアクティブに過ごしてきたので、ますます子育て生活とギャップができてしまうという始末。

    安心して暮らすなどということができたのは、おそらくここ数十年の日本人、、もしくは先進国の一部の人たちだけで、もともと有史以来、地球上に暮らすすべての生き物にとって生きるということは生き延びるということでした。

    赤ちゃん自身がこの世に生を受けることを望んだのではなく、親たちのエゴで母親のお腹に宿したのだから、可能な限り守ってあげることが親としての責務であるように思います。

    産婦人科医は命を扱いますが、こういう人は生まれるべきだとか、生まれてくるべきではないなどと命を裁く立場にはありません。

    ハイリスクだと分かっていて妊娠することの是非は、卵子提供とはまったく別の問題です。

    クアトロテスト・・・
    東尾理子さんが、妊娠15週で「クアトロテスト(母体血清マーカー)」を受け、ダウン症の確率が82分の1だったけど、どんなユニークな子でも自分たちを選んでくれた大切なわが子なのだから羊水検査は受けない。
    295分の1を境目

    染色体以上を発見するために全員が羊水検査を希望した場合、ほとんどの人は正常であるため、全体で見て、異状を発見する効率は悪くなります。

    (Nuchal Translucency 胎児頸部浮腫)
    NTが厚いだけで中絶
    3mmでも正常の確率が圧倒的

    母体血を用いた出生前遺伝学的検査が実用化される日が来れば、NTは姿を消すでしょう。

    良くないお産・・・「自分で産むという気構えがなく強い依存があるお産」

    私は、身体面ではありませんが、ある部分においてマイノリティというか、普通の人が生まれながらに当然持っているものを持って生まれませんでした。

  • 高齢出産の本を立て続けに3冊読んだが、1番役に立つものだったと思います。
    医師の方が書かれていることもあり、安心感のもてる本でした。

  • 「売らんかな」のタイトルですが、95%まで分娩台の脇から、医師として高齢出産について考えたことを語っています。5%くらい分娩台の上から自分自身の高齢出産をして感じたことを語っています。徹頭徹尾、我がこととして考えて書いている点で、「高齢出産の真実」にはウソがないと思います。
    (しかし分娩台から「覗いた」というのはあざといですね、編集部が)

    甘く見てもいけないし、恐がり過ぎてもいけない高齢出産。
    どんな出産にもリスクがあるという自明のはずのことを、つい忘れがちになる社会。お産がプランどおりに行くとは限らないのだと、みんなが分かってくれるといいですね。生殖年齢にあって子どもを欲する人たちみんなのために。

  • タイトルと内容が合っていないような…

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著者プロフィール

1976 年生まれ。産婦人科医。『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』(ブックマン社)ほかヒット多数。『少女はどこでセックスを学ぶのか』(徳間書店)、『生理だいじょうぶブック』(小学館)など。

「2023年 『50歳からの性教育』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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