若者と労働 「入社」の仕組みから解きほぐす (中公新書ラクレ 465)
- 中央公論新社 (2013年8月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121504654
作品紹介・あらすじ
ブラック企業、限定正社員、非正規雇用…様々な議論の中で、もみくちゃにされる若者の労働問題。日本型雇用システムの特殊性とは?現在発生している軋みの根本原因は?労働政策に造詣の深い論客が雇用の「入口」に焦点を当てた決定版。感情論を捨て、ここから議論を始めよう。
感想・レビュー・書評
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◯労働分野の勉強はほとんどしていない自分にとっては、面白いように新しい知見を得られる一冊であった。
◯特に印象的だったのは、日本の若者の就職の実態と、労働法制がずれているという点が面白い。なんのための法令だか分からなくなる。これではブラック企業や過労がなくならないのもなんとなく頷ける。(この辺りは経済界と政界の折り合いがもたらした悲劇なのかもしれないが)
◯また、日本の就活が、採用基準の意味不明な人間性を見ているのは何故かということにも、一定の納得が得られた。確かに、現在の日本の大学では就職のためのスキルを得られない文系大学や講義が多すぎる気がする。
◯この辺りはそれこそ「革命」でも起きない限りは中々変わらないのかもしれないが、知ってこそできることはあるので、ぜひ大学生にこそこの本は読まれるべきだなと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大変勉強なる本でした。
現在の就活というイベントのスタートや日本の雇用制度の問題点。
そして、その問題点がグローバル化とともにどのように変化しているのかなどが全て分かります。 -
伝聞に頼ってゐる
メンバーシップ型とジョブ型とに大別してみると、なるほど日本と海外ではかなり異ることがわかる。
この本は日本のメンバーシップ型の矛盾点を中心に論じてゐる。読むとジョブ型のほうがまともだと思ってしまふが、ジョブ型にも若者雇用問題といふ弱点があり、著者はジョブ型正社員をいふ理念を提唱してゐる。新卒一括採用や人間力採用に由来する歪みが、刊行から10年経った2023年になっても感じられた。
しかし伝聞だけの推測と思はれる部分もあり、そこは蓋然性が低い。また、この本は2013年の刊行だから、この10年で何か変ったことも多いのではないか。 -
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今年読んだ中で最高ちゃうかな。どうしてうちの大学に不本意の学生が来るのかよくわかった!
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開発目標8:働きがいも経済成長も
摂南大学図書館OPACへ⇒
https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB99526038 -
日本型と欧米型の雇用システムの比較が非常に分かりやすく論じられている。
日本型の「入社」を前提とした新卒一括採用は、欧米と比べて、若者の雇用を守るという社会的な必要性もあったのだろうが、競争が激化する中にあって、労働生産性といった観点で再考する時期が来ているのだと感じる。
「入社」や「人」に着目した日本型の雇用システムが、無制限に会社のために働かせることを暗に強制し、長時間労働やブラック企業を招いているという問題意識が非常にわかりやすく整理されていて、勉強になった。 -
ジョブ型雇用を最初に提唱した本。
これはジョブ型を考えるときは一度参照したい。 -
ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の対比に触れながら書かれているので理解しやすい。
また、歴史的経緯も説明しながら今の雇用問題の根本原因を知れるので非常に良い書籍でした。