嫉妬と自己愛 - 「負の感情」を制した者だけが生き残れる (中公新書ラクレ 574)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121505743

感想・レビュー・書評

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  • 嫉妬心が希薄なのは美徳と言われるがほかの人の嫉妬に気がつけないからトラブルを引き起こすと気づけた。
    難しかったので今度また読みたい。
    紹介されていた小説を何冊か読んでみたいと感じた。
    やる気がある有能、やる気がある無能、やる気はない有能、やる気はない無能と分類するとやる気のある無能が1番迷惑だと認識できたので頑張りたいなと思った。

  • 日本社会が発展を諦めている、広がる格差、もう何をやっても追いつくことはない、が刺さった。その中でも自分は何が出来るのだろう。そもそも友達はいるのかな。

  •  引用されている、味は淡白だけれども凶暴な魚「ナイルパーチ」生き残るためには、一見おとなしく見えても、いざとなると勝負強い実力が必要な時代なのかもしれません。本の感想・レビューとは関係のないキャチコピー

     紀伊國屋書店(流山おおたかの森S・C店)に行くと、いつも平積みされている佐藤 優氏の書籍…そしてその殆どには、氏の顔写真が印刷された帯がついています。私は、意図が分からないまま、どうもその辺をうさん臭く感じていたので、中々手にとれないでいました。しかし違和感を解消する出会いがやってきました。「嫉妬と自己愛」という題が、私が今、可能な限り解明!?したい分野でしたので、躊躇せず買ってみたところ、欲していた情報が満載でした。

     佐藤優さんによると「イエスは、隣人を単に『愛しなさい』と言っているのではなく『自分のように愛しなさい』と言っていることが重要であり『自分を愛することができない人が、他者を愛することなどできない』というのが、キリスト教の愛に対する考え方である。従って自己愛はとても重要な概念であるが、嫉妬と隣り合わせの感情であり、制御することはとても難しい」とのこと。私たちは「健全な自己愛」を獲得するために、自分が自分を大切にするように、他人も自分を大切に思っている。それを許容できるようになる必要があります。

  • 「嫉妬」や「自己愛」への対処法を論じた本。

    本書では、6つの小説を紐解き、「嫉妬」を抱く世代から、「(歪んだ)自己愛」を増殖させる世代へ、さらにその「自己愛」さえも喪われようとしているという時代の流れを追っている。

    「嫉妬」も巻き込まれると致命傷になりかねない危険なものであるが、「嫉妬」にはまだ、嫉妬する他者の存在がある。
    しかし、現代の「自己愛」は、競争の土俵から降りてしまうことで自分を守るため、他者性が排除され、歪んだ形で自己愛を肥大化させてしまっていることが多いと筆者は説く。

    そこで、ストーカーや引きこもりの人も持っている「歪んだ自己愛」を、健全な自己愛へと修復できるのが望ましい。
    そのためには、「よき他者との出会いの機会をできるだけたくさん作りましょう(本でも可)(斎藤氏談)」というのが本書の大筋かと思う。

    個人的に、取り上げられている小説が、なかなか刺激的で面白そうだと興味を持った。
    特に、『ウォーク・イン・クローゼット』収録の「いなか、の、すとーかー」と、『コンビニ人間』は、どういう結末を迎えるのか気になったので、小説を読んでみようかと思う。(上手い事乗せられる図)

    第二章で出てくる対談相手も、ひきこもりを扱う精神科医の斎藤環氏や、ストーカー被害者から要請を受けて500人以上のストーカー加害者にカウンセリングを行う小早川明子氏と、現場の方達ならではの話で勉強になった。

    後半では、細かく「嫉妬」を買わないための対策等も載っている。そのため、「気をつけたい」と思う人は勿論、「自分は嫉妬なんか買わないから大丈夫」という人も(むしろ後者の人の方が特に)一読しておいて損はないだろう。

  • めちゃくちゃ面白かった。
    佐藤さんの書は“なぜか”ということがしっかりと書かれているので理解するし、エキサイティングだった。
    本を読もう。動じない心をつくるために
    他者のコンプレックスに触れないようにしよう
    ストレスをうけたらちゃんと休もう
    正常な他者愛を育てるために他者と関わり友人をつくろう

    そしてなにより自分を愛するように他者が自分(他者自身)を愛するということを常に心に留めておこう

    と思う。

  • あの外務省で、外交官として、頑張って働いてきた筆者。
    その筆者が、無実の罪を着せられて牢獄に。
    それも、政治家鈴木宗男氏の逮捕を不服として、ハンガーストライキまでした人だ。

    その報道がある最中、佐藤優という人はどんな人物なんだと何もわからなかった。
    当時は、マスコミが悪人を仕立て上げ、大騒ぎしていた。

    今、牢獄から出て、悲惨な、人生の体験をしたあと、
    佐藤優氏が次々と語ってくれている。

    ありがたいことだと思う。

    その内容は、思い出したくないくらい、きつかったことも、
    冷静に遠くから 見て語っている。

    だから、頭に染みてくる。

    キリスト教を学生時代、深く学んだ筆者。
    だから、無実の罪の人を 知らんぷりできなかった。

    その、キリスト教的思想の きちんとした基盤の上に、「世の中の ヒトの有り様 」を、冷静に 見ていることが、
    揺らがない 事実として 伝わってくる。

    はたらく人間は、四種類。
    ①能力もあり、意欲もある 人間。
    ②能力はあるが、意欲がない 人間。
    ③能力は無いのに、意欲がある 人間。
    ④能力もなく、意欲もない 人間。

    組織にとって、一番 厄介なのは、
    ③の人間である。

    〔2001年、北方領土をめぐるロシアとの交渉が、
    「歯舞、色丹2島先行返還」で、大きく前進しようとしていました。〕(162ページ)

    その時に、東郷欧州局長に、
    「君は平時ならロシア課長が務まるが、今は大変大事な時だ。・・・」と大事な時だから、能力が及ばないということで、配置がえされた ロシア課長。
    就任間もない 小泉内閣の田中真紀子外務大臣に
    そのロシア課長が、泣きついた。
    そのロシア課長は、東郷さんの評価では、
    ふだんは、④なのだが、時々③になるから、困る。
    という人物だ。

    当時のロシア課長は、「外務省がいかに鈴木宗男や佐藤優に食い物にされているか」を直訴。
    「宗男悪人説」を刷り込まれた田中真紀子外務大臣は、
    鈴木宗男議員との対立を深めていく。
    翌2002年 「鈴木宗男事件」が、勃発。

    東郷さんは、罷免。退官。
    鈴木宗男氏と佐藤優氏は 逮捕。

    1人の 無能だが、意欲だけある 人間の
    嫉妬心で
    2人が逮捕。1人は退官。
    日本の悲願の 北方領土返還交渉も、
    間際までいっていたものが、15年間、お蔵入りになったのだ。

    また、
    2000年4月、
    鈴木宗男氏が、大統領に当選したばかりのプーチンと会談したことを、
    東郷さんから、
    先輩政治家、中曽根康弘氏、橋本龍太郎氏、三塚博氏、中山太郎氏に 報告。
    その時の、後輩鈴木宗男氏に 対する 元総理の 嫉妬心も すごいものがあった。(49ページ)

    筆者は、社会で生きていくための
    嫉妬のかわしかた は 
    ジャーナリスト竹村健一氏に学ぶ。

    竹村健一氏が活躍していた当時、
    人からやっかみを受けないために実践していた行動(172ページから)

    ①お願い事がある時には、必ず自分から相手の所に出向くこと。→大ベテランになってからも、人を呼びつけるようなことはしなかった。
    ②逆に自分よりも力が上の人間から「会いたい」と言われた場合には、
    「絶対に相手の許に行かない」というのが竹村さんのポリシー。→力のある相手のホームグランドに足をふみいれたら、そこで丸め込まれてしまう危険性がなきにしもあらず。
    ③そして、「人の悪口を言わないこと」。
    ○また竹村氏は「お金が必要でテレビコマーシャルに出ようと思ったら、すごく注意したほうがいい。」
    →商品を褒めたり、『私も使っています』と言ったりしてはダメ。→その商品がらみのトラブルが発生したとき、余波を被る可能性があるから。
    ○そして「テレビと、書く仕事を兼ねるべきではない。」とも言われた。→「テレビの世界に入ると消耗戦になります。あなたは活字に絞ったほうがいいよ。」
    そんな竹村さんはテレビからも言い方は変ですがきれいに消えていきました。(175ページ)

    1人の 無能だが 意欲のある 人間の 嫉妬で
    逮捕 有罪判決を 受けた 筆者の 激しい人生の 体験。
    これを 読書することで 共通の認識を得られる 有り難さ。

    もっとも、
    ここ10年は、
    その 嫉妬心が 薄れ、
    自己愛 人間が 増殖中 という現実に加え、
    2016年芥川賞受賞の 『コンビニ人間』(村田紗耶香さん著)にいたっては、
    自己愛ゼロ の人間が 登場し、受け入れられている。

    最終的に
    筆者の 嫉妬と自己愛のマネジメントの 極意は・・・
    ☆キーに、なるのは、「言葉」(199ページー)
    【相手の、コンプレックスに 触れるな!】→ それを、触れられると、狂います。そして、発言者に対する 嫉妬と怒り でいっぱいになります。
    →鍛えるのは、「自分が言われたら、どう感じるか」という健全なる他者性です。
    【自らを、マネジメントして、心の平静を保つ。】(202ページー)
    *誰かの 発言や行動に 腹を立てない。また、過度に感動したりしない。
    *売り言葉に、買い言葉のー修羅場を避ける。
    例 2014年10月に橋下徹大阪市長の公開討論会
    →〔◎物事に動じない心は、いろんな知識、教養を身につけることで養われます。〕
    ある人間の 信じ難い言動も、その背後にあるものを 「知って」いれば、余裕をもって 対処できる。
    →どうしても、反論したくなったとき、怒りたくなったときは、意識して、大きな声を出さない。早口もNG。
    ◎「ゆっくりと、静かな声で、理詰めの話をするように心がける。」
    →人は、自分のー発した声に興奮する。すると相手も、大声で、負けじと反応する。これは、動物のー本能の世界。
    【叱り方、褒め方のノウハウ】(204ページー)
    昔は、叱る時は、1人の時。褒める時は、みんなの前。
    でも、今は、嫉妬を防ぐため、
    叱る時も、褒める時も、1人の時に。

    そして、自己愛時代の 人間は、極力、叱らない。恥ずかしくなるくらい褒めて丁度いい。

    チームとして仕事するには、
    実力0の人間には、シカトする。
    数字をしめさせて、外していく。
    ただ、パワハラ、セクハラと言われないよう、気をつける。

    まさしく 筆者自身の
    痛みを伴った 壮絶な経験による 知恵が ここにはある。

  • 自己愛が強い人は嫉妬はしないが。
    35歳以上の世代の自己愛は、俺の仕事がいかにすごいか
    それ以下の世代は、いかにスマートか
    そして、スマートさは求め下には行きたくないが、トップに行けるとも思えていない。
    欲求段階 4承認欲求→5自己実現 だが、自己実現しまいと思わない、

    自己愛が強い人間は〜というが、誰しもあるのでは?そこを否定しないコミュニケーションがとれるよう気をつけたい。特に、自分の自己愛を傷つけられるようなことを言われると、その何倍も相手の自己愛を傷付ける反撃をしてしまう気がするから。

    今は、みんなの前で褒めるのにも注意。嫉妬を招くかも。

    自己愛が強いかは、自己でなく他者を通して確認する。他者に自己愛があることが分かって行動できるか。
    健全なる他者性を持つ人間には、心を開く友人ができる。いないなら注意。親や恋人はアガペーやエロースであり参考にならない。フィリア、友愛、友情が必要。
    キリストのいう「隣人を自分のように愛しなさい」

    斎藤環からも「よき他者との出会いの機会をできるだけたくさん作りましょう」

    自分が人と会うよりも本読んでる方がいいのは、著者はレベルが違いすぎて私の自己愛にダメージを受けないが、身近な人たちより劣ってると感じると、自己愛にダメージをうけるからではないか?

    自己愛も嫉妬もない新世代とは?それって仏教的にはいいことでは?まさに悟り世代

  • 自分が他人よりも圧倒的に優れていると信じている人には、嫉妬という感情自体が起きないのである。

    悶死 中川一郎怪死事件

    ギリシャ語 愛 3種類
     自分に欠けているものを求める「エロス」、セックスのように、欠けているものが満たされるまで終わらない。
     「アガペー」見返りを求めない無償の愛
     「フィリア」その中間 友情とか友愛

    世の中から嫉妬の感情が消え、代わりに歪んだ自己愛が蔓延している

    銀座のクラブの女性は、どこにも褒めるところがないときはネクタイを褒める

    過剰な自己愛は「できない自分」の防御装置でもあります。

  • いつもの佐藤優

  • 人間はそれぞれ得意なことがあり、それを飛び抜けるくらいやれば自分を受け入れられて、嫉妬も減る

    嫉妬について学んでみる。嫉妬は自分が何を欲しがっているかを教えてくれる感情

    本当に信頼し合える友人を作って健全な自己愛を育もう

    自傷的自己愛着か。

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著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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