教育とは何?-日本のエリートはニセモノか (中公新書ラクレ 595)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121505958

感想・レビュー・書評

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  • 日本の教育の、よくない意味での特殊性に対して、教育の現場からの批判と実践例。
    純粋な意味での、学びの喜びを、子どもたちに取り戻したいよね、という話。

    「学力低下したのは、ゆとり教育のせいじゃなく、『関心、意欲、態度』を得点力よりも評価の上位に据えたせい」だ、とか。

    スマホ依存についても、いじめ問題などの視点以外に「思春期には、ふっとひとりになる時間、ぼーっとする時間がものすごく重要なんです。/この時間がない子は、自立が遅れがちになるんですよ/ひとりになってぼーっと自分を見つめてみたり、"内なる自分"と向き合ったり、そういう葛藤の時間保障も重要なんだ」とか。

    自分の子どもの頃には、スマホが無くて良かったと思う。
    あるのに、使わないのは大変だもの。

  • 対談形式でそれぞれの教育観、考えを知ることができました。現在の教育をどのように変えて、より良い教育を実践するためにはどうすれば良いかを考えるヒントを得ることができたと思います。

  • 濃い2人。
    同調圧力や前例主義がどこにもそこにもあるこの国で、
    こんな濃さを保てている、このお2人だからこその提言。
    読んで大正解!

    新書だけど、お2人のキャラも相まってさくさく読めます。
    正論をこういう程よい濃度で語ってもらうって大切よね。

    できれば、教育に携わっている方全員に読んでほしい。
    やっぱりひとりひとりの意識が大切なんですよね。

    僭越ながら、とっても尊敬する読書好きな理科の先生にもお貸ししてしまいました。
    「わかるわかる、大賛成!」って返してもらって、満足。

    尾木先生が現役時代の孤軍奮闘に、とても励まされました。
    「規則や手法より、態度や心持ち。まずやってみる」です。

    【本文より】
    「先生っていうのは、何を教えてくれるかわからないけれども、とにかくその人の話を聞きたい、その人と一緒にいたい、と思う人のことだ。」内田樹

    花の拠点”はなふる”センターハウスの蔵書です。

  • 尾木ママと茂木健一郎氏が教育問題について討論した内容が収録されてます。教育問題含め、何事も無関心にならず関心を持ち続けておくことが大事だと感じました。学生たちが被害者であっちゃあいけない。

  • 茂木健一郎も尾木ママも好きなので、この掛け合わせをみた瞬間から読書熱が上がった一冊。
    「一人ひとりの多様な個性を尊重する」と言うは易しな政策を、具体的にどう変化させるかを対談、講義形式で語る。
    ●スマホ依存については、使い方次第、リテラシーを高めよう(脳科学的にぼーっとする時間に内面の形成、自立が育まれる)●学びたい欲望が今の子どもたちに欠乏している(親の先周り、親や学校のいいなり)
    ●教育は国家の統治手段●海外では、一斉授業ではなく個々取り組むページが異なることが当たり前

  • 日本の教育の現状を体系的に理解できた気がする
    海外の教育についてももっと勉強したい

    ✏偏差値で能力が担保され、それがフェアだ、唯一のモノサシだと思い込まされてきた日本人の脳は、いつの間にかそれだけを追いかけて、それ以外のことには「挑戦しない脳」に、規格外のことも受け入れられない脳になってしまったのだ

    ✏先生っていうのは、何を教えてくれるかわからないけども、とにかくその人の話を聞きたい、その人と一緒にいたい、と思う人のことだと思います。

    ✏ネットで、ただ人の意見をコピーしたり、リツイートしたりするだけの人はすぐわかります。自分の言葉を持っていない。
    創造性って、自分の言葉を持っているということ。そして、自分の言葉を持っている人は孤独な時間を持っていた人のような気がします。

    ✏教育は投資です。これは国の国力に関わる問題です。
    (フィンランドの元教育大臣の言葉)

    ✏"わかる子"と"わからない子"の間に生じる理解度の差は、不平等とはいえないのかー
    そこの判断が、ヨーロッパ諸国と日本で異なっているのです

  • 学びは当たり前ではない。自分から学びたいという胸を焦がすような欲求をどうくすぐるか。
    集団の前で「みなさん」と話しかけても、聞き手は当事者意識を持たず、話が入らない。名前を呼び、より個別に話しかけることで。内容がより理解されるようになる。
    学びの欲求階層があり、「テスト合格」や「成績を上げる」という低次の欲求から「学びがい」、「生きがい・働きがい」へつながる。そのステップを理解し、適切な課題を提供することが重要である。

  • SDGs|目標4 質の高い教育をみんなに|

    【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/691658

  • 「日本の教育はおわってる」
    義務教育、受験競争を経て、私自身感じてきたことや言いたかったことをずばずば語ってくれてスッキリした。学べることもたくさんあったのでおすすめ。

  • こんばんは! 今日のイチオシの本は、
    『教育とは何?』:著 尾木直樹 茂木健一郎

     教育なんてもう関係ないと思ってるそこのあなた!今回の内容は【日本国民一人一人の将来、それもそう遠くない10年くらい先のこと】にも深く関係してます!具体的には、「AIによる仕事の代替」と関係しています。将来、仕事、AIという昨今人が敏感となるワードに、教育は大きく関係しています。
     今回は、「尾木ママ」でお馴染みの教育評論家の尾木直樹氏と、「プロフェショナル仕事の流儀」のメインパーソナリティを務めていた茂木健一郎氏の「教育のあるべき姿」にフォーカスした本を紹介します!この本を読んで、【学校教育が、人生、最終的には日本の未来を左右する】と認識しました。
     この本に書かれてある情報を参考に、【今回は僕自身の考えも踏まえながら】、超圧縮してお伝えします!

    ①従来までの教育
     本書では、本来学校とは、「知的好奇心や、新しいことを知ったときに世界がパッと広がる感覚を育む場」であると語っています。しかし、今までの高校や大学はその機能を果たしていないと語り、それに対して批判をしています。ほとんどの科目が暗記を強いられ、どれだけ暗記をしたかを評価されるテストが存在している。そのような構造があるから、【暗記能力がある、または与えられた課題を素直に出来る人が優秀と見なされる】という結果がうまれています。

    ②AIがもたらす未来
     ①での、暗記能力がある、または与えられた課題を素直に出来る人が優秀と見なされる教育はなぜ問題なのでしょうか。それは、「AIが作る未来」と密接に関係しています。
     まずAIについての説明を軽くしておきましょう。AIの強みとして「単純作業、数式化できる作業、暗記作業」があり、逆に弱みとしては「読解力、創造性、コミュニケーション力」があります。
     故に、AIの「強み」がどんどん発展していくと、【単純作業中心の決められた仕事はAIに代替されていく】ことが予想されます!実際に、10〜20年後にはマニュアル化しやすい定型作業を中心に、日本の労働人口の49%がAIに代替される予想があると本書に記されています。
     ここで教育の話に立ち帰りましょう。従来までの教育を続けていくと、「暗記能力がある、または与えられた課題を素直に出来る人」ばっかりの世の中になってしまいます。つまり、【AIに代替されるような仕事しか出来ない人ばっかりの世の中】になってしまうのです!これはイコール、職に就けない人が増える、労働生産性が低下する、それが回り回って「日本の衰退」という未来に繋がってしまうのです。

    ③人間の強みを育もう
     恐ろしい未来が待っているにも感じますが、希望もあります。②ではAIの弱みである、「読解力、創造性、コミュニケーション力」にも触れました。これはつまり、「人間にしか出来ないこと」であり、人間の強みと言えます。  
     つまり、私たちはこの「人間にしか出来ないこと=読解力、創造性、コミュニケーション力」を養っていくべきなのです!これが欠落していたら単純作業の多いルーティーン的な仕事に就くしかありません。しかしそれはAIによって代替化されるので、将来の展望はよくありません。
     では、「読解力、創造性、コミュニケーション力」はどのように養えばいいのでしょうか。ここで冒頭の、本来学校とは「知的好奇心や、新しいことを知ったときに世界がパッと広がる感覚を育む場」であるということの意味がやっと分かってきます。
    もうお分かりでしょう。「読解力、創造性、コミュニケーション力」は、【知的好奇心がきっかけで育まれるもの】なのです!もっと物事を知りたいと思い読書をして読解力が身につくし、新しいことに興味をもって挑戦してく中で創造性が育まれるし、もっと色んなことを知るためにたくさんの人と出会う中でコミュニケーション力も高まるでしょう。人間の強み、人間らしさの成長のスタートは、「知的好奇心」なのです。国民一人一人の将来のため、日本の未来のためにも、幼い頃から「知的好奇心」を養う必要があり、学校はそれを養う場であるべきなのです。

    余談...AIがどんどん仕事を代替してくことに対し、AIのせいで仕事が奪われる、どうしてくれるんだって思う人もいるでしょう。
     しかし、僕はそう考えるのはもったいないと思います。逆に、【単純な仕事を代替してくれてありがとう!】って思うべきだと思います。AIが単純作業を代わりにやってくれるおかげで、面白みに欠けるルーティーン的な仕事は減っていき、より「人間らしさを発揮できる仕事」を僕たちはすることが出来るようになります。それは「仕事=楽しいやりがいのあるもの」となり、より人生が豊かになるのではないでしょうか。
     

  • ●教育の重要性と日本の教育の問題点を再認識できる著書だった。

  • 日本の教育はこのままで大丈夫か?偏差値教育、受験戦争、教育低下の中で国際力の高い人材育成のための秘策を激論する!

  • エリートの中にも落ちこぼれはいますし、落ちこぼれの中にもエリートはいます。どの物差しで見るかによって基準が変わるので、一概に全てを教育で補うのは無料だと思います。

  • 「先生っていうのは、何を教えてくれるかわからないけれども、とにかくその人の話を聞きたい、その人と一緒にいたい、と思う人のことだ」

    フィンランドの公教育は一斉ではなく、個々がそれぞれの力に応じた問題を解く

    学びの動機付けが大切
    欧米諸国では、ギャップイヤーや就職後の入学で学ぶ意義を強く持って入学
    日本では、エスカレーター式にとりあえずが多い

  • 偏差値で序列化して「勝ち負け」になった教育。「勝ち負け」からは真の学び、成長は望めない。今の教育の実態に絶望を感じつつ、でも、家庭の中で、子どもの「個」と向き合っていく勇気をもらえました。茂木さん、尾木ママ、ステキです。

  • 教育学の尾木氏と脳科学の茂木氏の対談は教えられることが多い。フィンランドやスウェーデンの日本と異なる文字通りの「生涯教育」の例。日本の教育が偏差値、考えることを捨てさせている教育であることを痛感する。茂木氏が大学入学の際の、宿泊コミュニケーション合宿に参加しなかったことのマイナスを書いているが、これは東大での話!!いかに画一的な学生を育てているかの皮肉な話だ。また、大学の保護者会への批判的なお話も痛快だった。OECD各国での高等教育の無料化、給付型奨学金の双方に×が入ったのは日本のみ!これが日本の大学の地盤沈下を招いているという話は必ずしも合意できなかったが・・・。尾木氏がゆとり教育は間違いではなかったと主張する言葉は力強さを感じた。氏が海城高校で優秀な生徒に毎週岩波新書を読ませたとは象徴的な話。日本の中国侵略を否定している政府が道徳教育を主張するその自己撞着を語る2人は本当に良心的だ。高校入試問題の例が素晴らしい。「近くにもっと品揃えが多く値段も安いスーパーがあるのに、どうしてコンビニへ行くのか」を考えさせる問題!!要するに読み解き、考えさせる力を身に着けさせるということの実践である。自分で学びたいという胸をこがすような欲求を持たせることの重要性である。このような人物だからこそ大事を成し遂げたということの紹介において、スティーブ・ジョブズがキッシンジャーを騙ってローマ法王に電話した、野口英雄がカンパしてもらった留学費用を遊興で使い果たしたなどの実話の紹介が実に楽しい。

  • 東2法経図・開架 B1/5A/595/K

  • 教育の目的は「自由になること」。

    通信簿、相対評価、道徳教育、偏差値主義、一斉入試、シラバス通りの授業。
    日本の教育システムに「なぜ?」を突き付けていくおふたり。
    進学校で悩み、不登校になり、その後大学でのびのびと学びに触れ生き返ることができた私にとって、
    そうだよな~~わかる!!と思えるエピソードが満載でした。
    学生の時に、こんな大人と出会いたかった。

    おふたりの真剣さ、誠実さ、教育を思う気持ち、思考力、
    そして柔らかさを尊敬します。

    茂木先生の言葉が好きです。
    「今目の前にいる子どもを救わなかったら、意味がないんです。
    その子たち行っちゃうんだもの。どんどん次に。
    だから、今闘うしかないの。」

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著者プロフィール

教育評論家、法政大学教職課程センター長・教授、臨床教育研究所「虹」所長。
1947年滋賀県生まれ。早稲田大学卒業後、海城高校や公立中学校などで教師として22年間、ユニークな教育実践を展開。現在、「尾木ママ」の愛称で親しまれる。
著書『いじめ問題とどう向き合うか』『子どもの危機をどう見るか』(以上、岩波書店)『新・学歴社会がはじまる』『日本人はどこまでバカになるのか』『子どもが自立する学校』(編著、以上、青灯社)『尾木ママの「叱らない」子育て論』(主婦と生活社)『尾木ママの子どもの気持ちが「わかる」すごいコツ』(日本図書センター)ほか多数。

「2013年 『おぎ・もぎ対談 「個」育て論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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