ひとまず、信じない - 情報氾濫時代の生き方 (中公新書ラクレ)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121506016

作品紹介・あらすじ

世界が認める巨匠がおくる幸福論の神髄。ネットが隆盛し、フェイクニュースが世界を覆う時代、何が虚構で何が真実か、その境界線は曖昧である。こういう時代だからこそ、所与の情報をひとまず信じずに、自らの頭で考えることの重要さを著者は説く。幸せになるために成すべきこと、社会の中でポジションを得て生き抜く方法、現代日本が抱える問題についても論じた、押井哲学の集大成とも言える一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 職場にいたらめんどくさそうな人だなと思った。言ってることはわかる、と思ったから私もめんどくさい人なのかも

  • 読了。途中まで、良質な人生論なのかなと思った。まあまあだが、読み終わったら、売るかなと考えていたが、映画論の話が面白かった。夢中で読んでしまった。もう一回映画見ようと思った。

  • 借りたもの。
    押井守のフェイクニュース論。あるいは人生におけるあらゆる事象の「優先順位」について。

    「ネットは広大だわ……」

    押井守の頭の中にある虚構と現実の不明瞭な境界と唯脳論は拡張し、人生論や世界観と壮大なものに繋がっている。それが次第に本業の監督――映画論に集約されてゆく。
    タイトルの通り、本を通して主軸となるのは、あらゆる事象はまず鵜呑みにしないことを是とする姿勢。そして人生など物事には「優先順位」が必要であり、その取捨選択によって成り立っていることを説明してゆく。

    何に重点を置くかは人それぞれだが、「こんなはずじゃなかった」と後になって後悔をしないために、未来を見据えることが重要になってくるという人生訓が含まれている。

    映画監督は虚構の世界で生きていると思われがち(と、押井守は考えている?)だが、優先順位はそれで良いのか?それで後悔しない覚悟がある人間が?と突きつける。
    職人技で、現実の人間関係(家族とか)を顧みないライフスタイルとなりがちのように思われる。
    宮崎駿、鈴木プロデュース、庵野監督ら同業者、その作風を例に上げつつ。その解釈は的を得ているように思えた。

    奥村倫弘『ネコがメディアを支配する』( https://booklog.jp/item/1/4121505832 )、『フェイクニュースの見分け方』( https://booklog.jp/item/1/410610721X )然り。
    ただしリテラシーだけでなく、ブレない姿勢――それもひとつの思考に縛られない柔軟性――が必要かと私は考える。それが「優先順位」でもある、と。

    幸福、仕事、ニセモノ、政治、人間、映画の章立ては現実を切り、読んでいて小気味よい。
    あらゆる事に鋭い視線を持っていて、読んでいて共感する。

    『シン・ゴジラ』の解釈も私は納得する。賞賛しながらその人間味の無さを批判する姿勢に。
    私は個人的に『エイリアン:コヴェナント』の解釈が同意見だったので嬉しく思った。

    珍しく、押井守が家族のことを仄めかしていて驚いた。

  • 『母性のディストピア』に影響されて読んでみた。すごく独特の理論が展開されてるけど、そうよね!と思うこととそうなの?と思うことが半々くらいかな。「可能性はひとつに決めた人にあり」というのはしっかり覚えておきたいです。

  • 核心をついている。この人は本当に頭がいい

  • タイトルに興味をもって手に取ったら押井さんだった。こういうの書くのね。映画論以外も興味深かったけど、印象に残ったのはマイケル・ベイ…。

  • 「幸福」「仕事」「人間」などのテーマについて,非常に論理的に語られている.押井守というと犬を偏愛しボソボソッと話すイメージから,人間が嫌いとか何を考えているのか分からないという思い込みが私には (も?) あったが,そういう思い込みとは真逆の論理展開になっている.自分の力を正しく認識しつつ,多様性も信じることが,いい仕事の結果につながるということなのだろう.

  • 映画監督押井守の幸福論。時折、ハっとさせられる言葉がある。

    例えば、
    ~可能性を担保し続けることは、可能性を殺すことなのである。そして可能性とはすべてを選択できることではなく、たったひとつを選択できるということである。

    政治についてはつきなみな野党批判や政権支持にやや驚く。『WiLL』『Hanada』 にのっていてもおかしくない言説が続く。なんとなく左派っぽいイメージが裏切られたが、アニメ監督らしい現実主義がうかがえる。政治家が口走る「生活が大事」などはまったく信用できないということは確かにその通り。

    夢を売っている商売だからこそ夢なんか見ていられるかということか。

  • とても押井守っぽくて、面白い

  • 幸福論、仕事論、ニセモノ論、政治論、人間論、映画論の全6章。
    仕事:他人を説得することを諦めてはいけない。そうですね、面倒だけどやっぱりやらなあかんか、と思えました。
    それと、ネットのことは全て信じないという割り切りも、まぁありですね。
    監督げ60代というのは知らなかったです。

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著者プロフィール

映画監督、作家。1951年、東京都大田区生まれ。
竜の子プロダクション、スタジオぴえろを経てフリーに。主な監督作品に『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(84)『天使のたまご』(85)『機動警察パトレイバー the Movie』(89)『機動警察パトレイバー2 the Movie』(93)『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』(95)。『イノセンス』(04)がカンヌ国際映画祭、『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』(08)がヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門に出品。実写映画も多数監督し、著書多数。2016年、ウィンザー・マッケイ賞を受賞。

「2024年 『鈴木敏夫×押井守 対談集 されどわれらが日々』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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