ひとまず、信じない - 情報氾濫時代の生き方 (中公新書ラクレ)

著者 :
  • 中央公論新社
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レビュー : 22
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121506016

作品紹介・あらすじ

世界が認める巨匠がおくる幸福論の神髄。ネットが隆盛し、フェイクニュースが世界を覆う時代、何が虚構で何が真実か、その境界線は曖昧である。こういう時代だからこそ、所与の情報をひとまず信じずに、自らの頭で考えることの重要さを著者は説く。幸せになるために成すべきこと、社会の中でポジションを得て生き抜く方法、現代日本が抱える問題についても論じた、押井哲学の集大成とも言える一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 職場にいたらめんどくさそうな人だなと思った。言ってることはわかる、と思ったから私もめんどくさい人なのかも

  • 借りたもの。
    押井守のフェイクニュース論。あるいは人生におけるあらゆる事象の「優先順位」について。

    「ネットは広大だわ……」

    押井守の頭の中にある虚構と現実の不明瞭な境界と唯脳論は拡張し、人生論や世界観と壮大なものに繋がっている。それが次第に本業の監督――映画論に集約されてゆく。
    タイトルの通り、本を通して主軸となるのは、あらゆる事象はまず鵜呑みにしないことを是とする姿勢。そして人生など物事には「優先順位」が必要であり、その取捨選択によって成り立っていることを説明してゆく。

    何に重点を置くかは人それぞれだが、「こんなはずじゃなかった」と後になって後悔をしないために、未来を見据えることが重要になってくるという人生訓が含まれている。

    映画監督は虚構の世界で生きていると思われがち(と、押井守は考えている?)だが、優先順位はそれで良いのか?それで後悔しない覚悟がある人間が?と突きつける。
    職人技で、現実の人間関係(家族とか)を顧みないライフスタイルとなりがちのように思われる。
    宮崎駿、鈴木プロデュース、庵野監督ら同業者、その作風を例に上げつつ。その解釈は的を得ているように思えた。

    奥村倫弘『ネコがメディアを支配する』( https://booklog.jp/item/1/4121505832 )、『フェイクニュースの見分け方』( https://booklog.jp/item/1/410610721X )然り。
    ただしリテラシーだけでなく、ブレない姿勢――それもひとつの思考に縛られない柔軟性――が必要かと私は考える。それが「優先順位」でもある、と。

    幸福、仕事、ニセモノ、政治、人間、映画の章立ては現実を切り、読んでいて小気味よい。
    あらゆる事に鋭い視線を持っていて、読んでいて共感する。

    『シン・ゴジラ』の解釈も私は納得する。賞賛しながらその人間味の無さを批判する姿勢に。
    私は個人的に『エイリアン:コヴェナント』の解釈が同意見だったので嬉しく思った。

    珍しく、押井守が家族のことを仄めかしていて驚いた。

  • 『母性のディストピア』に影響されて読んでみた。すごく独特の理論が展開されてるけど、そうよね!と思うこととそうなの?と思うことが半々くらいかな。「可能性はひとつに決めた人にあり」というのはしっかり覚えておきたいです。

  • 核心をついている。この人は本当に頭がいい

  • タイトルに興味をもって手に取ったら押井さんだった。こういうの書くのね。映画論以外も興味深かったけど、印象に残ったのはマイケル・ベイ…。

  • 自分発見します

  • 【由来】
    ・大学の図書館でたまたま。

    【期待したもの】
    ・パラパラとよんだら面白そうだったので。

    【ノート】
    ・他の著作でもそうだがやはり押井節は面白い。そして本書では「シン・ゴジラ」やリドリー・スコットについて評しているのがまた面白い。

    【目次】

  • ”ジジイの勝手な理屈”的なくだりも多いが、それを差し引いても結構いいこと書いてある。

    [more]<blockquote>P28 日本人は(常に神とともにあるという)信仰心は薄いので常に寄り添ってくれる存在は居ない。結局はひとりで生きていくことになるし自分の手で幸福を?み取るしかない。だから必ず現実のパートナーは必要である。必ず幸福を確認する相手が必要になる。もっともそのパートナーは人間の異性であるとは限らない。

    P50 居間の状況を支えている条件は何で、それは将来どう変化して、そのときに自分はどういう(優先順位の)リストに従って生きるのが幸せなのか。それを考えないとならない。それをさぼっていては、幸福論を充たしているとは言えない。

    P64 他人のオーダーに応えるということは、仕事の基本である。注文に応えて生きるということは、おそらく学生時代までもっとも経験できていないことの一つである。だから仕事がつまらなくなって自分にはもっと相応しい仕事があるはずだと考えてしまう。

    P73 「会社の中に席を作る」と言っているが「会社の中で役に立つ人材になる」というつもりはない。「あいつはダメ」「何を頼んでも無駄」も含めて社会の中での居場所、ポジションになり得るということである。

    P75 もしも残念ながらそれに選ばれなかったとしてもそれはそれでかまわないではないか。部隊全体がレンジャーである軍などあるはずがない。だから自分がどこの席に収まるかはたいした問題ではない。大事なのはその社会に所属し続けることだ。

    P103 「こんなふうになったらいいな」などと楽天的に物事を考えることは、本来政治家や軍人には絶対に許されない行為だ。だが日本人は総じて最悪に備えることが苦手である。風土や歴史のせいかどうかは知らないが、いつも「こうなったらいいな」と考える傾向がある。その段階で思考が止まっているならまだしも往々にして「こうなるはずだ」に変化するのが日本人の思考方法の悪いところである。

    P111 体験したことのみ語るべしというのは、一見まともな意見のように見えて実は重大な言論の否定である。想像力という人間の大いなる能力に対する冒涜である。出なければ間もなく僕たちは誰も太平洋戦争を語ることができなくなる。そんなことはないだろう。僕たちはいつまでも戦争について語り続けないといけない。

    P120 何かを実現するために自由は必要なのであり、自由は手段ということに他ならない。だから何も背負わない状態を自由とは呼べない。そこには達成感がないからである。何も背負うことができない人間は、周囲から見れば居ても居なくてもよい人間ということだ。それは自由ではない。誰かに必要とされる生き方と、好き勝手に生きる生き方というのは、それほどまでに違うものだ。
    【中略】可能性をいつまでも留保するということは、いつまでも選択しないということであり、それは可能性がないということだ。
    「可能性」は選択して初めて「可能性」となり、「自由」は何かを背負って初めて「自由」となる。「可能性」や「自由」を価値あるものにするためには、それらを追い求めてはいけないのである。</blockquote>

  • 鬼才・押井監督による幸福論。私たちが生きる上で必要となる「教養」を獲得できる、押井哲学の神髄。

  • 物語を書くと読めない文章だったが,論説文をこれ程読ませる文章で書くのかと吃驚.各分野に対する論説も太い骨子がぶれずに在り,養老孟司氏や森博嗣氏にも通ずる.二人より社会に対して諦念の感がなく全うに向き合っている分だけ,優しさ(というより悟りか?)を感じる良書.

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著者プロフィール

押井 守(おしい まもる)
1951年生まれ。東京都出身。東京学芸大学教育学部美術教育学科卒。
映画監督・演出家。
タツノコプロダクションに入社、テレビアニメ「一発貫太くん」で演出家デビュー。
その後、スタジオぴえろに移籍し、「うる星やつら」ほか、数々の作品に参加。後にフリーとなる。
日米英で同時公開された劇場版アニメ『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(95)はジェームズ・キャメロン監督やウォシャウスキー兄弟ほか海外の著名監督に大きな影響を与えた。また、『紅い眼鏡』以降は、『アヴァロン』など多数の実写映画作品にも意欲的に挑戦を続けている。主な監督作品『機動警察パトレイバー』『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』など。

「2019年 『セラフィム 2億6661万3336の翼 《増補復刻版》』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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