教育激変-2020年、大学入試と学習指導要領大改革のゆくえ (中公新書ラクレ)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121506535

作品紹介・あらすじ

2020年度、教育現場には「新学習指導要領」が導入され、新たな「大学入学共通テスト」の実施が始まる。なぜいま教育は大改革を迫られるのか。文科省が目指す「主体的・対話的で深い学び」とはなにか。
自ら教壇に立ち、教育問題を取材し続ける池上氏と、「主体的な学び」を体現する佐藤氏が、日本の教育の問題点と新たな教育改革の意味を解き明かす。巻末には大学入試センターの山本廣基理事長も登場。入試改革の真の狙いを語りつくした。

感想・レビュー・書評

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  • 池上氏と佐藤氏が2020年大学改革を巡り、『高校』『大学受験』『大学』といったテーマについて、対談する一冊。最終章は山本廣基大学入試センター理事長を交えた対談となっている。

    本書は2019年4月に出版された本であり、記述式の導入・四技能の測定の見送り・延期の決定前の話である。
    両者が倒れた今、高大接続改革はとん挫したかのように見える。
    しかしながら、池上氏・佐藤氏、そして山本理事長の三者のコメントから、今回の決断がその結果が予期されていたこと、そして改革は決して終了していないことがわかる。

    文部科学省が実行しようとした『上からの改革』は急進的過ぎて失敗した。
    ただし、改革の背景に存在する、偏差値教育が行われる高校教育の弊害,全入時代にあっての大学の存在意義,即戦力・高度人材が求められる社会への対応は決して看過してよいものではない。
    教育関係者、受験生の親御さんだけでなく、様々な人びとに読んでほしい。
    そうして与えられるのではなく、自ら求める学習を漸進的に実行し、高校・入試・大学を変革してほしい。こうした『下からの改革』が重要なのではないか。

  • 対談形式でサクッと読めた。
    池上さんと佐藤さんの対談本は、客観的な視点から問題提起ができている印象がある。本書でも教育に対して、複数の問題提起がされていてどれも納得できたし、どうにかしないといけないと思った。

  • 池上彰、佐藤優とも既に大学で教えているが、日本の将来のためもっと仲間を引き入れ、日本の教育に携わって欲しい。

  • う~ん、なんかモヤる。
    たぶん、このお二人の、エリート主義に対するスタンスが、自分には受け入れがたいのだろう。

    私は、アクティブラーニングには懐たいぷの疑的だ。
    格差を広げていくし、内向的な子どもをつぶしてしまうから。
    で、この人たちは、エリート教育として推進すべき、と考えている。
    もちろん、現在の日本には真のエリート主義はなく、エリート意識だけがはびこっている、というわけだけれどー。

    では、エリートではない、大多数の普通の人々の教育をどうするのか?
    そのヴィジョンはこの本にはない。
    ノブレス・オブリージュに殉ずるような真のエリートが、この先日本に、いや世界に現れるとでも思っているのだろうか?
    そして仮にそのような人が出たら、世の中がうまくいくとでも?

    先日読んだ『ホモ・デウス』に、普通の人々がこの先「無用者階級」になっていくだろう、と書かれていた。
    それが大きな社会不安になっていくだろうことは、想像に難くない。
    残念だが、教育だけでこの問題を解決できるとは思えないが、教育がその格差を広げていくことに加担するのはどうしても認められない。
    たぶん、私がこの本に、けっこう激しく嫌悪感を覚えるのは、そのあたりだろう。

  • 結局センター試験の改革はされなかった。教育を政争の具に。不信感が増した。

  • 世の中に求められる教育の質について書いてある本でした。本当に社会的要請があるのはこういう人材を育成することだという一つの例が提示してありました。

  • たしかに
    文科省ってだけで駄目って意見が多いよな
    このお二方は教科書もテストも自分で取り組んでしまうからな
    いいな

  • 過去の共通一次導入の経緯は特に面白いが、
    結局「事ほど左様に、教育改革は難しい。
    何かをやると、別の何かが思わぬ形で顔を出したりすることもあるわけです」
    ということになる
    二人が言うように新テストは良問で適当にやったら全然解けなかったけど、じっくり考えていくと答えがわかるという構造になっている
    二人はアクティブラーニングに期待してるみたいだけど、導入早期に受けた感想としてはよほど準備とやる気がないとネットで適当に調べて、やっつけで終わると思う
    折角の改革のチャンスが思わぬ結果でとん挫するのでなく、少しずつでも確実に変えていってほしいなと思う


    僕らの世代はプログラミングも統計学もなかった
    大学院まで出てるけど、今の高校生のレベルでもわかっているか怪しい
    そもそも必要とされる学問や学問の体系自体が揺らいでいるのに高校までみっちり基礎をやるとかに無理がある気がする
    エリート教育もそうだけど、ある年齢時点での成績で切って順位付けする必要とかあるのかと思う
    スポーツとか武道みたいに基礎も応用も毎日ちょっとづつやるとかという仕組みができないか
    社会人になって勉強も、体育も芸術も必要とすごく感じるけどなかなか手近に学ぶとこがない
    エリート教育もある程度必要とは思うけど、今の時代に必要なのは小チームのリーダーを誰もがやれるようなムッタみたいな能力なんじゃないかと思う

    いずれにせよ色々考えさせられる本ではある

  • 賢い人の対話は何が問題かとか、大事なこと、ポイントがわかりやすい。さっと読めて、教育改革の本質を考えることができる。

  • 大学入試制度の改革。
    国語は資料の読み取りから、読み取る力、要約する力、選択する力、表現する力という総合的な能力が試される。これはAIにはできない複雑、かつ総合的な動きではある。
    ホモデウスによれば、石器時代の人間のAIよりも、トラック運転手のAIを作る方が簡単であるとのこと。つまり、高度に専門化された職はAIに取って代わられてしまう。現代人は高度に専門化することで、自らAIに近づいている。
    複雑かつ総合的な力は、様々な環境要因を照らし合わせて自分なりに思考して組み立てる力だ。それができて視点ができる。
    それが必要と提示した点で、国語における大学入試制度の変更は良いと思う。池上さんと同じく。

    テロリストを美化する文化の日本。また、宗教教育の禁止から、オウムなどを教えるのを避ける中高教育。
    大学の質の低下。財政難で安定して研究できる環境が消えている。
    苦学して国立大学、のパターンが不可に。経済格差と、教育格差問題。また、受験刑務所、というパンチライン。ゆがんだエリートの画一化。
    また、多様性を打ち出し始めた大学の話。

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著者プロフィール

池上彰(いけがみあきら)
1950年、長野県松本市生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、NHKに記者として入局。さまざまな事件、災害、教育問題、消費者問題などを担当する。科学・文化部記者を経て、NHK報道局記者主幹に。2005年3月にNHKを退職し、フリーのジャーナリストに。
主な著書に、『経済のことよくわからないまま社会人になった人へ(第4版)』(海竜社)他、多数。

「2020年 『池上彰の今さら聞けない日本のこと(仮)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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