中国、科学技術覇権への野望-宇宙・原発・ファーウェイ (中公新書ラクレ)

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  • 中央公論新社
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レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121506917

作品紹介・あらすじ

近年イノベーション分野で驚異的な発展を遂げた中国。米中の対立は科学技術戦争へと戦線をエスカレートさせ、世界を揺るがす最大の課題の一つとなっている。本書では「ファーウェイ問題」を中心に、宇宙開発、原子力開発、デジタル技術、大学を含めた高等教育の最新動向などから、「米中新冷戦」の構造を読み解き、対立のはざまで日本は何をすべきか問題提起する。著者がファーウェイを取材した際の貴重な写真・証言も多数収録。




【目次】


1章 米中の「月」争奪戦が始まった~宇宙覇権をめざして


2章 新シルクロード 「一帯一路」構想と原発輸出


3章 「ファーウェイ」はなぜ米国の標的となったのか?


4章 理想社会と管理社会のはざまで~中国のデジタル技術最新事情


5章 米国対中国、科学技術力「頂上対決」の勝者は?


6章 軍事と民生~「デュアルユース」のジレンマと輸出規制


終章 きらりと輝く「科学技術立国日本」をめざして

感想・レビュー・書評

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  • 世界覇権の鍵は「科学技術」。中国は「コピー大国」を脱して「イノベーション強国」へ。アメリカは、そして日本はどうする?

  •  著者は物理科学の博士号を持ちつつも大手テレビ局で北京支局長や政治部長などを歴任した、という珍しい経歴。後書きでは、並み居るチャイナ・ウォッチャーの中で科学技術に焦点を当てる戦略を立てた、とある。そのためか技術面の記述は日々の一般報道以上に詳しいが、同時に薄く広くという感じで読みやすく、バランスがいい。
     扱うのは「嫦娥4号」をはじめ宇宙開発や月探査、「華龍1号」などの国産原子炉開発と輸出、華為の発展と米の制裁、技術の社会管理への浸透、各種予算やランキングに見る科学技術力の伸長、デュアル・ユース技術。どの分野でも後発の中国が猛烈な勢いで追い上げてきているのは明らかだ。米の警戒感には安全保障面と、科学技術超大国の地位が脅かされている感覚と、両方あるのかと感じる。英も、本書では米と異なり5G網に一部華為の参入を認めたとあるが、本書出版1か月ほどで一転排除が決定されたばかりだ。
     また、「覇権への野望」と刺激的な書名だが、著者の思想はかなり抑えめなことも本書の特色。脅威を強調する言論が多い中では目新しい。米技術の窃取は本書では触れられていない。社会での個人情報管理は「理想社会と管理社会のはざま」との評価。華為については、複数回の直接の取材をも通じて、過去の国有企業との競合や民主的な企業運営・意思決定プロセスが記述され、共産主義と資本主義の間の「微妙な舵取り」とされている。公開された情報からは党や軍の指導下にあると考えるのは困難、ともある。一方で、自由の欠落や新疆での社会監視は本書でも指摘されている。

  • 東2法経図・6F開架:B1/5A/691/K

  • 想像以上に面白かった。中国は最先端をいってるし、すごい人もいることが分かった。日本ではたぶん、自分もそうだったが中国を過小評価してたように思う。あんな完全管理社会が理想とは全く思わないが、これから中国に学ぶべきことは多く、危機感を覚えた。

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著者プロフィール

倉澤治雄

1952年千葉県生まれ。科学ジャーナリスト。東京大学教養学部基礎科学科卒業。フランス国立ボルドー大学第三課程博士号取得(物理化学専攻)。日本テレビ入社後、北京支局長、経済部長、政治部長、メディア戦略局次長、報道局解説主幹などを歴任。2012年科学技術振興機構・中国総合研究センター・フェロー、2017年科学ジャーナリストとして独立。著作に「原発爆発」(高文研)などがある。

「2020年 『中国、科学技術覇権への野望』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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