老いる意味-うつ、勇気、夢 (中公新書ラクレ 718)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121507181

作品紹介・あらすじ

老後は勇気をなくして乗り切れない。今までの人生の経験を凝縮して明日に立ち向かう。老後は良いことばかりではない、思わぬ病気もする。老人性鬱病を告白し克服した作家の壮絶な闘い。老後の生き方の意味を提言する森村誠一渾身の話題作。

感想・レビュー・書評

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  • 森村誠一氏といえば、かつては赤川次郎氏と並んで飛ぶ鳥を落とす勢いで売れていた社会派ミステリ作家。88歳の今でもバリバリの現役の重鎮である。

    そんな森村氏が老人性うつ病を患い、軽度認知症の診断を受けてからの日々を赤裸々に綴った話題の書。タイトルは「老いる意味」だが、別にそのような哲学的な話が書かれているわけではない。要は老いに対する氏の健康法と心構えが書かれているのである。あの森村誠一の文体で書かれているのだから、とても読ませる。

    医師のアドバイスもあるようだが、氏の個人的な感想も多い。万人に薦められるものではないことは本文でも断りがある。
    ただ、森村誠一ほどの人が、老いに、病に苦しみ、悪戦苦闘をしている様を示すことはとても大きな意味がある。散見される昭和マッチョな考え方に頷けないところもあるが、このような本を出す決断をした森村氏と担当編集さんに拍手しかない。

  • さすが森村誠一さんのエッセイと思った。文章力が素晴らしい。サクサク読めて頭に入る。
    自分自身も老いを実感しているからか…
    うつを克服したとある。うつは克服できるんだ、と思った。

  • 老後のこれから、訪れるだろう幾つかの身体的、精神的障害を予め先輩から教わった。 
     あとは、それらと向き合ったときに森村さんがどう対処したか、それを受けて自分はどう向き合い、「なるほど」と頷くか、「ちと違うぞ」と思いながら、それを味わい後陣に残していくか。
     いずれにしても、長くなった人類の老後は、自由の利かない身体を抱えながら、多くの悲しみと向き合わなければならない。
     その覚悟を肝に据えたら、あとは自分の目指すものを探求するのが良い。という自分の信念に誤りがないことを確認した。

  •  この作者の本は若い頃夢中になって読んだのだが、中年以降になったら読みたくなくなった。そんな作者は結構いる。内田康夫や赤川次郎などもそうです。
     この本は、小説と異なり、現在の心境や心がけについて淡々と綴ったものであり、とてもわかりやすい。五木寛之の大河の一滴のようなものであるが、それよりも気負いがなく、自然で無理がない。
     これからの生き方に参考になったので、60代の人にオススメ

  • 良書。
    現代を代表する作家だけあり、老してこそ書ける本。
    誰も避けることの出来ない老いることを怖がらず、やれることをする。勇気づけられる。

  • 森村誠一(1933年~)氏は、県立熊谷商高卒業後、自動車部品会社勤務を経て、青学大文学部英米文学部卒、ホテル勤務の傍ら、サラリーマン生活に関するエッセイやビジネス書を書くようになり、1969年に執筆した本格ミステリー『高層の死角』で江戸川乱歩賞を受賞して注目され、その後数々の推理小説を発表してきた。日本推理作家協会賞、角川小説賞、吉川英治文学賞等を受賞。
    本書は、2015年から3年に亘った老人性うつ病と闘いを克服し、2021年に米寿(88歳)になった著者が、老人性うつ病罹患時の様子と、「老い」への向き合い方について綴ったものである。
    私はアラ還になり、近年、五木寛之、斎藤孝、佐藤優、出口治明、弘兼憲史、黒井千次等による、人生後半の指南書的な本を読むようになったが、数年前にベストセラーとなった本書についても、今般新古書店で偶々目にし、読んでみた。
    この類の本は、当然ながら、その年齢を過ぎた著者が、自らの経験に基づいて書いているため、(多少の)違いはあるのだが、本書については、極めてオーソドックスな内容であり、いくつかの類書を読んでいると、最初の老人性うつ病に関する記述以外では、気付きになるようなことは、残念ながらあまりない。(裏を返せば、初めて読むには向いていると言えるかもしれない)
    目次と、気に留まったセンテンスを挙げると以下である。
    第1章:私の老人性うつ病との闘い
    第2章:老人は、余生に寄り添う・・・過去に目を向ければ、いまの自分がいちばん年老いているが、未来に目を向ければ、いまの自分がいちばん若い。/余生にまで倹約を続ける必要はない。
    第3章:老人は、死に寄り添う・・・余生には「何をしてもいい自由」と「何もしなくていい自由」がある。どちらを選ぶかということは「精神の自由」を取るか「身体的な心地良さ」を取るか、或いは、「生きがい」を取るか「居心地の良さ」を取るかの選択でもある。そして、それらを両立することは残念ながら難しい。
    第4章:老人は、健康に寄り添う・・・「人間らしい生活」のために贅沢品や嗜好品を求めるのもいい。
    第5章:老人は、明日に向かって夢を見る・・・外に対する緊張感を失わないこと。それはすなわち武装である。武装している男には、武装している格好良さがある。隙がないのに、さりげない。そういう男でありたい。/誰かの役に立つことは、心の筋肉を動かす。/「気くばり」、「心くばり」、「目くばり」をする。
    この類の本を読んだときの常ながら、自分に合うところを取り入れたいと思う。
    (2023年2月了)

  • あの森村誠一さんが88歳になっているとは、少し信じがたいものがあった。新たな発見等はなかったが、読んでいてしみじみと人生を感じさせてくれるエッセイであった。同氏が元気で良かった。

  • 遥かに先を行く人。そうか、この世代は最後の戦争体験者だったんだ。
    共感できるわけもない。それこそ理解しようという努力でしかないけれど。

  • すらすらと読んだ。
    今年83歳の母から薦められた本。
    今腰痛と膝痛で弱っているところで読んだので、漠然と考えていた老後の輪郭が見えてきた感覚。
    老後を前向きに捉えられそう。

  • 『老いる』事を受け入れた上で、カッコよく生きていく為のヒントが多くかかれていた。60歳以上の人、特に男性には読んでいただきたいと強く思う。

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著者プロフィール

森村誠一
1933年1月2日、埼玉県熊谷市生まれ。ホテルのフロントマンを勤めるかたわら執筆を始め、ビジネススクールの講師に転職後もビジネス書や小説を出版。1970年に初めての本格ミステリー『高層の死角』で第15回江戸川乱歩賞を受賞、翌年『新幹線殺人事件』がベストセラーになる。1973年『腐触の構造』で第26回日本推理作家協会賞受賞。小説と映画のメディアミックスとして注目された『人間の証明』では、初めて棟居刑事が登場する。2004年に第7回日本ミステリー文学大賞受賞、2011年吉川英治文学賞受賞など、文字通り日本のミステリー界の第一人者であるだけでなく、1981年には旧日本軍第731部隊の実態を明らかにした『悪魔の飽食』を刊行するなど、社会的発言も疎かにしていない。

「2021年 『棟居刑事と七つの事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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